部外者は口を慎むべし
疎きは親しきを間てず
劉表の息子であった劉琦が、後継者問題で悩んでいる時に諸葛孔明に助言を求めました。これはその時の名言で、部外者は親密な間柄の者たちに口を出すべきではないという意味です。三国志では、困り果てていた劉琦に、結局孔明は助け舟を出します。ぶれない指針を持ちながらも、つい手を貸してしまう、情に厚い孔明の一面が垣間見えるような場面です。
近年はSNSが浸透した影響で、関係ない人でも色々な声を発することができるようになりました。便利なツールとして活用する分にはいいでしょうが、何事も発信する前に一呼吸おき、この一言を思い出せると良いですね。
気にくわない人とも仕事は協力してすべし
好尚同じからざると雖も、公義を以て相取る
劉備元徳が呉との戦いに破れたと聞き、諸葛孔明はもし法正が生きていればこんなことにはならなかったと嘆いたと言います。法正とは蜀の政治家で、劉備元徳が漢中王になるために大きな功績を挙げた人物です。
有能な法正ですが、性格は執念深く、一度恨みを抱くと必ず処刑まで持ち込むなど、諸葛孔明とは正反対の性格だったようです。しかし仕事に関しては諸葛孔明は法正と協力して行います。それについて述べたのがこの名言です。たとえ馬が合わない人間でも、自分の感情は二の次にして、公の場では協力しようという意味です。
成功の鍵はチャンスを掴むこと
夫れ必勝の術、合変の形は、機に在るなり
必ず勝てるかどうか、変化を上手く捉えていけるかどうかは、好機を捕まえられるかどうかにかかっていると言う意味です。諸葛孔明の抜きん出た才能の一つに、チャンスを見逃さずに捉えることのできる能力があったのだと思います。赤壁の戦いで東南の風を吹かせるなどは、まさにその一つですね。
好機がいつなのか判断するためには、地道な情報収集はもちろん、豊富な知識が必要です。諸葛孔明はただ天才だっただけではなく、そうなるための努力を重ねてきた人だった訳です。
部下の小さな功績も見逃してはならない
小善を必ず録し、小功を必ず賞せば、則ち士勧まざる無し
良いことは小さなことでも必ず記録しておき、功績は小さなものでも必ず評価すれば、部下はすすんで働くものだという意味です。諸葛孔明は、軍師として戦をすることも上手でしたが、内政を充実させるため、部下を上手く使うことにも長けていました。それはこうした諸葛孔明の信念があったからでしょう。
幼い頃、些細なことでもきちんと見ていて褒めてくれた親のことや、目立たずともやっていたことを評価してくれる先生のことは、成長してからも覚えていたりしませんか?そういった小さなことの積み重ねが、人を成長させ、さらには今度は自分が評価してあげる側に立っていくようになるのだと思います。
将も常に部下と同じ環境にいるべし
夏に扇を操らず、雨に蓋を張らず、衆と同じくするなり
将だからといって夏には扇子を使って涼しくしたり、雨が降っても傘をさしてはいけません。将も常に部下と同じようにしていましょうという意味です。
これも諸葛孔明の人身掌握術の一つでしょう。諸葛孔明が息を引き取った時、蜀軍の末端の兵士までが大いに嘆き悲しんだと記録にありますが、日頃の諸葛孔明の謙虚な姿勢が、自然と兵士たちの心を掴んでいたことの証だと言えると思います。
見るにつけ、聞くにつけ、感心していましたが、
今回はさらに、
なんとまぁ。
かくも、すがすがしい。
の一言につきると存じ上げます。
諸葛殿が今の太陽出ずる国を、ご覧になられたら、どんなお言葉をかけてくださるでしょう。
又、諸葛殿が現代の日の本に、いてくだされば。