【真相に迫る】グリコ・森永事件とは?事件の経緯や影響、犯人像も解説

グリコ森永事件に関する謎や逸話

なぜロッテは脅迫被害にあわなかったのか?

策略を疑われたロッテの本社ビル

グリコ森永事件では大手のお菓子メーカーがターゲットにされ脅迫されましたが、ロッテは標的から逃れました。そのことについて真偽が定かではない様々なうわさが語られています。

日本企業であるグリコや森永を業績不審に陥れ、外資系企業であるロッテが日本でのシェアを伸ばすための策略だったなどとまことしやかにささやかれています。事件の被害を受けた企業の業績が悪化し、ロッテが業績を伸ばしたこともうわさを招いた要因でしょう。

しかし1985年の2月に起こった東京・愛知で青酸入りのお菓子をバラまかれた事件ではロッテのお菓子も含まれていたため、このうわさを否定する意見も多いです。

子供の声とはなんだったのか?

脅迫に使用されたカセットテープ

江崎グリコや森永製菓への脅迫電話に使われた録音テープは女性の声と子供の声で吹き込まれていて、当時警察は30代から40代の女性と小学生の男児だと鑑定していました。事件に女性や子供が関与しているという事実に、マスコミや世間は驚きを隠せませんでした。

しかし事件から27年後の2011年に放映されたNHKの特番の中で再鑑定を行った結果、新たな事実が浮かび上がりました。最新技術により30代から40代とされていた女性は10代半ばの少女で、ひとりだと思われていた小学生の男児もふたりだったという鑑定結果が示されました。

これにより犯人グループに3人の子供が関わっているという新事実が浮かび上がってきたのです。その子供たちも現在は40代から50代になっている計算になります。

キツネ目の男とは誰だったのか?

あと一歩のところで捕まえられなかった
「キツネ目の男」

捜査員の前に幾度となく現れた犯人グループの一人と思われる「キツネ目の男」。上からの命令で職務質問がができなかったため、目の前にいながら捜査員たちは男を取り押さえることができませんでした。

そんなキツネ目の男ではないかと疑われたのが作家の宮崎学さんです。外見が似顔絵と似ていたことと家業の解体業を継ぎ地上げなどにも関わっていたこと、事件現場の土地勘もあり犯行に使用された物と同種のタイプライターを親戚が所有していたことも疑われる要因になりました。

「キツネ目の男」と疑われた
作家の宮崎学さん

警察は宮崎さんの自宅に私服警官を二人向かわせ、宮崎さんに対して任意の事情聴取を行いました。しかし物証がなかったことと、キツネ目の男が捜査員に目撃された1984年6月28日にはアリバイがあったことから宮崎さんへの捜査は打ち切られています。

グリコ森永事件の影響

模倣犯の出現

再び狙われた江崎グリコ

グリコ森永事件が社会に与えた影響はあまりにも大きく、多数の模倣犯が出現したことからも伺い知れます。事件当時には30件以上に及ぶ企業恐喝事件が発生し、犯人の中にはごくごく普通の主婦なども含まれており社会に衝撃が走りました。

また台湾でもグリコ森永事件は大きく報道されていたため「かい人21面相」は有名でした。1984年の12月に台中市に住む男がインスタントラーメンに毒物を入れ食品会社を脅したとして逮捕され、2005年にはコンビニに置かれた毒物入りの栄養ドリンクを飲んだ男性が死亡する事件も起こりました。

最近では2014年に「怪人28号」と名乗る人物から江崎グリコ宛に5000万円を要求する脅迫状が送りつけられました。「あれから30年。そろそろお金も尽きてきた」などと当時の犯人との関係も匂わせていましたが、現金受け渡しに現れたところを警察に逮捕されています。

お菓子の包装はグリコ森永事件がきっかけ?

フィルムで包装されたお菓子

グリコ森永事件を受けて被害にあったお菓子メーカーは、製品を保護する包装の見直しを余儀なくされました。

当時、お菓子の箱は密封されておらず、一度開封してもわからないよう戻すことができました。しかし事件以降、シュリンク包装と呼ばれる透明なフィルムで密封するなどの処置がとられるようになります。

その後、プラスチックフィルムなどで包装したり切り取り線を破いて開封する仕様など、各社で開封済みであることが明確にわかるように改良が重ねられました。

グリコ森永事件をモチーフにした小説

「レディ・ジョーカー」高村薫

高村薫による推理小説で、警視庁の警部補である合田雄一郎を主人公としたシリーズの3作目です。1997年に「第52回毎日出版文化賞」を受賞し、1998年に「このミステリーがすごい!」の国内編で第1位に輝きました。

企業の社長を誘拐し脅迫することや被差別部落問題が事件の根底にあることなど、グリコ森永事件に多くの着想を得て執筆されています。

2004年に日活が撮影所創業50周年を祝して映画化し、2013年にはWOWOWによって連続ドラマ化もされています。

「罪の声」塩田武士

「罪の声」は2016年に発行された塩田武士によるサスペンス小説です。2016年の「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門で第1位に輝きました。

作者の塩田武士は学生時代にグリコ森永事件関連の資料や書籍を読み、脅迫電話に使用されたテープに子どもの声が吹き込まれていたことを知ります。自分と同じ年代であろうその子供に興味を持ち、小説の題材にしたいと考えるようになりました。

小栗旬と星野源による映画が2020年10月30日に公開予定となっています。

グリコ森永事件に関するまとめ

グリコ森永事件の経緯から犯人像まで解説してきましたがいかがでしたか?

グリコ森永事件は未解決事件のため未だに解明されていない謎が多く残されています。犯人はいったい誰だったのか、いったいどこに消えてしまったのか。そしてテープに収められた子供たちは今どこで何をしているのか。

この記事がグリコ森永事件に興味を持たれた人々のお役に立てたら幸いです。

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