隠れた名曲あり!モーツァルトの代表曲15選【ジャンルごとに分けて紹介】

モーツァルトと言えば「神童」と呼ばれ、早熟な天才としてのエピソードなどが広く知られていると思います。しかしながら作品数や作曲したジャンルも数多いため、「モーツァルトの曲って、何を聴けばいいの?」と、なかなか悩んでしまうところではないでしょうか。

引用元:Wikipedia

モーツァルトの作品は、ほとんどが長調(明るい曲調)で出来ており、軽やかな伴奏と愛らしいメロディが特徴的です。また名作ぞろいのオペラは、音楽の美しさはもちろん、現代の私たちの感覚でもくすっと笑えるストーリーなのも魅力的ですね。どうしてモーツァルトの作る曲には明るい曲が多かったのでしょうか?また一時期モーツァルトの音楽が「胎教に良い」などとも言われていましたが、本当なのでしょうか?

このような疑問にも少し触れながら、現役の声楽家でモーツァルト曲のレパートリーも多い筆者が、数あるモーツァルトの名作からピックアップしてご紹介します。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

「三大オペラ編」モーツァルトの代表曲7選

特に有名なオペラ作品

モーツァルトと言えば、後世のオペラの発展に与えた影響がとても大きい作曲家です。私たちが「オペラ」と聞いてイメージするものは、ほぼモーツァルト以降のものと考えて良いでしょう。

それまでは王侯貴族のための「オペラ・セリア」という真面目な演目のオペラが主流でしたが、モーツァルトは「オペラ・ブッファ」というジャンルで後世に名を残しました。「ブッファ」は「下男下女」という意味の言葉で、オペラ・ブッファは当初「オペラ・セリア」の前座や合間に上演される、市民的で身近な題材の幕間劇でした。しかしモーツァルトの時代になると宮廷でも「オペラ・ブッファ」のような気軽な題材が好まれるようになっており、少しずつ主流になりつつありました。

モーツァルトはこの庶民的なジャンルを、とっつきやすくわかりやすいイメージのまま、音楽的には高尚な芸術の域まで高めました。その中でも「三大オペラ」と呼ばれ、今でもよく上演されているものからご紹介します。

歌劇 魔笛より 前奏曲

この歌劇「魔笛」は、今でこそモーツァルトの3大オペラなどと言われていますが、細かく分類すると「ジングシュピール」というジャンルに分類され、モーツァルトの時代は正式な歌劇(オペラ)としてはみなされませんでした。

しかし今ではその自由な形式や、ファンタジー風のストーリーなどが老若男女問わず楽しめるとされ、はじめてのオペラ鑑賞や子どもと一緒に楽しめるオペラとしても大人気の演目です。前奏曲もワクワクする曲ですね。

歌劇 魔笛より 二重唱「恋の痛みを知る人は」

オペラでは愛し合う二人が歌う「愛の二重唱」は定番ですが、この二重唱は違います。ヒロインのパミーナは愛する王子への思いを歌い、ブッファ役と言われる三枚目担当のパパゲーノは、「とにかく彼女が欲しい」という切実な願いを歌う、それぞれの恋の悩みに関する二重唱なのです。

それぞれ思う相手や恋愛の事情は違っていても、恋する切ない気持ちや喜びは同じである、というのはいつの時代でも共感できる内容ですね。

歌劇 魔笛より アリア「復讐の心は地獄のように胸に燃え(夜の女王のアリア)」

「夜の女王」のアリアは2曲あり、どちらも超絶技巧を必要とする難曲です。この2幕のアリアは雷鳴のような女王の怒りを細かいパッセージと高音で表した激しい曲です。

また夜の女王の衣装はゴージャスでユニークなデザインが多く、「魔笛」の見どころの一つでもあります。是非視覚でも楽しんでみて下さい。

歌劇フィガロの結婚より 前奏曲

モーツァルトの曲の中でも人気のある曲であり、オペラの上演だけではなく演奏会などでも単独で演奏されます。

「フィガロの結婚」は貴族たちの振る舞いを批判した当時の問題作で、比較的寛容だったウィーンの宮廷でも当初非難されました。しかし外国でヒットし、今日では日本でも度々上演されるほどの人気作となっています。華麗な音楽とドタバタなストーリーとのコントラストが面白いです。

歌劇フィガロの結婚よりアリア「恋とはどんなものかしら」

この曲はケルビーノという少年が憧れの伯爵夫人の前で恥じらいながら自作の詩を歌う、というシーンです。一見微笑ましく可愛らしい情景のように思えますが、この13歳の少年は自分の初々しさや可愛らしさを自覚しながら人妻である伯爵夫人をしっかりと口説いています。

またケルビーノ役はメゾ・ソプラノという声種の女性が演じます。このように女性がオペラで男性役をつとめる際は「ズボン役」と称されます。

歌劇ドン・ジョヴァンニより前奏曲

主人公のドン・ジョバンニは女好きの貴族で、放蕩生活の末に「地獄の騎士」に連れ去れて地獄に落ちていくというストーリーです。ただならない結末を予感させる不吉な前奏曲となっています。

モーツァルト作品には珍しいダークさが特徴で、この前奏曲も短調(暗い曲調)で物々しい雰囲気があります。

歌劇ドン・ジョヴァンニよりアリア「ドン・ジョバンニ」

モーツァルトが登場する映画「アマデウス」でも、亡き父の存在がモーツァルトにとって地獄の騎士と重なっている、という演出でインパクトを与えました。私たちの中にもある無意識の「後ろめたさ」をバス歌手が深みのある声で抉ってくる、怖いアリアです。

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