【真相に迫る】グリコ・森永事件とは?事件の経緯や影響、犯人像も解説

犯人像の推測

元グリコ関係者説

元グリコ関係者説

最初の江崎グリコ社長の誘拐事件の犯行の鮮やかさや、一般には知られていないグリコの関連会社などにも精通していたことからグリコの内情に詳しい人間の仕業ではないかと言われていました。

狙われた企業の社長は脅迫状では名字で名指しされていましたが、グリコの社長だけは名前で書かれていたことも犯人グループの中にグリコに恨みを持つものがいるのではと考える要因となっています。

また事件の起こる6年前の1978年にはグリコの常務に金を要求する脅迫テープが送られていたことも判明しています。その脅迫計画の内容が実際のグリコ森永事件と酷似していたことから、捜査本部はのちの事件の犯人と同一人物と断定していました。

株価操作説

株価操作説

江崎グリコ脅迫事件が起こる前の1984年1月時点でのグリコの株価は745円でしたが、事件の翌日には598円にまで下がりました。さらには事件の終息後に株価が回復することも予測でき、この事実を最初から知っていれば株の売買で大きな利益を得ることができたでしょう。

身代金の額が途方もない金額であったことや、受け渡しに現れなかったことも「株価操作説」であれば説明がつきます。捜査本部は事件に関係する企業の株の売買で目立った動きをしていたグループを徹底的に監視していたといいます。

被差別部落説

脅迫テープに収録されていた革用ミシン

被差別部落の関係者が犯人グループにいるとも言われていました。森永の脅迫に使用されたテープを分析した結果、被差別部落の人々が多く従事している革製品加工のミシンの音が録音されていたため犯人像に上がってきました。

被差別部落説は一橋文哉によるノンフィクション「闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相」でも扱われ、高村薫のグリコ森永事件をモチーフにした小説「レディ・ジョーカー」でも触れられています。

北朝鮮工作員グループ説

北朝鮮の国旗

1997年7月4日付の産経新聞や週刊文春で、事件の犯人が北朝鮮の工作員グループではないかという内容の記事が掲載されたことが発端です。犯人として疑われたのは兵庫県の貿易会社の社長で、北朝鮮の非合法活動グループの黒幕とされていた人物です。

社長の近辺にキツネ目の男と似た男や江崎グリコの社長に恨みを持つ人物がいたことや、当時北朝鮮工作員による拉致事件が多発していたことも疑いを深めた要因となりました。

しかし首謀者とされた人物の声紋鑑定やキツネ目の男に似た人物の面通しなどの捜査の結果、事件とは無関係であった事が判明し捜査は打ち切られています。

元暴力団組長グループ説

タイプライター

1990年ごろに捜査線上に浮上したのが暴力団の元組長を中心としたグループでした。この元組長は過去に江崎グリコから5億円を脅し取ろうとして拒否された過去があり、事件の被害にあった企業の関係者から元組長の銀行口座へ3億円の振込があったことなど疑わしい点が多々ありました。

また犯行に使用されたのと同じ種類のタイプライターを所持していたことや1978年にグリコの常務に送られた脅迫テープに登場する人物とのつながりなど、最も疑いが濃く事件史上最大の捜査が行われました。

しかし物証は見つからず、主要なメンバーを事情聴取をするも誰も容疑を認めませんでした。その後アリバイも確認されたことから捜査は打ち切られました。

1 2 3 4 5

コメントを残す