「伝説の生き物はどんなのがいる?」
「カッコいい伝説の生き物を知りたい!」
世界には、神話や伝承で伝えられる想像上の伝説の生き物が存在します。漫画やアニメで登場するために、見慣れている人も多いのではないでしょうか。中にはとても強そうな伝説の生き物もいれば、可愛らしい外観をしている伝説の動物と多岐に渡っているようです。
そこでこの記事では古今東西の伝説の生き物を、有名な生き物を中心に20選紹介します。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
ドラゴン
ドラゴンはヨーロッパ文化圏の伝承に出てくる伝説上の生き物です。鱗に覆われた爬虫類のような体で、鋭い爪をもっており、口や鼻からは火や毒の息を吐くといわれています。一般的なドラゴンは翼も生えており、空も飛べるようです。
新約聖書のヨハネ黙示録では、7つの頭と10本の角を持ったドラゴンが登場します。ヨハネ黙示録やその他の伝承でもドラゴンは悪の象徴とされており、悪魔と同一視される生き物です。聖書では聖ミカエルや聖ゲオルギオスはドラゴンスレイヤー(竜殺し)の戦士として有名であり、彼らの竜退治は悪への戦いの象徴とされています。
ドラゴンは元々、原始の象徴としてヘビを神格化して誕生しました。それがキリスト教世界観でヘビは悪魔の象徴とされ、天使と対になる悪魔の象徴となったのではと考えられています。
フェニックス
フェニックスは死んでも蘇り永遠の時を生きるといわれる伝説の鳥です。寿命が終わると自ら火に飛び込んで生を終えますが、再び生き返るといわれています。
フェニックスは古代エジプトの神話に登場する聖なる鳥・ベンヌが起源と考えられています。神話では太陽神ラーに従う鳥で、神殿にある火に飛び込み毎朝その炎の中から生まれると信じられ、太陽の象徴と考えられていました。
その神話がギリシャやローマに伝わり、伝説が時代と共に変わっていきました。ローマでは繫栄の象徴の鳥であり、キリスト教徒には再生の象徴とされるようになります。現在では何度も蘇る不死鳥の縁起を担ぎ、家屋や火災保険の紋章にしようされたりしています。
人魚(マーメイド)
人魚は人類と魚類の特徴を同時に兼ね備えた生き物です。世界各地に伝承があり、ヨーロッパでは上半身が人間で下半身が魚と描かれていることが多く、日本の人魚は顔が人間で魚の体という人面魚だったといわれています。ただし日本も江戸時代以降は、西洋と同じように上半身が人型で下半身が魚という伝承が増えていきました。
ドイツのライン川にいたという伝説の「ローレライ」という人魚は、美しい歌声で船乗りを惑わせ、船を沈めてしまうといわれました。またアイルランドでは、女性の人魚は美しいものの男性の人魚は醜く、現れると嵐が起こると船員に恐れられていたそうです。女性の人魚は人間の男性と結婚することもあり、子供が生まれてくると足に鱗があり、手に水かきがあるといわれました。
日本の人魚は鎌倉時代中期の伝承によると、頭部は人間のようだが歯は魚のように細かく猿に似ており、胴体は魚のようだったと伝わっています。一匹は捕まえた人たちが食べたといいますが、特に効能などは無く美味だったそうです。
ケルベロス
ケルベロスはギリシャ神話に登場する犬で、ギリシャ神話の冥府の神・ハーデスが支配する冥界の番犬です。伝承によって差異があるものの一般的に、「3つの頭を持った犬」といった姿をしています。他にも竜の尾とヘビのたてがみを持った姿で描かれることもありました。
神話によるとハーデスに忠実で、冥界を通る人はそのまま通すものの、逆に逃げようとする人は捕らえて食べてしまうため、「地獄の番犬」と呼ばれました。甘いものが大好物でお菓子を与えれば通過できるといわれ、神話の中で何人かはその方法で通り過ぎています。そのために厄介な相手を懐柔する賄賂の事を「ケルベロスにパンを与える」と言うようになりました。
クラーケン
近世ノルウェーに伝わる海の怪物です。巨大タコのような容姿といわれていますが、「ダイオウイカ」ではないかなどの説があります。ノルウェーの猟師の伝承によると、体は数マイルもあり浮上すると海を覆いしそうな程の大きさで、頭はたくさんあり大きなかぎ爪で船の人や動物を引きずり込むのだそうです。
またクラーケンの上には魚の足場のように乗れるといいますが、クラーケンを釣り上げてしまったら名前を唱えて海底に戻さないといけないと伝えられています。ノルウェーの漁師は大漁を狙ってあえてクラーケンの上で漁をしたそうで、今でも大漁だと「クラーケンの上で漁をしてきたんだな」という言葉が残っているそうです。