社会契約論の内容が知りたい!
社会契約説との違いがわからない…
社会契約論は世の中にどんな影響を与えたの?
とこの記事を訪れたあなたは思っているのではないでしょうか?
社会契約論とは、18世紀に哲学者ルソーが説いた「社会契約説」の解説書です。「社会は人々との自由かつ平等な契約によって成立する」とルソーが説いた社会契約論は、哲学者をはじめ多くの人々に1789年のフランス革命に影響を与え、現代における民主主義社会の原理を示した貴重な著書となっています。
しかし現代の基盤をつくった思想にもかかわらず社会契約論という名前を知っているだけで内容があいまいだったり、改めて勉強しようにも正直めんどくさい、著書を読まずに知れたらと思っている人もいるはず。
この記事で社会契約論の内容はもちろん、世の中に与えた影響やの違い、社会契約論がわかるおすすめ本まで網羅的に解説していきます。現代の基盤をつくった哲学者ルソーの思想をのぞいてみましょう。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、岩野祐里(いわのゆり)。5歳の頃、イギリス史に夢中になり図書館へ通いながら育つ。大学では国際文化を専攻し、イギリス史と英文学の研究に没頭。その後、大学院にて修士課程を修了。研究論文は「19世紀英国の社会と犯罪」について。歴史全般の研究歴は11年、イギリス史は21年に及ぶ。現在はWebライターとして活動中。
社会契約論とは
社会契約論とは、18世紀のフランス哲学者ジャン=ジャック・ルソーが1762年に書いた社会契約説の解説書です。フランスで出版されたのち、英語圏でも“Social contract”というタイトルで翻訳され全世界で読まれるようになりました。
社会契約論には社会の成り立ちをはじめ自由かつ平等な社会を築くための政治の在り方が細かく説明されており、現在の民主主義社会形成の基盤を描いているともいえます。
18世紀当時のフランスでは多くの哲学者や思想家たちがさまざまな概念を説いていました。啓蒙時代と呼ばれ、人々は神学から知性で世界全体を見ようとしていた時代です。中でも「人々の契約によって社会は成立する」というルソーの社会契約説が注目を集めました。
ルソーは社会契約説を詳しく紐解きながらも「一般意思」の概念も組み込んで学説を展開、後に完成したのが「社会契約論」です。
※一般意思:国の人民が持つ考えをまとめた意思のこと
社会契約論を翻訳した人たち
社会契約論は多くの国で翻訳版が発売されています。日本でもルソーに影響を受けた思想家や作家、社会運動家を中心に社会契約論が広まり、1877年は日本初のルソー本「民約論」が発売されました。
そして、1882年には思想家であり政治家の中江兆民が翻訳した「民約訳解」が出版。漢文の翻訳ではありましたが当時の社会に大きな影響を与えました。
社会契約論を理解する3つのポイント
ポイント①一般意志という理念
ルソーは社会契約論の中で「一般意志」を基礎的な理念として挙げ、「国家が成立するには一般意志が必要である」と述べています。
一般意思は当時18世紀フランスで理念とされていた絶対王政社会(国王の権力によって支配された政治社会)を批判する形で誕生しました。絶対王政のもとでは国民の意見が政治に反映されにくく、国民の平等と自由が根付いた社会は程遠いものだったのです。
そのためルソーは「国民を平等かつ自由に扱う社会の成立」について考え、一般意志という理念を生み出します。個人的な事情や利益を除いた国民全員の共通意志こそが平等かつ自由な社会を成立させると考えたのです。
一般意志における重要なポイントは「国民全員の共通意志」が政治的な意志であり利益目的ではないという点になります。
国民全員が理性を持ちながら個々の利益を放棄し政治へ参加して生まれるのが「国民全員の共通意志」です。ルソーは「一般意志」にもとづいて政治を行えば理性的な社会行動が増え、国民の平等と自由が確立されるとしました。
ルソーの掲げる平等かつ自由な社会成立には「一般意志」が欠かせない条件、必ずおさえておきましょう。