1517年「宗教改革が起こる」
1517年、教皇レオ10世による免罪符に対して疑問をもったドイツの神学者マルティン・ルターが、「九十五か条の論題」を教会のドアに貼り付けたこがきっかけで宗教改革が始まりました。ルターと同じく教会の支配に疑問を持っていた諸侯や農民の間でルターへの支持が拡がり、「人は信仰によってのみ救われる」というルターの新教とカトリックの対立は深まります。1555年のアウクスブルクの和議で新教の信仰が認められたことで対立は終結します。
スイスでは、人文学者であったカルヴァンが宗教改革の中心となり、カトリック教会や教皇の権威を否定し、ルターと同じように「信仰によってのみ救われる」と説きました。カトリックに対抗するルター派やカルヴァン派などを「プロテスタント(抗議する者)」と呼ぶようになります。
イギリスでは、離婚を認めないカトリック教会に対し不満も持った国王ヘンリー8世がカトリック教会と対立しました。ヘンリー8世は、イギリス国内の教会は国王が支配するという「国王至上法」を制定してカトリックから離脱し、イギリス国教会を作りました。
このように、ヨーロッパ各国で起きた宗教改革によって、西ヨーロッパは、カトリックと、プロテスタントと、イギリス国教会に分かれました。
1534年「イエズス会の成立と海外進出」
イエズス会は、1534年にイグナティウス・ロヨラやフランシスコ・ザビエルらによって結成された修道会で、「ローマ教皇への絶対服従、神と教皇の戦士として伝道」を使命とし、宗教改革へ対抗するために教皇に中世を誓う若者たちで作られました。
イエズス会は宣教師の育成に努め、大航海時代の流れに乗る形でアメリカ新大陸やアジア、アフリカにキリスト教宣教師を派遣しました。1549年、日本に上陸したフランシスコ・ザビエルは、日本でキリスト教の布教活動をおこないました。
16世紀から18世紀まで海外で積極的な布教活動をおこなったイエズス会ですが、国家政策との対立問題などから、1773年に教皇クレメンス14世によって解散させられました。その後、1814年に再興されるとさらに組織を拡大し、子供や女性の教育に重きをおいて世界各国にカトリックの学校を設立していきました。
1869年「第1バチカン公会議」
19世紀は、ガリレオやコペルニクスなど合理主義の台頭や、フランス革命やアメリカ独立などの影響で、カトリック教会の排斥が進みましたが、1869年に開かれた第1バチカン公会議で、カトリック教会は再び力を取り戻します。男女それぞれの修道会は、霊的指導や教育、福祉や医療、学問、芸術など様々な分野で活動し、その活躍は国際的に拡大していきました。
南北戦争後の北アメリカでは、カトリック宣教会の活躍によってカトリック教会は急成長し、プロテスタント国であるアメリカにおいて、カトリック信者を増やすことに成功しました。
20世紀以降のカトリック教会
19世紀には、マルクス主義の台頭やロシア革命の勃発で、カトリック教会は社会問題に取り組むようになりました。20世紀になると、カトリック教会は、二つの世界大戦や東西冷戦などの影響で様々な改革を余儀なくされます。
1962年の第2バチカン公会議では、長い間の閉鎖主義を撤回し、カトリックの伝統を保ちながら「開かれた教会」をめざすこととなりました。現在は、プロテスタント教会との合同運動、他宗教との対話をはじめ、平和運動や学術交流などをおこなっています。
ローマカトリック教会の関連作品
書籍・本
ローマ・カトリック教会の歴史
イエス・キリストの復活から現代まで、時代ごとの世界情勢と教義と組織を合わせて、カトリック教会が現在までどのような道を歩んできたのか説明がされています。主にローマ・カトリック教会の組織としての視点からみた歴史が書かれています。カラー図解で分かりやすく、綺麗にまとまっています。
ローマ教皇歴代誌
2000年にわたりキリスト教徒を導き、ヨーロッパの政治や文化に影響を与えてきた歴代教皇全員について説明されています。初代教皇の聖ペテロからヨハネ・パウロ二世まで、実に263人の教皇の本名、出身地、在位期間などはもちろん、逸話なども盛り込まれていて面白く読めます。
図説 宗教改革 (ふくろうの本/世界の歴史)
ヨーロッパの宗教改革について図説で紹介しています。宗教改革について知りたい初心者の方におすすめの一冊です。
ローマカトリック教会に関するまとめ
ローマカトリック教会についてご紹介してきました。ローマカトリック教会は、キリストの誕生から2000年の間迫害や改革を経て、現在世界中に10億人以上の信徒を持つ最大の宗教となりました。
いつの時代も人の争いは絶えず、世界のどこかではいつも争いが起きています。そのような世界だからこそ、カトリック教会が説く「隣人愛」が大切なのではないかと思います。子の記事がきっかけでローマカトリック教会についての興味を深めて頂ければ嬉しく思います。