菱川師宣とはどんな人?生涯・年表まとめ【作品や功績、浮世絵の確立までの経緯なども紹介】

1690年前後 – 60歳前後「『見返り美人図』の制作」

見返り美人図
見返り美人図

肉筆画で見返り美人図を制作する

師宣は女性を描くことに定評があり、親交のあった井原西鶴にも「菱川が書きし小気味のよき姿枕」と賞賛を受けています。これまでは京都風の美人絵が描かれることが多かったため、師宣の描いた女性は「これが江戸の美人だ」と評判を呼びました。

「見返り美人図」は1688年から1694年までの間に描かれた作品で、当時流行っていた漢文美人図の描き方を踏襲しています。その一方で女性の髪型が「玉結び」であることや帯の締め方が「吉弥結び」であることは江戸の流行をとらえて描かれたのでした。

見返り美人図 切手
見返り美人図 切手

「見返り美人図」は現代の郵便切手にも描かれたことがあるため、世間に広く知られており、現在でも高い評価を受けている作品です。

1694年 – 64歳「菱川師宣死去・死因は不明」

晩年の作品 歌舞伎図屏風 重要文化財
晩年の作品 歌舞伎図屏風 重要文化財

64歳でこの世を去る

師宣は晩年も精力的に作品制作に取り掛かり、「歌舞伎図屏風」や「大江山鬼退治絵巻」などの大作を残しますが、1694年に64歳で帰らぬ人となります。

菱川師宣に関する資料が1703年の元禄地震による津波で流されてしまったため、菱川師宣の生年月日や幼少期の年譜、死因、死没日などは明らかになっていません。

菱川師宣の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

江戸の絵師・菱川師宣

浮世絵を世間に広める重要な役割を果たした菱川師宣の生涯を紹介している書籍です。安房国保田村の縫箔師の子供として誕生し、狩野派、土佐派などの絵画を学んでいくうちにその魅力に気づき、絵師として生きる道を選んだ師宣。その生涯で成し遂げた功績はどのようなものがあるのでしょうか。

菱川師宣と浮世絵の黎明

浮世絵の作品を研究した成果を紹介する書籍です。錦絵誕生までの初期浮世絵について菱川師宣をはじめとする代表的な絵師の肉筆画や版画、春画を170点に渡って解説しています。資料が津波によって流されてしまったために詳しいことが明らかになっていない菱川師宣を徹底的に解剖しています。

おすすめの作品

好色一代男

国立国会図書館が所蔵している「好色一代男」をインターネット上に公開している資料で、著作権保護の期間がすぎた画像データをKindle版として制作したものです。井原西鶴が執筆し、菱川師宣が挿絵を担当した当時のベストセラー本です。

江戸雀

国立国会図書館に所蔵してある「江戸雀」の原本をKindle版に作り変えて公にされている書籍です。当時の江戸のガイドブックとして用いられていた菱川師宣作の絵本がどのようなものであったのかを知ることのできるデータ版書籍となっています。

奈良名所八重桜

菱川師宣の制作した奈良のガイドブック「奈良名所八重桜」を国立国会図書館が所蔵しているものをKindleのデータ版として作成し直し、公にしている書籍です。当時の作られた状態そのままでデータ化されているため、菱川師宣の作品がどのようなものだったのか興味がある方にはおすすめです。

おすすめのDVD

浮世絵 春画 曼荼羅

浮世絵絵画の巨匠13人の作品を収録したDVDです。菱川師宣の江戸の春画から葛飾北斎の傑作「縁結出雲杉」、歌川国芳の「吾妻源氏」に至るまで巨匠たちの絵巻や艶本を紹介しています。春画はデジタル画像で鮮やかな色彩、構図、巧みな筆使いを再現し、加工を施さずに収録されています。

おすすめドラマ

DVD『浮世絵春画曼陀羅』 DISC1 Trailer <故林美一のコレクション> shunga 音声では春画に書かれているテキストを男女共に艶めかしく読み上げる

Youtubeリンク

おすすめのDVDで紹介した「浮世絵春画曼荼羅」の一部を切り取って動画にしてあります。DVDに興味を持ったけど手が出せないという方はこの動画を鑑賞してどのようなものか吟味してみると良いかもしれません。

菱川師宣についてのまとめ

菱川師宣は幼少期は縫箔を継ぐために修行を重ねながらも、その過程で下絵について学ぶに連れて絵画の魅力に取り憑かれていき、絵師としての道を選ぶことになります。絵師としての活動をするかたわら、庶民の手にも絵画が幅広くいきわたるように浮世絵版画を発明したことが大きな功績の一つです。また、晩年には現代でも高く評価されている「見返り美人図」を仕上げました。

菱川師宣に関する資料は津波によって流されてしまったため、生年月日や死没日などは明らかになっていませんが、彼が生涯で成し遂げたことは後世の葛飾北斎をはじめとする浮世絵画家に多大な影響を与えたのでした。

今回は菱川師宣についてご紹介しました。この記事をきっかけにさらに興味を持っていただけると幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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