「ソシオパスとサイコパスって何が違うの?」
「見分ける方法とかってあるの?」
最近、「ソシオパス」や「サイコパス」などの言葉をよく聞く反面、具体的な違いがあいまいな人は多いのではないでしょうか。また、中には「この人はサイコパスかも!」と見分けられるようになりたい人もいるはず。
そこで、今回はソシオパスとサイコパスの違いを、共通点や見分け方も交えて紹介します。この記事を読めば、ソシオパスとサイコパスに当てはまる人を見分けられるようになりますよ。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、岩野祐里(いわのゆり)。5歳の頃、イギリス史に夢中になり図書館へ通いながら育つ。大学では国際文化を専攻し、イギリス史と英文学の研究に没頭。その後、大学院にて修士課程を修了。研究論文は「19世紀英国の社会と犯罪」について。歴史全般の研究歴は11年、イギリス史は21年に及ぶ。現在はWebライターとして活動中。
ソシオパスとサイコパスの5つの違い
ソシオパス | サイコパス | |
---|---|---|
遺伝性 | 後天的 | 先天的 |
治療法 | 有り | 無し |
性格 | 衝動的 | 計画的 |
他者との関係 | 同じ思想を持つ人への共感のみ | 共感も執着もしない |
社会的な地位 | 低い(社会的な成功者は少ない) | 高い(社会的な成功者が多い) |
ソシオパスとサイコパスは、どちらも犯罪学や心理学でよく取り上げられる「反社会性パーソナリティ障害」の1種です。両者に関する研究は19世紀頃から行われており、近年でも多くの研究者が解明を進めています。
ソシオパスやサイコパスは犯罪者だけでなく、一般人にも見られる障害。つまり、我々の身近な人物にもソシオパスやサイコパスの資質を持つ者が存在するのです。被害に遭わないためにも、私たちは彼らの存在を見極めなければなりません。
ソシオパスとサイコパスは混同されることの多いパーソナリティ障害ですが、両者には上記の表のように明確な違いがあります。
このような違いを理解することで、身近な人物がソシオパスかサイコパスなのかを見分けることができます。
- 先天的か後天的か
- 治療法の有無
- 衝動的か計画的か
- 他者との共感度合い
- 社会的な地位の有無
①先天的か後天的か
ソシオパスとサイコパスの決定的な違いは、「先天的か後天的か」どうかです。
ソシオパスの場合は、遺伝性よりも幼少期における生活環境が深く関わっています。例えば、精神的および肉体的に受けた虐待や家族環境の悪さなどが挙げられますね。
大人になってもトラウマとして残るような経験を持つ人物は、後天的にソシオパスになる傾向が強いです。
反対にサイコパスの場合は、半数近くが遺伝性の先天的要素が強いとされています。脳の異常によって必要な感情が欠落し、反社会的な人物へと成長してしまうのです。
②治療法の有無
ソシオパスの場合は後天的な要素が強いため、薬物療法や認知行動療法*といった治療方法が存在します。しかし、サイコパスの場合は先天的な要素が強いため、有効な治療方法は未だ見つかっていません。
ただ、ソシオパスのように後天的な面での発症も考えられるため、薬物療法や認知行動療法を行うことは可能です。とはいえ、これらは完全な治療法とはいえません。
ソシオパスやサイコパスに関する研究は多くの国で進められており、近年では日本とアメリカが共同でサイコパスの脳構造を詳しく実証検査しました。
今は治療法が確立されていなくても、心理学や神経学の観点から徐々にソシオパスやサイコパスの謎は解き明かされているのです。
認知行動療法とは、自分の思考を現実に沿ったものに考えることで精神的な負担を減らす心理療法のことです。
③衝動的か計画的か
ソシオパスとサイコパスの違いには、「衝動的か計画的か」という点も挙げられます。ソシオパスの場合は何事も衝動的に行う傾向があり、後先のことを考えず犯罪を犯すことが多いです。
例えば、殺人事件においてもソシオパスの要素がある犯人の場合は衝動的に相手を殺害します。そこに計画性はありません。そのため、証拠が残りやすく逮捕されやすいのです。
しかし、サイコパスの場合は計画的に物事を進めていきます。殺人事件を犯すときも綿密に計画を立て、実行に移すのです。刺激や快楽を求めて人を傷つけはしますが、証拠を残しにくい。その結果、連続殺人鬼などの凶悪な犯罪者にはサイコパスが多いといわれています。
ただし、ソシオパスであってもサイコパスであっても、全員が犯罪に手を染めるわけではありません。その点は勘違いしないよう、気をつけましょう。
④他者との共感度合い
他者との共感度合いも、ソシオパスとサイコパスの違いの1つです。ソシオパスやサイコパスは両者とも他者への共感性が低いとされています。しかし、全く同じというわけではありません。
ソシオパスの場合、他者から認められたいという「承認欲求」が強い傾向にあります。自身と同じ思考を持つ人物には共感を示し、執着するようになるのです。つまり、ソシオパスの方がサイコパスよりも他者への共感性を持っているといえます。
一方で、サイコパスの場合は感情という意味自体は理解していますが、相手の気持ちに共感することはできません。それゆえ、何かに執着をすることもなく、共感性は全くないといえるでしょう。
ちなみに、「エンパス」と呼ばれる人々も多数存在します。彼らは他者への共感性が極めて強く、対人関係に極度の疲労感を感じてしまうのです。ソシオパスやサイコパスと正反対の存在として、覚えておくと良いでしょう。
⑤社会的な地位の有無
ソシオパスとサイコパスでは、社会的な地位も異なります。ここでは、③で紹介した「衝動的か計画的か」が鍵です。
ソシオパスの場合は、衝動的なので良くも悪くもすぐ行動します。その結果、成功と失敗の落差が激しく、長期間同じ職場に就くことは難しいのです。
一方でサイコパスの場合は計画的に行動できるため、社会的な成功者が多く存在します。中には企業の社長や弁護士、医者などの地位に就く人もいるほどです。
もちろん、彼らはサイコパスな要素をひめている可能性があるだけにすぎません。ソシオパスやサイコパスであっても、全員が犯罪者や極悪人というわけではないのです。