太陽系外縁天体のある場所
エッジワース・カイパーベルト
海王星よりも遠くの太陽系の外縁に円盤状に広がっている、複数の小さな天体の群れのことです。1943年にアイルランドのエッジワースが、1957年にアメリカのカイパーがそれぞれ提唱したことから、その名前がつきました。
エッジワース・カイパーベルトにある天体をエッジワース・カイパーベルト天体と呼び、海王星の軌道の30auから55auまでの間にある天体がそれに分類されています。
散乱円盤天体とオールトの雲
散乱円盤天体は、エッジワース・カイパーベルトより外側にある太陽系外縁天体の群れです。ほとんどの天体は記号で管理されており、名前がつけられているのは冥王星型天体であることがわかっているエリスのみ。距離が遠すぎて未だに曖昧な部分を多く残しています。
太陽系外縁天体には、オールトの雲に含まれている天体もあります。オールトの雲とは太陽系の周りにある1万〜10万auの大きさの、微惑星が球状に分布している部分を指します。彗星の巣ともいわれており、他の惑星の重力作用の影響を受けてできています。
太陽系外縁天体が注目されるワケ
太陽系の大きさが変わる!?
太陽系外縁天体は、現代の太陽系形成論において「微惑星」の生き残りと考えられています。微惑星とは、46億年前に太陽系が誕生した時の始原的な天体のこと。太陽から遥か遠く離れたところにそんな存在があること自体、太陽系の大きさの計り知れなさを体感させてくれます。
加えて、太陽系外縁天体にはまだ未知の天体が多く眠っています。これらが解き明かされたとき、太陽系はまだまだ広がりを見せることとなるでしょう。
第9惑星が存在する可能性
太陽系外縁天体で新たな天体が発見されるたび、そこには第9惑星が発見される可能性が眠っているとされています。2018年にも新たな準惑星である2015 TG387が発見され、ゴブリンという愛称がつけられました。
ゴブリンは氷で覆われた準惑星とされ、太陽から遥かに遠い距離を不規則な軌道を描いて公転しています。こうした準惑星があるということは、そこには太陽系の9番目の惑星、ひいては地球と同じように生命を育んでいる惑星が存在する可能性をも示唆しています。
太陽系外縁天体発見の歴史
太陽系外縁天体は、遠すぎるがゆえに太陽の光がわずかにしか届かず、全体的に暗く見えるとされています。そんな太陽系外縁天体が認知され、今日のように研究がなされるようになった歴史を簡単に見ていきましょう。
冥王星は惑星ではなかった
太陽系外縁天体が世間に認知され、その名称が正式に定められるきっかけとなったのが、冥王星の分類が変わったことです。1992年、うお座の中でQB1と名付けられた小惑星が発見され、それを皮切りに数々の太陽系外縁天体が発見されました。
発見された太陽系外縁天体の中には冥王星を超える大きさのものもあり、冥王星も同様に惑星ではないのではないか、と疑問視されるようになりました。国際天文学連合で議論が交わされ、惑星や準惑星の定義を決めたところ、冥王星は惑星の定義をすべて満たしていないため、準惑星に再分類されることとなったのです。
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惑星になりきれなかった天体
エッジワースの仮設
1930年に冥王星が発見されてから、多くの人々が冥王星の周辺に他の星が存在することを想像しました。ケネス・エッジワースもその1人。彼は1943年に、海王星よりも遠方には物質同士の間隔が広いために惑星になることのできなかった天体が存在している、という仮設を立てました。その天体が存在する領域から一部の天体が太陽系の内部に訪れ、彗星になると考えたのです。
カイパーの推測
1951年、ジェラルド・カイパーは、太陽系の進化の過程でエッジワースと同様に小天体による円盤が形成されたことを推測し発表しました。少し異なる点としては、当時は冥王星が地球サイズのものと考えられていたため、これらの小天体は冥王星によって太陽系の外に散乱したと結論づけていた点が挙げられます。