10位:阪急電車
読んでみて
2008年1月に幻冬舎から刊行された有川浩さん原作の短編小説集。阪急宝塚駅から阪急今津駅まで結ぶ阪急今津線を舞台にした作品で、宝塚駅から西宮北口駅までの8つの駅で起こる乗客たちのオムニバス形式の作品となっています。
「あの人達、付き合ってるのかな」、「あの人、どこまで行くんだろう」と、電車内で人間観察をしているような面白味のある作品です。2011年には映画化もされており、中谷美紀さん、戸田恵梨香さんなどが出演しております。
みんなのレビュー
登場人物達がじつに真っ当な考えを持ちシャキシャキと行動していて安心して読めて読後もほのぼのと気持ちが良いです。皆さん好ましい人物ですが特に翔子姐様には怖いけど憧れてしまいます!美人で賢く大抵の相手には威嚇の利く女で、牙を隠す術は知っているが、一度牙を剥いたら確実に相手の首を獲りにいく‥実際に居たらこういう女性は一般的には女の敵になりそうだし生きにくそうです。たまたま乗り合わせた知らない人に救われたり、学ばされたり‥人生って不思議で面白いと再認識しました。
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9位:化物語
読んでみて
2006年に講談社BOXから発売された西尾維新さん原作のファンタジーライトノベル作品。日本の田舎町に住む主人公・阿良々木暦が、「怪異」にまつわる少女たちに翻弄されながらも、その怪異の事件を解決していく物語。
2009年にアニメ化されて以降、その独特な世界観などが人気を博し、〈物語〉シリーズとして「偽物語」「傷物語」など様々な作品がある人気の作品となっております。
みんなのレビュー
自粛期間にアニメにハマってしまい、原作シリーズを大人買い。初めてライトノベルというジャンルを読んだが、文体のテンポと台詞が軽く、活字なのにマンガを彷彿させる。 全体のストーリーはアニメで既に知っていたが、原作では更に会話や言葉遊びが深く描かれていて、個人的には原作の方が好み。 先にアニメを見てから読んだからか、台詞が声優さんに脳内変換して読めるので、面白さが更に倍増している気がする。
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8位:蜘蛛の糸
読んでみて
1918年に発表された芥川龍之介初の児童文学作品。天界に住むお釈迦様が、蓮の池から地獄を覗き見ると、様々な悪行を犯した罪人たちが苦しんでおりました。その中で、生前に蜘蛛を助けたことがある罪人・犍陀多という人物がおり、お釈迦様は彼を救い出そうと地獄へ蜘蛛の糸を垂らすのですが…という物語。
童話としても知られているこの作品ですが、改めて読んでみると、その人間の強欲さというものをしっかりと感じる作品になっているかと思います。
みんなのレビュー
子供の頃、学校で読んだと思う。怖かった。大人になり読み返すと、その糸を手繰り寄せ登る人、登らない人、その糸が切れてしまう人、そのまま登り続ける人、糸は何本も有ります 選択は自由です。 釈迦は立ち去ったのではなく、新しい糸を取りに、探しに行ったと思う。
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7位:西の魔女が死んだ
読んでみて
1994年に単行本が発売され、2001年には新潮文庫から文庫本が刊行された梨木香歩さん原作の小説。主人公であるまいは、不登校になってしまい、「魔女」と呼ばれるおばあちゃんと暮らしており、おばあちゃんから「魔女」になるための修行をしていたのですが…という物語。
筆者もおばあちゃん子なので、この作品を読み終えた時には、感動しました。おばあちゃんの愛情というのは、時としていらないと感じてしまいますが、それでも、大きな愛情があるんだと、あらためて気づかせてくれる作品です。
みんなのレビュー
直感は大事だけれど、それは激しい思い込み、妄想となってその人自身を支配してしまう。直感は、心の中にしまっておきなさい。いつかそれが真実であるかどうかわかるときがくるでしょう。って言うおばあちゃんのセリフに、自分自身に思い当たる節があって、納得した。なかなか言語化できない自分にとっては、それを言葉にして伝えてくれているため、とてもわかりやすいし、気づかされる貴重な本。大切なことを忘れてしまいそうになったとき、この本を読みたい。
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6位:僕は何度でも、きみに初めての恋をする。
読んでみて
2015年にスターツ出版文庫から刊行された沖田円さん原作の恋愛小説。主人公である女子高生のセイは、ある時、カメラを持った不思議な少年・ハナと出会い、次第に2人は悩みや苦しみなどを分かち合うようになっていく…という物語。
楽しいときというのは一瞬で過ぎ去っていきますが、その一瞬を何十年と記憶出来るというのがどれだけ素晴らしい事なのか。この作品は、そういったことを実感させてくれる作品となっています。
みんなのレビュー
出会いって、当たり前の出来事として思いがちだけど、出会う瞬間にその場所を選んで、自分と相手がいたから初めてその出会いが成立する。出会いは偶然がいくつも重なり合った奇跡なんだ。
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5位:火花
読んでみて
2015年、文芸雑誌「文學界」に初掲載され、2015年の芥川賞を受賞した芸人「ピース」の又吉直樹さん原作の中編青春小説。熱海の花火大会で出会った売れない芸人「スパークス」の徳永は、先輩芸人「あほんだら」の神谷に弟子入り志願するも、神谷から「伝記を書いてくれ」という条件をつけられ…と言う物語。
「タレントの純文学作品」という事で注目された作品ですが、又吉さん独特の言葉遣いと情景描写にどんどん惹かれていく、読みやすい作品となっていておすすめです。
みんなのレビュー
「諧謔心と人間ドラマの融合」 漫才にスポットを当てた点、現代純文学作品としては一見野暮ったく俗に思える文体が、作者渾身のお笑いに関する「体験」と人間に肉迫する「現実」とで、ユーモラスに感慨深く響き合い、結果、“笑い”の純粋なる熟考が文壇に新鮮である。
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4位:坊っちゃん
読んでみて
1906年に俳句雑誌「ホトトギス」の付録にて発表された夏目漱石原作の中編小説。「親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしてきた」破天荒な主人公・坊っちゃんが愛媛県・松山の中学校へと教師として赴任し、ひと騒動を起こす物語。
漱石自身の経験を基にした作品であり、個性的な登場人物とスカッとする坊っちゃんの破天荒さに、すいすいと読み進めることが出来る名作となっています。
みんなのレビュー
現代小説では強烈なオチが用意されていることが多いが、この時代の小説はスッと物語の終末を迎える。だが、強烈なオチが無くとも口は悪いが小気味良い語りに引き込まれて読む手が止まらなかった。大人になって思うが、歳を食うと赤シャツみたいになる人間のなんと多いこと。漱石本人が愛媛で教師をしたときの経験が作品にかなり影響していると思われるが、田舎でよほど嫌な思いをしたのかなぁ…と感慨にふけった。
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3位:君の膵臓を食べたい
読んでみて
小説投稿サイト「小説家になろう」にて投稿され、2015年6月に単行本化された住野よるさん原作の恋愛青春小説。主人公である「僕」がクラスメイトの山内桜良の秘密の日記帳を拾ったことをきっかけに、桜良の膵臓の病気を知ることになり…という物語。
2人の距離感が、絶妙な雰囲気を漂わせている作品です。2016年にはオーディオドラマ化されるなど、様々な媒体で楽しむことのできる作品となっています。
みんなのレビュー
泣いた! はいはい、病気で誰かが死んでしまう話でしょー子供のロマンスでしょー、と斜に構えて読み始めたのがいい意味で裏切られた。悲しさと感動のミックス涙がとまらない。最近泣いてなかったのでストレス発散させてもらいました。
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2位:バッテリー
読んでみて
1996年から教育画劇より刊行され、1000万部以上のヒットを記録したあさのあつこさん原作の青春野球小説。岡山県へと引っ越してきた主人公の中学生ピッチャー・原田巧は、キャッチャーである永倉豪と出会い、バッテリーを組むことになるのですが…という物語。
全6巻あるシリーズ作品ですが、巧と豪の成長物語であり、中学生ならではの心情変化など、読みやすく表現されているおすすめの作品となっています。
みんなのレビュー
大人が好む“良い子ちゃん”ではない、強烈な個性と揺るぎない意思を持った、一人の少年の物語。大人を見下しながらも親の愛を求め、病弱な弟を疎ましく思いながら同時に愛する。手先は器用でも人間関係には不器用。ゴツゴツして、真っ直ぐで、わがままで、純粋。この少年像に強く惹かれます。生まれたばかりの息子に、10年後、読んで貰いたい本です。
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1位:星の王子さま
読んでみて
1943年にアメリカで出版された小説家である飛行士のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの作品。操縦士である主人公の「ぼく」は、飛行機事故の為、サハラ砂漠へと不時着し、そこで一人の少年である小惑星の王子様と仲良くなるのですが…という物語。
一見すると、童話のような世界観ですが、その中でも、愛や生命の尊さと言った深いテーマが取り上げられている名作文学の一つです。
みんなのレビュー
内容はかなり昔読んでいて知ってはいるが、今回の翻訳は平明な文章でいろいろ想像しながら読める。翻訳者の河野真理子さんは『小さいころから海外の絵本が大好きで、字が読めるようになるとすぐ、作者や画家のカタカナの名前に並んで日本人の名前もあるのに気がつき、そこで「外国のお話を日本語にする」人がいるのを初めて知って、「わたしもそういう人になりたい」と思ったのを覚えています。』と言われており、そんな思いを実現されている所が良い。
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まとめ
上述で紹介した作品以外にも、魅力的な作品は山のようにあります。そういう場合は、近くの図書館や学校の図書室、Kindleの無料作品などを利用すると、より新しい本に触れることが出来ます。直感で、「読んでみたい!」と思う本との出会いがあれば、なおいいかもしれません。
近年は、動画サイトの普及などにより活字離れが嘆かれる世の中ではありますが、本には本にしかない魅力が詰まっているかと個人的には思います。この記事をきっかけに、読書好きな方が増えてくれれば、幸いです。