「古事記と日本書紀ってそもそも何?」
「古事記と日本書紀の違いは?」
「書かれている内容は?」
などの疑問を持っていませんか?古事記と日本書紀は、日本神話から古代日本の歴史までが書かれた現存する日本最古の歴史書です。また、ともに日本の成り立ちを記す歴史書ではありますが、相違点も数多く見られます。
同じ奈良時代に制作された古事記と日本書紀。どのような違いがあるのかを理解するは非常に難しいですよね。そもそも古事記と日本書紀は書かれている内容に若干の違いがあり、その他にも作られた意図、執筆方法などにも大きな違いがあります。
そんな古事記と日本書紀は、一体どんな意図で執筆されたのか?古事記・日本書紀にはどのような違いがあるのか?それぞれに書かれている内容はどんなものなのか?など、古事記と日本書紀に関してわかりやすくお伝えしていきます。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
そもそも古事記・日本書紀とは
冒頭でも触れた通り、古事記・日本書紀は日本神話から古代日本の歴史までが書かれた、現存する日本最古の歴史書です。日本の国土の成り立ちから日本建国の経緯、歴代天皇の系譜など、日本国にとって極めて重要な内容が記されているのです。古事記と日本書紀を総称し「記紀」と言う場合もあります。
ともに第40代天武天皇の意向により編纂が開始され、日本各地で民間伝承されていた神話を、ひとつに体系化して書かれたものが、記紀が伝える日本神話と考えられています。以下より、それぞれの大まかな特徴を見て行きましょう。
古代日本の歴史書である「古事記」とは
古事記は、日本の成り立ちから第33代推古天皇のご事績までが集録されており、上・中・下の全3巻で構成されています。おおまかに分類すると、上巻には神話が書かれ、中巻には神話から歴史へ移行する過渡期が書かれ、下巻には古代日本の歴史が書かれているのが特徴です。
また、特に神話の部分は物語風に書かれていて、現代語訳であれば小説を読む感覚で楽しめます。登場するエピソードも豊富なため神様を身近に感じられ、日本書紀に比べてかなり取っつきやすく、初めて日本神話に触れる方には古事記がオススメです。
日本の正史として位置づけられる「日本書紀」とは
日本書紀は、日本の成り立ちから第41代持統天皇までのご事績が集録されており、全31巻+系図1巻という膨大な量で構成され、日本の正史として位置づけられています。
出来事を年代順に記述し、ひとつの出来事に対しても「一書曰(あるふみいわく)」といった形で、いくつかの別伝を紹介しており、古事記よりも記録としての要素が強くなっています。これは、記紀の作成意図の違いによるものです。このような特徴があるため、古事記に比べると読み物としての楽しみは少なくなっています。
なお、古事記ではかなりの紙幅を占めている「出雲神話」が、日本書紀には一切記されていません。
古事記と日本書紀の4つの違いとは
このように古事記も日本書紀も、基本的には日本神話から古代天皇のご事績が書かれているのですが、多くの違いも存在します。
1.作られた意図の違い
古事記と日本書紀は作られた意図が異なっています。
簡単に言うと、古事記は国内向けに、日本書紀は海外向けに作られました。古事記は、日本人に日本の成り立ちや天皇家のルーツを伝える目的で、日本書紀は海外に対し日本国としての正当な歴史をアピールするために作られたのです。なお、この時代の海外とは、主に大陸と朝鮮半島を指しています。