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隠れた名曲あり!モーツァルトの代表曲15選【ジャンルごとに分けて紹介】

モーツァルトと言えば「神童」と呼ばれ、早熟な天才としてのエピソードなどが広く知られていると思います。しかしながら作品数や作曲したジャンルも数多いため、「モーツァルトの曲って、何を聴けばいいの?」と、なかなか悩んでしまうところではないでしょうか。

引用元:Wikipedia

モーツァルトの作品は、ほとんどが長調(明るい曲調)で出来ており、軽やかな伴奏と愛らしいメロディが特徴的です。また名作ぞろいのオペラは、音楽の美しさはもちろん、現代の私たちの感覚でもくすっと笑えるストーリーなのも魅力的ですね。どうしてモーツァルトの作る曲には明るい曲が多かったのでしょうか?また一時期モーツァルトの音楽が「胎教に良い」などとも言われていましたが、本当なのでしょうか?

このような疑問にも少し触れながら、現役の声楽家でモーツァルト曲のレパートリーも多い筆者が、数あるモーツァルトの名作からピックアップしてご紹介します。

「三大オペラ編」モーツァルトの代表曲7選

特に有名なオペラ作品

モーツァルトと言えば、後世のオペラの発展に与えた影響がとても大きい作曲家です。私たちが「オペラ」と聞いてイメージするものは、ほぼモーツァルト以降のものと考えて良いでしょう。

それまでは王侯貴族のための「オペラ・セリア」という真面目な演目のオペラが主流でしたが、モーツァルトは「オペラ・ブッファ」というジャンルで後世に名を残しました。「ブッファ」は「下男下女」という意味の言葉で、オペラ・ブッファは当初「オペラ・セリア」の前座や合間に上演される、市民的で身近な題材の幕間劇でした。しかしモーツァルトの時代になると宮廷でも「オペラ・ブッファ」のような気軽な題材が好まれるようになっており、少しずつ主流になりつつありました。

モーツァルトはこの庶民的なジャンルを、とっつきやすくわかりやすいイメージのまま、音楽的には高尚な芸術の域まで高めました。その中でも「三大オペラ」と呼ばれ、今でもよく上演されているものからご紹介します。

歌劇 魔笛より 前奏曲

この歌劇「魔笛」は、今でこそモーツァルトの3大オペラなどと言われていますが、細かく分類すると「ジングシュピール」というジャンルに分類され、モーツァルトの時代は正式な歌劇(オペラ)としてはみなされませんでした。

しかし今ではその自由な形式や、ファンタジー風のストーリーなどが老若男女問わず楽しめるとされ、はじめてのオペラ鑑賞や子どもと一緒に楽しめるオペラとしても大人気の演目です。前奏曲もワクワクする曲ですね。

歌劇 魔笛より 二重唱「恋の痛みを知る人は」

オペラでは愛し合う二人が歌う「愛の二重唱」は定番ですが、この二重唱は違います。ヒロインのパミーナは愛する王子への思いを歌い、ブッファ役と言われる三枚目担当のパパゲーノは、「とにかく彼女が欲しい」という切実な願いを歌う、それぞれの恋の悩みに関する二重唱なのです。

それぞれ思う相手や恋愛の事情は違っていても、恋する切ない気持ちや喜びは同じである、というのはいつの時代でも共感できる内容ですね。

歌劇 魔笛より アリア「復讐の心は地獄のように胸に燃え(夜の女王のアリア)」

「夜の女王」のアリアは2曲あり、どちらも超絶技巧を必要とする難曲です。この2幕のアリアは雷鳴のような女王の怒りを細かいパッセージと高音で表した激しい曲です。

また夜の女王の衣装はゴージャスでユニークなデザインが多く、「魔笛」の見どころの一つでもあります。是非視覚でも楽しんでみて下さい。

歌劇フィガロの結婚より 前奏曲

モーツァルトの曲の中でも人気のある曲であり、オペラの上演だけではなく演奏会などでも単独で演奏されます。

「フィガロの結婚」は貴族たちの振る舞いを批判した当時の問題作で、比較的寛容だったウィーンの宮廷でも当初非難されました。しかし外国でヒットし、今日では日本でも度々上演されるほどの人気作となっています。華麗な音楽とドタバタなストーリーとのコントラストが面白いです。

歌劇フィガロの結婚よりアリア「恋とはどんなものかしら」

この曲はケルビーノという少年が憧れの伯爵夫人の前で恥じらいながら自作の詩を歌う、というシーンです。一見微笑ましく可愛らしい情景のように思えますが、この13歳の少年は自分の初々しさや可愛らしさを自覚しながら人妻である伯爵夫人をしっかりと口説いています。

またケルビーノ役はメゾ・ソプラノという声種の女性が演じます。このように女性がオペラで男性役をつとめる際は「ズボン役」と称されます。

歌劇ドン・ジョヴァンニより前奏曲

主人公のドン・ジョバンニは女好きの貴族で、放蕩生活の末に「地獄の騎士」に連れ去れて地獄に落ちていくというストーリーです。ただならない結末を予感させる不吉な前奏曲となっています。

モーツァルト作品には珍しいダークさが特徴で、この前奏曲も短調(暗い曲調)で物々しい雰囲気があります。

歌劇ドン・ジョヴァンニよりアリア「ドン・ジョバンニ」

モーツァルトが登場する映画「アマデウス」でも、亡き父の存在がモーツァルトにとって地獄の騎士と重なっている、という演出でインパクトを与えました。私たちの中にもある無意識の「後ろめたさ」をバス歌手が深みのある声で抉ってくる、怖いアリアです。

まだまだあるオペラの名曲2選

モーツァルトのオペラは傑作揃い?

もちろんモーツァルトのオペラで素晴らしいのは「三大オペラ」だけではありません。イタリア語、ドイツ語など様々な言語のオペラを書きました。その中から少しだけご紹介します。

歌劇 女はみなこうしたもの よりアリア「岩のように動かずに」

「女はみなこうしたもの(コシ・ファン・トゥッテ)」は「女性なら誰でも絶対に浮気をする」と主張して引かない老学者と、「それでも自分の恋人だけは絶対に違う」と主張する青年2人が、自身の恋人である姉妹に恋を仕掛けて実験をする、という内容のオペラです。

このアリアはその姉妹の姉・フィオルディリージが自らの貞操を誓って歌う曲で、約4分もある、アリアにしては長めの大曲です。

歌劇「後宮からの誘拐」序曲 

「後宮からの誘拐」はモーツァルトがザルツブルクからウィーンに移って初めての作品です。トルコのハーレムを題材にした作品で、このトルコ風でエキゾチックな序曲が人気を博しました。

また当時は宮廷で上演されるような作品はイタリア語のオペラが一般的でしたが、この作品はドイツ語で書かれました。こういった点や、ハーレムといった舞台背景が許された点など、当時のウィーン宮廷の啓蒙的で寛容な風潮が推測できます。

交響曲編 モーツァルトの代表曲2選

耳馴染みのある曲が沢山あります。

交響曲は元々歌劇の序曲であり、ザワザワしている客席の意識を舞台に向けさせるための役割がありました。歌劇(オペラ)を多数作曲したモーツァルトですので、交響曲にも素敵な曲が沢山あります。

アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク

ものの数秒で聴き覚えのあるメロディに気づくでしょう。「小夜曲」と言う野外で演奏されるロマンティックな曲です。

可愛らしいメロディが弦楽器の輝かしい響きとマッチしており、世界中で今なお愛されている曲です。

交響曲40番 第1楽章

モーツァルトの数少ない短調の曲です。明るい曲を数多く作曲したモーツァルトですが、このような暗い曲にこそモーツァルト自身の内面が現れていると言われています。また交響曲39番、40番、41番はモーツァルトの「三代交響曲」と称され、傑作とされています。

モーツァルトが30代になる頃はフランス革命の影響などもあり、それまで仕事を提供してくれた貴族たちの立場も無くなってきたためモーツァルトの仕事にも大いに影響しました。35歳の生涯を終える直前は経済的にも苦労したとも言われています。この曲の「溜め息のモチーフ」とも言われる憂いのあるメロディも、彼の内面から出たものなのでしょうか。

「鍵盤曲編」モーツァルトの代表曲2選

当時はクラヴィコードやチェンバロなどで演奏されました。

モーツァルトと言えば「目隠し鍵盤を弾く」などと言ったエピソードもあり、浮世離れした天才と思われることが多いですが、楽譜だけを見ると実は計画的で現実的な作曲家です。

その点がよくわかるのが鍵盤の楽曲で、構成などはとても緻密に作られています。曲にもよりますが、難易度もそこまで高くないのも魅力的で、ピアノレスナーにとっても馴染みがあります。子どもの発表会だけではなく、大人のピアノレッスンなどにも適しています。

ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466

映画「アマデウス」でも流れた曲です。ピアノ協奏曲というのはピアノの独奏とオーケストラが合わせる曲のことを言い、この20番は数ある協奏曲の中でも人気がある、ピアニストにとっても憧れの曲です。

モーツァルト作品に珍しい短調というだけではなく、強弱や展開の緩急が激しく、感情的な印象があるのもとても珍しいです。

モーツァルト/ピアノソナタ第16(15)番第1楽章

モーツァルトの時代は、「メロディー+伴奏」というホモフォニー様式が確立された時代でもあります。この曲を聞くと「右手がメロディーで、左手が伴奏」という役割がはっきりわかりますね。

ピアノ初学者でも挑戦しやすいピアノソナタとなっており、スムーズな伴奏と軽やかなメロディが特徴です。

「合唱曲編」モーツァルトの代表曲2選

レクイエムについてもご紹介します。

最後は合唱曲です。このジャンルでもモーツァルトは美しい曲を作っておりますので、代表的なものをご紹介します。

レクイエム

レクイエムというのは死者のためのミサ曲のことを言います。モーツァルトのレクイエムはヴェルディ、フォーレなどのものと並んで「三大レクイエム」と言われています。

このレクイエムは依頼者が不明で、かつ作曲中にモーツァルトが死亡し、35歳の短い生涯を終えました。死因が不明なこともあり、このレクイエムに関するエピソードは様々な憶測がされています。最終的にはモーツァルトの弟子が曲を完成させたと言われています。

Ave verum Corpus

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」はカトリックの典礼で用いられる宗教曲です。この曲はモーツァルトが妻・コンスタンツェの療養を世話にした合唱指揮者のために作曲されました。

3分程度の短い曲ですが、静謐な美しさや豊かなハーモニーが魅力の傑作です。

モーツァルトの曲に関する豆知識

90%が長調?モーツァルトはどうして明るい曲ばかり作曲したの?

モーツァルトの特徴と言えば、殆どが明るい曲だと言われています。それはどうしてなのでしょうか?モーツァルトは明るい曲が好きだったのでしょうか?

実は、結論からいうと、当時は明るく軽やかな曲に需要があったからです。当時は「ロココ様式」(ギャラント様式)という流行があり、ファッションや美術も淡く明るい色彩と繊細なものが好まれました。端的に言うと「可愛い」ものが流行っていたのです。

音楽も同様に軽やかで明るいものが流行でした。前時代のバッハヘンデルの厳しさと比べてみると、モーツァルトの音楽が「軽快で可愛らしい」ということがよくわかるでしょう。

またこれはモーツァルト個人の音楽の趣味というよりは、当時の貴族たちの好みでした。音楽家がフリーランスで活躍するようになるのはベートーヴェン以降ですので、モーツァルトは当時の貴族たちの需要をよく理解して作曲していたと言えるでしょう。

しかしモーツァルトの短調の曲にはそのような「愛想笑い」のない静かな美しさが宿っており、彼の本質がどのような音楽だったのか、まだまだ底が見えないのも魅力的ですね。

モーツァルトの音楽が「胎教」に良いって本当?

モーツァルトの音楽に関して、「妊娠中に聴くと良い」「頭が良くなる」「α波が出る」という噂もありますが本当なのでしょうか?音楽的な視点で、少し考察してみたいと思います。

先述の通りモーツァルトの曲は殆どが長調(明るい曲)で、テンポや強弱が曲中で大きく揺れ動くこともあまりありません。ですので、聴いていると自然とリラックスした気分になり、妊婦さんの健康にも良い可能性はあります。

「リラックスできる」「テンポや強弱が安定している」という特徴は、作業用や勉強用のBGMにも適していることを表しています。お勉強や仕事が捗って、「頭が良くなる」ということも、あったかも知れませんね。

ただし、何よりも聴いている人がモーツァルトの音楽を「素敵だな」「心地良いな」と感じることが大前提です。自分にとって心地良い音楽が一番健康に良いはずです。

意外過ぎる?モーツァルトのおもしろエピソードと意外な曲

俺の尻をなめろ(Leck mich im Arsch)

衝撃的なタイトルですが、実在するモーツァルトの楽曲です。曲名は「この野郎」というような、意味のないスラングだという説もあります。この曲はモーツァルトが演奏家たちと愚痴を言って盛り上がるために、お酒の席で作られた曲と言われています。

実はモーツァルトには、下品な冗談が大好き、と言う意外な一面があるのです。あまりに小学生並のセンスなため19世紀まではこの事実にはなるべく触れないようにされていたらしいのですが、最近は彼の大らかで快活な性格の裏付けとしてよく紹介されています。気になる方は是非、調べてみてください。

モーツァルトについてのまとめ

いかがでしたでしょうか?モーツァルトのオペラは、今お話を読んでも違和感のない面白さがあると思っています。華麗な音楽と取っ付きやすさが特徴ですが、時折底知れない奥深さを見せるのも魅力です。

皆さんもぜひ、お気に入りの曲を見つけてみてくださいね。

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