五経とは?四書五経や六経の内容、孔子との関係について詳しく紹介

五経とは、儒教で基本とされる経書の総称です。簡単にいうと中国の古典のようなもので、中国の思想に影響を及ぼしています。古代の人の含蓄あふれる言葉が記されており、ときには現代を生きるわたしたちの悩みを解決する言葉もあります。

「五経ってなに?」
「五経ってどんな内容なの?」
「五経と孔子の関係って?」

この記事をご覧になっている人はこのようなことを思っているのではないでしょうか?

そこでこの記事では、五経とはなにかについて孔子との関係を交えて紹介します。また内容についても触れていきますので、本記事を読むことで五経のイメージをつかめます。ぜひ、参考にしてください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

五経とは?

中国の古書

五経とは、儒学で尊重される五部の経書の総称です。儒学とは、孔子を創始者とした学問であり思想のことで、経書は社会や国家のあり方や基本理念を示す書物のことを差します。

『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の5つから構成されており、科挙の必須科目として取り上げられていました。

五経の順序

上で挙げた五経の構成『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の順番は、実はランダムに並べたわけではなく、意味があります。この順番は昔の中国で習っていた順番で、宋の時代に朱熹(朱子)が定めたものです。これは古文の順序で、今文は少々異なります。

今文は孔子が学んだ順序に基づいており『詩経』『書経』『礼記』『易経』『春秋』の順番です。

五経と孔子の関係

孔子

五経は、孔子が登場する以前の書物を原典として、それを孔子が現在の形にしました。孔子は上で挙げたように、五経を経典とする儒教の創始者で、道徳を身につけた君子による政治を理想としました。始めは五経のうち、『詩経』『易経』『書経』をテキストとしていました。

なぜこの3つの経典が最初だったのか、まず孔子は政治の理想の起源を古代中国の伝説的聖人、堯・舜時代にあるとしました。そして、周王朝の徳に周公旦に理想的な政治の実現を見たのです。これらの時代について書かれた『書経』が経典となりました。

『詩経』『易経』も孔子の理想とする政治に必要不可欠なものと考え、テキストとしていたのでしょう。『礼記』『春秋』は少し遅れて経典化されました。

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五経と六経の違い

五経と六経の違いは、見てわかる通り数です。もともと五経は「六芸」や「六経」と呼ばれていました。なぜかというと、単純に6つの経典から成り立っていたからです。『詩経』『書経』『礼記』『易経』『春秋』、そして今はない『楽経』で構成されていました。

秦の始皇帝

『楽経』は秦の始皇帝によって行われた焚書坑儒によって散逸してしまい、内容が伝わりませんでした。そのため『楽経』を除いた5つの書物を称して『五経』となったのです。

四書五経について

四書五経とは、上で挙げた五経の5経典と『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書を合わせた、計9書の総称です。

四書は南宋の時代に朱子学の始祖である朱熹が成立させたものです。四書は五経の前に読む入門書として位置しており、科挙の必須科目として取り上げられています。科挙とは、中国の官吏採用試験制度のことで、簡単に言うと国家公務員試験です。

五経の内容

五経

五経は孔子がまとめたもののため、理想的な君子になるために必要なことが書かれています。簡単に各経典の内容について紹介していきます。

易経

易経で用いられる八卦の図

易経は、大ざっぱに言ってしまえば古代中国の占いの書です。しかし内容は占いだけに止まりません。この世の万物は陰と陽の二種で構成されていると易経では解釈されており、自然や春夏秋冬を含めた宇宙を通して、先を見通すことや道理がまとめられています。

そのため内容は幅広いものとなっており「易経を学べば占う必要もない」と『筍子』の言葉が遺されているほどです。特に戦国時代から秦漢にかけて、儒学者はその思想や主張を根拠づけるために、『易経』の解釈に結び付けて展開したこともありました。

そのため中国人の人生観や世界観に大きな影響を与えています。

書経

書経

書経は、政治について書かれた書です。紀元前600年ごろに書かれた政令集で、内容は中国で政治が行われてから、歴代王朝の聖王や賢臣が民を良い方向へ導くことに勤しむ様子が記録されています。

とても古い書で堯、舜、夏、殷、周時代のことが書かれています。殷は紀元前1600年頃と言われており、それ以前ともなると神話の時代です。

著者については諸説ありますが、現在最も有力と言われているのが、もともと存在していた書を孔子が編さんしたものが『書経』と呼ばれるようになったという説です。

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