現代の太陽系外縁天体の研究
天体同士の衝突
太陽系外縁天体としてその存在が認められるようになった今日、天体同士の細かな衝突が太陽系外縁天体をつくりだしていることがわかってきています。太陽系外縁領域には直径100kmより大きな天体が7万個以上、彗星も無数に存在するとされ、そこでは頻繁に天体同士の衝突が起こっているとされています。
日本で史上初の観測
太陽系外縁には、地球と同等サイズかもっと大きいサイズの惑星が2つ以上はある、と予測されています。一方で、2019年には京都大学の研究チームによって「微惑星」の生き残りとされる小さな天体が発見されました。
「微惑星」とは惑星を形成したとされる始原天体のことです。その生き残りとされるこの天体は半径わずか1kmという極小さなもので、以前から彗星の供給源として存在するといわれていました。これまですばる望遠鏡などの大きな望遠鏡では見つからなかったのですが、京都大学の研究チームが小型望遠鏡を用いて発見。史上初の快挙となったのです。
太陽系外縁天体には、このようにまだまだ未知数の世界が広がっています。これからも新たな発見に期待したいところですね。
太陽系外縁天体ランキング
大きい太陽系外縁天体ベスト3
- 1位:エリス/直径約2400km
- 2位:冥王星/直径約2302km
- 3位:2003 EL61/2000×1000×1200kmくらい
太陽系外縁天体の中では一番最初に見つかり、知名度も高い冥王星ですが、現状では2番目の大きさです。ちなみに、地球の直径は12742km。太陽系外縁には地球と同等のサイズやそれ以上のサイズもあるといわれているので、冥王星やエリスはそれに比べたらまだ小さい方です。今後研究が進めば、このランキングも変化していくでしょう。
遠い太陽系外縁天体ベスト3
- 1位:Farout(ファーアウト) /約120AU(180億km)
- 2位:セドナ/約76AU(112億5200万~約1430億km)
- 3位:マケマケ/約46AU(55億8100万~80億3200万km)
AUはAstronomical Unitの略で、日本語では「天文単位」と呼びます。太陽と地球との平均的な距離を示す単位で、1AUは太陽と地球との距離が約1億5000万kmであることを意味しており、天文学で距離を表すのに使われます。
それだけでも気の遠くなるような数字ですが、その120倍もの距離の先にFaroutという天体があることがわかりました。その存在がはっきりとしたのは2018年のこと。太陽の周りを1000年以上もの長い月日をかけてまわっていると言われています。
太陽系外縁天体の書籍
最新 惑星入門/著・渡部潤一、渡部好恵(朝日新書)
太陽系の惑星から太陽系外縁天体までを網羅した専門書です。著者の1人渡部潤一氏は、国際天文学連合「惑星の定義委員会」の委員として、冥王星を惑星ではないという最終決定をおこなったメンバーの1人でもあります。専門的な内容ではありますが、太陽系全体をきちんと知りたい方への入門書としてもおすすめ。
「マーカス・チャウンの太陽系図鑑」
太陽系の基本からオールトの雲まで幅広く網羅した図鑑。NASAやその他宇宙機関から寄せられた400点以上もの美しい写真が掲載されており、太陽系の姿を視覚的にイメージできます。大人から子供まで太陽系を知ることのできる1冊です。
まとめ
いかがでしたか?今回は太陽系外縁天体についてまとめました。
冥王星が惑星から除外されたニュースは知っていても、太陽系外縁天体が何なのか、どのような歴史があってどのような研究がなされているのか、知る機会のあった人は少ないのではないでしょうか。
太陽系外縁天体は太陽系よりはるかに遠くにあるため、全貌は明らかになっておらず、日々研究が続けられています。そこには太陽系の始まりの秘密が隠されているかもしれませんし、地球と同じように生命を育む星があるかもしれません。なんだか、ワクワクしてしまいますね。
この記事をきっかけに、太陽系外縁天体に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。