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ロココ様式とは?特徴を建築や絵画、家具や音楽などの実例を交えて解説

「ロココ様式ってどんなもの?」
「ロココ様式っていつの時代の様式?」
「ロココって言葉は聞いたことがあるけど…」

このようにお考えではありませんか?「ロココ様式」ときくと、なんとなくお姫様のようなドレス、レースやリボンなどの女の子らしいインテリアを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

ロココ様式とは、18世紀のヨーロッパ、特にフランスの宮廷で発展した美術様式で、「ロココ」という可愛らしい音の響きからもイメージができるように、繊細で柔らかい、フェミニンさが特徴です。ロココ様式の幅は広く、インテリアからファッション、音楽や絵画まで広がりました。

今回は、18世紀のフランス宮廷の文化に魅せられあらゆる本を読み漁った著者が、ロココ様式の魅力をご紹介します。

ロココ様式とは?簡潔に概要をまとめた

ロココ様式の天井画

ロココ様式とは、1710年代から1760年代までのヨーロッパ、特にフランス宮廷を中心にみられる美術様式のことをいい、この時期の文化全体を「ロココ文化」と呼ぶ場合もあります。「ロココ」とは、貝殻や石などを嵌め込んで飾った岩を意味する「ロカイユ」という言葉が語源となっています。

ロココ様式の流行は、太陽王と呼ばれたルイ14世が死去したことで、その支配から自由になった貴族たちがそれぞれの邸宅に戻り、荒れ果てた屋敷をリノベーションするのをきっかけに始まりました。ルイ14世時代の厳かで豪華絢爛なバロック様式から、優雅で親しみやすくリラックスできる空間であるロココ様式へと、インテリア全体が柔らかく女性的な印象に変化しました。

もう一つロココ様式の発展に影響を与えたのが、ルイ15世の時代に流行した「ブードワール」と呼ばれる隠れ家的な女性専用サロンです。この小さなサロンに置くための可愛くエレガントなロココ様式の家具が、宮廷の貴婦人達の間で大人気となりました。

ロココ様式の2つの特徴

特徴1「優雅でエレガントなデザイン」

ロココ調のデザインの化粧台

ロココ様式のデザインの特徴は、優雅でエレガントな曲線です。ルイ14世時代の威厳あふれるデザインよりも、自由でリラックスできるデザインが特徴です。ロココ様式のデザインは「S字形」と「C字形」がポイントで、家具の足がゆるやかなS字になっていたり、C字にカールした装飾が主に使われています。

ロココ様式で使われたモチーフは、流れるようなリボン、つる、貝殻、アカンサス模様や花柄など可愛らしく女性的なものです。バロック様式で多く使われた天使や植物のモチーフはそのまま引き継いだものの、リボンや貝殻、アンカンサス模様などが彫られたテーブルや椅子などの家具、鏡や額縁などの小物が流行しました。

特徴2「女性的で柔らかい色使い」

プチ・トリアノン宮 王妃の寝室

ロココ様式のもう一つの特徴は、柔らかい色使いです。王の威厳や権力を象徴するかのような黄金の輝きや華美な色が好まれたバロック様式に比べ、ロココ様式では柔らかいパステル調の色合いが多く使われれました。バロック様式が荘厳で威圧的であったのに対し、ロココ様式は開放的で癒しであったと言えるかもしれません。

ロココ様式では、明るいブルーやローズピンク、白や薄紫などの色が多く使われ、中国などのオリエンタルなデザインも取り入れられました。シルクのテキスタイル産業の発展も加わり、インテリア全体が柔らかく女性的な印象に仕上がりました。

ロココ様式の時代を代表する人物は?

ポンパドゥール侯爵夫人

ポンパドゥール侯爵夫人

ポンパドゥール侯爵夫人は、フランスブルボン王朝のルイ15世の愛妾です。平民の出身にもかからず、その美貌と才能でルイ15世の心をつかみました。政治にうとく関心がないルイ15世に代わって、宮廷で権力を握り、外交政策や人事までも夫人が動かしていたといいます。

大変な才女であったポンパドゥー侯爵ル夫人は、自分のサロンでモンテスキューと文学を語り、ヴォルテールと哲学を論じ、さらに歌と踊りが得意でクラヴサンを弾き、絵を描いていたという、まさに才色兼備な女性であったようです。ルイ15世だけでなく宮廷のあらゆる人々の心を捉え、その人柄から王妃や国王の子供達からも歓迎されていたといわれています。

当時流行した女性専用サロン「ブードワール」は、ポンパドゥール侯爵夫人が主催したサロンが始まりであり、その後の流行のきっかけであったと言われています。

マリー・アントワネット

ルイ16世の妃であるフランス王妃マリー・アントワネットは、「ロココの王妃」「ロココの薔薇」と称されるほどロココの時代を象徴する人物です。ロココ様式の特徴である繊細さ、優雅さ、リラックスした雰囲気などを体現していたのがマリー・アントワネットであり、自身もロココ様式を愛した一人でした。

ロココの時代のファッションリーダーであり、良くも悪くも「ロココの王妃」と称されたアントワネットは、王妃としての務めよりもお気に入りの廷臣たちとの楽しみや遊びを優先してしまったと言われています。それが原因で多くの貴族たちが王妃の元を去っていき、フランス革命が起こった時には王妃の味方をする貴族は殆どいなかったと言われています。

ロココ様式を代表する建築は?

プチ・トリアノン宮(ヴェルサイユ宮殿敷地内)

プチ・トリアノン宮外観

プチ・トリアノン宮は、ヴェルサイユ宮殿の庭園内にある離宮で、ルイ15世が公妾ポンパドゥール侯爵夫人のために作ったものです。後に、ルイ16世が王妃マリー・アントワネットに贈り、王妃にとっての安らぎの場であり一番お気に入りの場所となりました。

こじんまりとした四角く小さな建物ですが、そのインテリアはルイ14世時代の豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿に比べて、とてもシンプルで女性的なロココスタイルで整えられています。優雅で繊細、柔らかい色彩でまとめられたロココ装飾が施された室内は、ロココ様式の最高峰と言われています。

ヴィースの巡礼教会

ヴィースの巡礼教会内部

ヴィースの巡礼教会は、ドイツのバイエルン州南部、ヴィースにあるドイツの世界遺産です。1745年~1754年にかけて「ドイツ・ロココの完成者」として著名なドミニク・ツィンマーマンによって建てられたキリスト教の教会で、完成後もドミニクが教会の近くに住み、亡くなるまで教会を見守ったほど愛情をもっていたと言われています。

シンプルな外観からは想像もつかないほど、内部は美しいロココ様式で彩られています。天井画は「天から降ってきた宝石」と称えられるほど美しく、教会内部のロココ様式の装飾は、ヨーロッパ随一と言われています。

サンスーシ宮殿

サンスーシ宮殿はドイツの美しい世界遺産

サンスーシ宮殿は、ドイツのブランデンブルク州のポツダム市にあるドイツを代表するロココ様式の宮殿です。フランス語で「憂いなし」の意味で、1990年に宮殿および庭園が「ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群」の一つとして世界遺産になりました。

サンスーシ宮殿は、プロイセン王国のフリードリヒ2世が夏の離宮として建て、やがて居城となりました。シンプルな外装に比べ、「フリードリヒ式ロココ」と呼ばれる内部は、花綱飾りやパステルカラーを多様し、壁から天井まで華やかな装飾で彩られています。

今に伝わるロココ様式で作られたもの

マイセン

マイセン食器モカサービスセット

マイセンは、ドイツのマイセン地方で作られる磁器で、西洋白磁の最高峰の名窯です。1709年、ザクセン選帝侯アウグスト2世が白磁を作るように命じ、1710年に「王立ザクセン磁器工場」がドレスデンに設立され、後にマイセン地方に工場が移されました。

初期のマイセンのデザインは、中国の五彩磁器や日本の伊万里焼の影響を受けていますが、1720年以降は、ヨハン・グレゴリウス・へロルトなど絵付師によってロココ調のデザインが主流になりました。特に、ロココの代表的な画家アントワーヌ・ワトーなどの絵画を参考に作られた音楽やダンスを楽しむ恋人たちの人形は、いまでもマイセンを代表するものとなっています。

セーブル磁器

幻の陶磁器セーブル カップ&ソーサー

セーブル磁器はロココの時代を代表する工芸で、フランスが世界に誇る磁器です。1756年、ポンパドゥール侯爵夫人の提案で、王家ご用達ヴァンセンヌ窯がパリからセーブルへ移されたのが始まりです。その後、ポンパドゥール侯爵夫人の支援をもとに発展し、王や王妃の日用品をはじめ、贈り物にも用いられるようになりました。

特に、「王者の青」「ローズ・ポンパドール」と呼ばれる独自の色や独特の風合のソフトペーストなど、繊細でありながら華麗で優美なセーブル磁器の芸術が、ヴェルサイユの宮廷文化で花開きました。
現在は、生産が6000ピースに限定され、手に入れることが難しい幻の磁器と言われています。

チッペンデール

トマス・チッペンデールの家具

チッペンデールとは、イギリス人の家具師トマス・チッペンデールがデザインした家具のことをいいます。チッペンデールが活躍した時代は、ヨーロッパにおけるバロック様式からロココ様式へと変わっていく時期であり、イギリスでもロココ様式の最盛期でした。チッペンデールは、イギリス・ロココの第一人者として名声を高めました。

チッペンデールがデザインした家具を「チッペンデール様式」といい、クイーン・アン様式にフランス・ロココの影響を受けたものです。家具の脚は猫足が多く、玉を掴む鷹の爪のデザインが多く使われています。現在手に入る家具で「チッペンデール」とうたっているものの多くは、チッペンデールが作ったものではなく、彼のデザインに基づいて作られたものとなっています。

様々な分野から見るロココ様式

ロココ様式の音楽

フランソア・クープラン

ロココ様式の音楽「ロココ音楽」は、18世紀のフランスを中心とする音楽で、その影響を受けたドイツやイタリアの音楽にも広がっていきました。バロックの劇的な対比性や壮大な様式と異なり典麗、優雅な音楽で、透明で薄い音響、優美で叙情的な旋律が特徴です。フランソア・クープランのクラブサン音楽や室内合奏曲が典型的なロココ音楽といえます。

18世紀後半になるとギャラント様式に移り、ドイツではロココ様式を独自に継承した多感様式が生まれました。ロココ音楽を代表する音楽家には、F・クープラン、J・ラモー、L・ダカン、そして、バッハの息子でベルリンとハンブルクで活躍したカール・フィリップ・エマヌエル・バッハなどがいます。

ロココ様式の服装

ロココ様式のファッション Rococo Clothing

ロココ様式の服装は、優雅で洗練された芸術ともいえるもので、18世紀フランスの貴婦人たちの間で大流行しました。典型的なロココの女性の正装は、ガウンとペティコート、三角形のパネル状のストマッカーから成っており、背中に大きな襞がたたまれていました。

装飾品として最も人気があったのは、「花」と「レース」です。ロココ様式を代表するポンパドゥール侯爵夫人の肖像画でも描かれているように、衣装やアクセサリーにも花飾りやレースが盛り込まれており、高価できらびやかな宝石はあまり身に着けられませんでした。

ロココ様式の絵画

フラゴナールが描いたぶらんこ

ロココ美術とは、優雅で軽やか、装飾性に富んでいた美術の様式のことをいい、「ロココ」という名を付けたのは、新古典主義のダヴィットという画家でした。絵画で扱われた題材は、バロック様式の絵画とは変わりませんが、より陽気で軽快、開放的なものとなりました。

ロココ様式を代表する画家は、ジャン・オノレ・フラゴナール、アントワーヌ・ヴァトー、モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール、フランソワ・ブーシェ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロがいます。中でも、ラ・トゥールが描いた「ポンパドゥール夫人の肖像」は、ロココ美術における最高の肖像画と言われていますし、フラゴナールが描いた「ぶらんこ」は、自由な恋愛を楽しむ当時の様子を上品に描き、評価されています。

ロココ様式関連作品

本・書籍

ロココの世界―十八世紀のフランス

18世紀のフランスに特化した一冊です。政治・経済や王族・貴族の生活、市民の日常、芸術、料理、マナー、ファッションなど、18世紀のフランスの全てを網羅しているので、18世紀のフランスを知りたい方には満足していただける一冊です。

マリー・アントワネットの衣裳部屋

マリー・アントワネットの時代のファッションについて、マリー・アントワネットの生涯とともに解説しています。当時の衣装に使われるコルセット・レース・ボタン・羽飾り・扇子・靴・髪型・刺繍について詳しく、図説も用いて説明されているので分かりやすいです。

ポンパドゥール侯爵夫人

ロココの時代を代表するポンパドゥール夫人について、史実に基づき、夫人とルイ15世の出会いから夫人の死まで書かれています。この一冊を読めば、ポンパドゥール夫人について分かるようになっていておすすめです。

ロココ様式に関するまとめ

ロココ様式についてご紹介しました。威厳ある煌びやかなバロック様式が主流だったヨーロッパで、少し疲れてしまった貴族たちの間で広まった癒しのロココ様式ですが、それはインテリアからファッション、芸術にまで幅を広げ流行しました。

ロココ様式ときくと、お姫さまのようなドレスや、少女趣味のようなイメージが先行してしまいがちですが、当時の貴族たちにとってはロココは癒しであり、リラックスであり、お洒落の最先端だったんですね。

今回の記事がきっかけでロココ様式の魅力に気づいてくれる人が一人でも増えてくれたら嬉しく思います。

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