「フリーメイソンってどんな組織なの?簡単に教えてほしい」
「フリーメイソンのマークにはどんな意味があるの?」
「フリーメイソンって入会できるの?」
本記事を読んでいるあなたは、このように思っているのではないでしょうか。
フリーメイソンは、一言で表すと秘密を持つ親睦団体です。中世ヨーロッパの石工組合が元となってできた組織で、世界中に拠点が点在しています。陰謀論の主役的存在ですが、実は秘密結社でも宗教団体でもなく、ほとんどの陰謀は想像で補われた根も葉もない作り話です。
今回はフリーメイソンがどんな組織なのかを、起源・歴史に触れながら解説していきます。また、マークの意味や入会方法、おすすめの本、イルミナティとの違いについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
フリーメイソンとは
会員呼称 | フリーメイソン (団体呼称:: フリーメイソンリー) |
---|---|
種類 | 友愛結社(親睦団体) |
目的 | 会員相互の特性と 人格の向上をはかり、 よき人々をさらに良くする |
本部 | 各地域のグランドロッジ |
事実上の 総本部 | イングランド・ 連合グランドロッジ |
会員数 | 300万〜1000万人 |
基本理念 | 「自由」「平等」「友愛」 「寛容」「人道」 |
公式サイト | United Grand Lodge of England |
日本の 公式サイト | GRAND LODGE OF JAPAN |
フリーメイソンについて簡単に解説
フリーメイソンとは、16世紀後半から17世紀の初めに誕生したと言われる親睦団体です。世界中に点在する組織で、その地域の特色・歴史的背景に基づいた形をとっています。そのため、多種多様な組織形態を持っていますが、共通する特徴が4つあります。
- 秘密を持っている
- 儀礼がある
- 階級を設けている
- 分権的
陰謀論の主役的な立ち位置になることが多いフリーメイソンですが、その最たる理由が秘密と儀礼でしょう。詳しくは後ほど語りますが、フリーメイソンは独自の儀礼を秘密にしており、それが憶測を呼びました。
この秘密主義は、中世の石工組合が起源となっていることが影響しています。同様に、階級も石工的な要素があり、「徒弟」「職人」「親方」と呼称。地域によって名前も階級の数も変わりますが、基本的には3つの階級に分けられています。
ここからがわかりにくいのですが、特徴の1つに分権的な組織である、というのがあります。実は、フリーメイソンは1人のトップがいる集権的な組織ではなく、組織ごとに異なる考えや方針を持った分権的な組織です。国と国の関係、と言った方がわかりやすいかもしれません。
フリーメイソンは地域ごとに本部があり、その本部が中心となって管轄地域の支部をまとめています。
本部は、お互いの承認によって成り立っています。そのため、承認を得た本部同士は仲間として歓迎されるのですが、承認を得ていない本部同士の場合、同じフリーメイソンを名乗りながらも仲間と認めてもらえません。
フリーメイソンという名の独立国家がいくつも存在している、そんな形態を持っている組織なのです。
フリーメイソンは秘密結社なのか
よく勘違いされますが、フリーメイソンは厳密には秘密結社ではありません。
そもそも秘密結社とは、結社の存在や構成員、活動内容・目的を世間から秘匿している組織のことです。というのも、大抵の秘密結社は知られてはまずい活動をしているため、警察などに一斉に逮捕されないためにも詳細を伏せる必要があります。
対してフリーメイソンは、参入儀礼などの秘密を持っていますが本部(グランドロッジ)がどこにあるのか公開されていますし、活動目的や内容も公になっています。
怪しげなイメージのあるフリーメイソンですが、その実態は秘密結社ではなく、「秘密のある」親睦団体と言った方が正確でしょう。
宗教団体と関わりがあるのか
結論から言うと、フリーメイソンは宗教団体との関わりはありません。そして、宗教団体でもありません。
キリスト教を基盤にしてはいますが、入会の際にキリスト教や特定の宗教への信仰は求められません。加えて、組織内での宗教的・政治的な話をすることが禁じられています。
儀礼などの宗教を思わせる行事もありますが、宗教とは目的が異なります。たとえば、キリスト教で行われる儀礼は「人間の救済」が目的ですが、フリーメイソンで行われる儀礼は「加入・昇格」が目的です。簡単にいうと、入社式のようなものです。
そもそも、フリーメイソンという組織が今の形になったのは、努力により人間の向上を目指すことを目的としたからです。
1700年代はこの目的を達成するために、適当な組織がありませんでした。そのため、詳しくは後述しますが、人間向上のための互助組織としてフリーメイソンが生まれたのです。このように、目的からしてフリーメイソンは、宗教と異なる組織なのです。
フリーメイソンのマークの意味とは
フリーメイソンのマークにはそれぞれ意味があります。
直角定規は英語にして、形容詞として使用すると公平な、正直な、という意味になります。このことから、直角定規は誠実・正義・公平無私・秩序など道徳的な意味を持つようになりました。
また、コンパスは中心点を基準に円を描くことから、フリーメイソン内では「自らの感情や欲望、言動を一定の範囲内にとどめるべきである」という教訓を伝えるための教材として使われています。そこから、コンパスは自制心や克己心を意味するようになりました。
フリーメイソンのマークはこの2つの象徴を用いて、基本理念である「自由」「平等」「友愛」「寛容」「人道」を体現しています。
コンパスと直角定規の真ん中に位置する「G」には2つの意味があり、神(God)または幾何学(Geometry)を表します。
この「G」のマークですが、実はフリーメイソンらで話し合って決めたわけではありません。アメリカの装飾製造業者が独自に付け加えたものだそうです。そのため、正統なマークとは言えないのですが、いつの間にかフリーメイソンと世間一般の人の間でお馴染みのシンボルとなってしまいました。
グランドロッジとロッジとは?それぞれの違い
フリーメイソンの拠点には「グランドロッジ」と「ロッジ」の2つの呼び分けがありますが、どういった違いがあるのでしょうか。結論からいうと、この2つは本部と支部の関係にあります。
グランドロッジは、その地域のロッジを管轄する、フリーメイソンの本部です。管轄地域のロッジの活動を監督し統制・調整するのが役割です。その地域でロッジを設立するには、グランドロッジの認証が必要となります。
対して、ロッジはグランドロッジの認証を受けた、気軽に集まれる寄り合い所のようなものです。ロッジには大きく分けて、青ロッジ(ブルー・ロッジ)と赤ロッジ(レッド・ロッジ)に2種類があります。
分類は、単純に階級の数の違いです。青ロッジは上記で説明した3階級で構成されたロッジを差し、赤ロッジは上位階級をさらに細分化したものです。赤ロッジの階級は地域によって数も名称も異なります。
フリーメイソンとイルミナティの違い
フリーメイソンとよく一緒にされるイルミナティですが、関係があるだけで両者は明確に異なる組織です。
イルミナティは、政治的な目的を持つ秘密結社です。初めは大学の教授と学生による私的なサークルでしたが、最終的にはドイツ南部とオーストリアで人気となって広まりました。
一見フリーメイソンとなんの関係もないように思えますが、実はイルミナティを結成した大学の教授がフリーメイソンでした。教授はイルミナティを創設したはいいものの、人が集まらないことに悩みました。
そこで、フリーメイソンに加入して、組織の運営方法を学び、それをイルミナティに応用したのです。また、フリーメイソンから優秀な人材の引き抜きも行っていました。そのため、両者はまったく無関係の組織というわけではありませんでした。
そんなフリーメイソンとイルミナティの違いは、大きく分けて次の2つがあげられます。
- 政治的目的の有無
- 成立した年代
フリーメイソンと違い、イルミナティは政治的目的を持っていました。また、成立した年代もフリーメイソンが16世紀後半から17世紀初頭であるのに対して、イルミナティは18世紀の後半と約200年ほど開きがあります。