クレオパトラの生涯年表
紀元前69年 – 0歳「クレオパトラ7世・フィロバトル誕生」

2男4女の1人として生まれる
クレオパトラは紀元前69年頃、エジプトの首都アレクサンドリアに生まれました。父親はプトレマイオス12世、母親はクレオパトラ5世。クレオパトラ6世とベレニケ4世という2人の姉、アルシノエ4世という妹、プトレマイオス13世と14世の2人の弟、の6人兄弟だったようです。
実はクレオパトラは純粋なエジプト人ではなく、マケドニア系ギリシャ人であったとも言われています。プトレマイオス朝の王家の血筋自体が、首都アレクサンドリアの名前の由来となったマケドニア人アレクサンダー大王から続くものだからです。クレオパトラのビジュアルがエジプト人寄りだったりギリシャ人寄りだったりと多種多様なのは、そのためかもしれませんね。
クレオパトラの名前の由来

クレオパトラという名前はエジプトの王族の娘が受け継ぐ名前で、「父の栄光」という意味を持っています。
とはいうものの、クレオパトラ7世の父王であったプトレマイオス12世は、娘にとってとても誇れる王とは言い難かったようです。正当な後継者でなかったために基盤が弱かったということもありますが、政治よりも遊びにうつつを抜かすことも多く、数々の失策から市民の反乱を引き起こしました。
一度は王の座を退き、娘のベレニケ4世が統治することになりますが、ローマのポンペイウスらの支援を受けて復位します。以後死ぬまで国を治めるもののそれも芳しくなく、結局在位4年でこの世を去りました。クレオパトラが生まれたのは、身内でも骨肉の争いが行われていた時代だったのです。
3女だったクレオパトラ7世が選ばれた謎の多い背景
「絶世の美女」として名高いクレオパトラ7世ですが、父王の遺言で共同統治するようにと指名されたのが、なぜ3女である彼女だったのでしょうか。まず、1番近い姉のベレニケ4世は、プトレマイオス12性が復位したときは国を統治していましたが、彼が再びファラオとなるために暗殺されてしまいます。
母親のクレオパトラ5世と6世は同一視されることも多く、今もまだ謎に包まれています。クレオパトラ6世は生まれてまもなく変死したという話もあれば、クレオパトラ5世がクレオパトラ6世として、ベレニケ4世の統治の頃に共同統治したという話もあります。
いずれにせよプトレマイオス12世が亡くなる頃には、自身の妻であったクレオパトラ5世(6世)よりもクレオパトラ7世に託したのは必然だったのかもしれません。
紀元前47年 – 22歳「ナイル川の戦い」

ファラオとなるも、ローマで日々を過ごす
カエサルが間に入って和解を試みるも、クレオパトラが奇策でカエサルと深い仲になったことは、再びプトレマイオス13世の機嫌を損ねることになりました。プトレマイオス13世の一派はポンペイウスを殺害し、カエサルはこれに応える形でエジプトに上陸。ローマ軍が勝利し、クレオパトラの弟プトレマイオス13世はナイル川に身を投げて自害したとされています。
クレオパトラはカエサルの進言に従い、もう1人の弟プトレマイオス14世と婚姻関係を結びました。そうして再びファラオとして君臨しましたが、クレオパトラはエジプトからローマに移り住み、カエサルとの時間を楽しみます。
カエサルとの子、カエサリオン誕生
クレオパトラはこの年、カエサルとの間にカエサリオンという子供を産んでいます。カエサルには妻がいて、クレオパトラとはあくまでも愛人関係にありました。とはいえ、カエサルはナイル川をクレオパトラと共に遊覧したり、ローマにクレオパトラと息子の住居を用意して住まわせたりと、彼女に愛を注いでいたエピソードがいくつも残されています。
クレオパトラ自身もカエサルの寵愛を受けていたことを誇りに思っていたようで、この頃ローマで自分はカエサルの妻だと自慢して回っていたといいます。しかしながらカエサルとの子を産んだことやこうした態度、またエジプトの快楽至上主義な文化がローマ人には受け入れがたく、後の反感を買ったようです。
紀元前44年 – 25歳「カエサル暗殺」

ローマからエジプトへ
事実上、エジプトをも支配下においたことで、カエサルの地位はローマ国内でも圧倒的なものになりました。カエサルの名が後に「皇帝」を意味する単語の由来となったことからも、その影響力の大きさがわかるでしょう。その力の大きさを危険視されたカエサルは、ついに暗殺されてしまいます。
カエサルが暗殺されたことで、クレオパトラの立場も危ういものになりました。先述したようにローマでのクレオパトラの評判は決して良いものではなかったこともあり、彼女は息子のカエサリオンを連れてエジプトに戻ります。
弟を暗殺、息子と婚姻関係に
当時エジプトはクレオパトラ7世と弟プトレマイオス14世が婚姻関係を結んでいました。しかし、クレオパトラはカエサルの愛人で、実際にエジプトの実権を握っていたので、プトレマイオス14世は名前だけの統治者だったのです。
カエサルが暗殺されると、彼の暗殺に加担し、かつ時期勢力としてクレオパトラが見込んでいたブルータスも殺されてしまいますが、プトレマイオス14世も後を追うように亡くなりました。そしてクレオパトラは自分とカエサルの息子カエサリオンをプトレマイオス15世として、婚姻関係を結びます。
プトレマイオス14世の死は、一説によると息子を王位につかせるためにクレオパトラが毒殺したとされています。彼女の妹でプトレマイオス13世派だったアルシノエ4世もカエサルによって幽閉されていましたが、この後アントニウスが実権を握る頃には暗殺されていることを考えると、クレオパトラがプトレマイオス14世を暗殺したとしても不思議ではありません。
紀元前31年 – 38歳「アクティウムの海戦」

オクタウィアヌスがクレオパトラに宣戦布告
ローマの三頭政治の立役者であったレピドゥスが失脚すると、アントニウスとオクタウィアヌスが背力を争い対立する形になりました。オクタウィアヌスに勝つためにエジプトの助力を得ようとしていたアントニウスはクレオパトラの虜になり、東方専制君主としてオクタウィアヌスに戦いを挑もうとします。
いくら対立していても、オクタウィアヌスにとってアントニウスは同じローマの親族でした。親族に対して戦を仕掛けるわけにはいかないと気を効かせたオクタウィアヌスは、アントニウスがクレオパトラを組んだことをきっかけにクレオパトラに対して宣戦布告。アクティウムの海戦がはじまりました。
クレオパトラが撤退し、アントニウスも後を追う
クレオパトラとアントニウスが率いる連合軍の方が兵士の数は多く、土地の利もありました。艦隊を率いた女性は、おそらく人類史上クレオパトラが初めてだったと言われています。しかしいくら博識な彼女でも、実践の経験は乏しかったのでしょう。あっという間にローマ軍に押されてしまいます。
戦況不利と見るや、クレオパトラは早々に戦線を離脱します。名目上全体の指揮官であったはずのアントニウスも、クレオパトラを追って前線を離れてしまいました。指揮官を失った連合軍はまたたく間に鎮圧され、オクタウィアヌス側の勝利となったのです。
敗戦したアントニウスは監禁されますが、クレオパトラが死んだという嘘の情報を受けて自害してしまいます。クレオパトラに心酔していたことがよくわかるエピソードですが、一方でクレオパトラの方はアントニウスにはとっくに愛想をつかしていたようです。次の策としてオクタウィアヌスを誘惑しようとしましたがそれに失敗すると、監禁された牢の中で自害しました。
クレオパトラの関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
『プルタルコス英雄伝 下』(プルタルコス著・村川 堅太郎他訳/ちくま学芸文庫)
「最後のギリシア人」とされている最高神官・プルタルコスが、故国ローマに生きた英雄たちの生き様を描いた伝記です。アントニオとオクタウィアヌスの章にクレオパトラのことが詳しく記載されています。
クレオパトラの死について書かれたものとしては最古のものとされており、今ある多くのクレオパトラのイメージを作り上げた原点といっても過言ではありません。
クレオパトラの謎 (講談社/吉村作治 著)
クレオパトラについて知りたいという方におすすめです。史実に基づいて、クレオパトラがどのような野望を抱き、ローマの英雄たちを誘惑していったのかを、臨場感たっぷりに描いています。「あの名言はこの背景の中で生まれたのかもしれない」と想像を巡らせることが楽しくなりますよ。
クレオパトラ(文庫クセジュ/クリスティアン・ジョルジュ・シュエンツェ 著/北野 徹 訳)
クレオパトラがどのような女性だったのか、その実像を読み解いていく一冊です。一般的に知られている伝記はもちろん、パピルス文書や古銭、碑文などの考古学資料にも基づいて解明していきます。名言の背景にあった彼女の暮らしや人間関係を、歴史的事実から知ることができるでしょう。
クレオパトラをよく知れるおすすめ本6選【伝記から小説、漫画まで】
おすすめの動画
究極悪女クレオパトラ7世 エジプト最後の女王をゆっくり歴史解説!
クレオパトラの人生を解説した動画です。クレオパトラをかなりの悪女と表現しているので賛否両論あるかもしれませんが、プトレマイオス朝の成り立ちや親族結婚の由来なども掘り下げて説明されているので、クレオパトラ自身のことを歴史的背景と一緒に学べます。
【再編集】しくじり一族 クレオパトラ知られざる争いの歴史【ゆっくり解説】【前編】
わかりやすく情報が入ってきやすいと評判の動画です。極端なたとえ話を交えているので、見終わるとクレオパトラや他の登場人物たちが紀元前の人とは思えないような、身近な存在になったような気になります。後編も併せてじっくり楽しんでみるといいでしょう。
おすすめの映画
映画『クレオパトラ』(監督:ジョセフ・L マンキーウィッツ/1963年公開)
映画史上最高額ともいわれる製作費約290億円、製作に4年もの月日をかけたことで、映画史上に名を残すことになった作品。
ゴールデングローブ賞で4部門、アカデミー賞でも4部門受賞しており、臨場感あふれる映像は非常に良く作り込まれているとして、高い評価を得ています。時間は長いですが、見終えたあとには深い感慨を覚えること間違いなしです。
おすすめドラマ
レジェンド・オブ・エジプト(監督・フランク・ロッダム/1999年)
120分で観られる、アメリカのテレビ映画です。主演のレオノール・ヴァレラのエキゾチックな演技と素晴らしいセットで、臨場感あふれる作品になっています。ローマとの関係も細かく表現されており、クレオパトラが歴史を動かしていく姿がより引き立っています。
関連外部リンク
クレオパトラについてのまとめ
クレオパトラが絶世の美女、悲劇の女王と評される理由が、少しでも伝わったでしょうか。私も詳しく知る前までは、数々の男性を籠絡させる美貌を持っていた、ことくらいしか認識していませんでした。
こうして紐解いてみると、エジプト王国を存続させるためにあらゆる努力をしていたことがわかりました。そのために知性を磨き、美を追求した彼女の姿は、現代の女性やビジネスパーソンにとっても心の拠り所となるのではないでしょうか。
この記事を読んで、またクレオパトラの虜になる人が増えたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
クレオパトラ七世フィロパトルのことが詳しく知れてうれしかったです、そして詳しく分かりやすく書いていたのでとてもありがたかったです!
わかりやすかったです
クレオパトラについて詳しく分かり、世界史も面白いと思いました!
クレオパトラについて知れました!
凄くわかりやすかったです。
ありがとうございました