夢野久作とはどんな人?生涯・年表まとめ【経歴やおすすめ代表作品、意外なエピソードも紹介】

1926年 – 37歳「『ドグラマグラ』の元となる作品『狂人の解放治療』を執筆」

本格的に小説家として活動

1926年に「あやかしの鼓」で晴れて作家になると、のちに夢野久作の代表作となる「ドグラマグラ」の原型となる小説「狂人の解放治療」の執筆を開始します。ここから「ドグラマグラ」の完成までには10年もの月日が流れることになるのでした。1929年には「押絵の奇蹟」を発表し、これが江戸川乱歩の目にとまり、賞賛を受けるところとなりました。

瓶詰の地獄 角川文庫

その後も「瓶詰地獄」、「いなか、の、じけん」、「死後の恋」、「少女地獄」など話題作を次々と発表していくことになり、小説家としての活動が充実していくようになります。

1935年 – 46歳「『ドグラマグラ』発表」

夢野久作の代表作「ドグラマグラ」の完成と刊行

ドグラマグラ 下巻

1926年に執筆・構想を開始してから約10年、1935年1月に大作「ドグラマグラ」を松柏館書店から刊行することになりました。この「ドグラマグラ」は小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」と中井英夫の「虚無への供物」と並んで日本探偵小説三大奇書として数えられています。「この本を読破したものは、必ず一度は精神に異常を来たす」と評され、刊行当時から話題となりました。

話題の書を出版した夢野ですが、私生活の方では同年1935年の7月に父・茂丸が借金を背負ったままに亡くなったので、返済に奔走する日々が続くようになりました。

1936年 – 47歳「脳溢血を起こし急死」

自宅で知人と会見している際に急死・死因は脳溢血

夢野久作 墓

夢野久作は「ドグラマグラ」を発表し、これから小説家としてさらに名声を挙げて行こうとした矢先に1936年脳溢血にて急死してしまいます。夢野は1935年から1936年にかけて、父・茂丸の背負った借金返済に追われ、資金集めに奔走する日々でしたが、その負債処理を任せていたアサヒビールの重役を迎えている際に突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。

夢野久作の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

ドグラ・マグラ

幻怪、妖麗、グロテスク、エロティシズムの極みと評された夢野久作の代表作です。小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」と中井英夫の「虚無への供物」と並んで日本探偵小説三大奇書として数えられています。読み終えると精神に異常を来たすとも言われている書籍で、興味のある方にはぜひおすすめしたい作品です。

少女地獄

「何でも無い」、「殺人リレー」、「火星の女」の3作品が収録されている書籍です。いずれも女性を主人公として描かれ、夢野の独特のスタイルである書簡体形式でまとめられています。文体が少し古めですが、リズム感が良いので、比較的スムーズに読み進めることのできる作品です。

瓶詰地獄

海岸で発見された3本の瓶の中に若い兄弟の書いた3枚の手紙が入っているというところから始まる物語です。その3枚の手紙がどの順番で書かれたのかを読者が自身の想像力によって推測する作品となっており、その順番によって異なる印象を抱くように仕上がっている、入念に練られた作品です。

おすすめの映画

ドグラ・マグラ

夢野久作の代表作をCGアニメーションとして再現した映像作品となっています。声優には小原雅一や「サザエさんのノリスケ役」としても知られる松本保典などを迎えています。「読破したものは必ず一度は精神に異常を来たす」と言われている原作を映像化するとどのようになるのか興味のある方はぜひ見てみてください。

二重心臓

推理奇譚「二重心臓」の映画化作品です。秋原正俊監督がメガホンを取り、小説の内容を忠実に再現した本格ミステリーとなっています。キャストにも畑野ひろ子、温水洋一、江口のりこ、斉藤洋介など豪華俳優陣が共演を果たしています。

夢野久作についてのまとめ

今回は夢野久作の生涯や代表作品についてご紹介させていただきました。

夢野久作は大作「ドグラマグラ」を遺してこの世を去りましたが、彼の執筆した作品は今でも多くの人々に親しまれています。様々な職業・境遇を経験してきたからこそ生まれる文章の深みには読むたびに受け取る印象が異なり、その度に脱帽させられます。

この記事をきっかけにさらに夢野久作に興味を持っていただけると幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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