ニューディール政策とは?内容や成果を分かりやすく簡単に解説

ニューディール政策の成果はどうだったのか

ルーズベルト自体の人気は高く、アメリカ史上はじめて4期当選を果たした

成果の出たもの、出なかったものとさまざまな政策が入り混じっているニューディール政策。では、この政策は成功だったのか、はたまた失敗したのか、どちらだったのでしょうか。

実はこれに関しては現在も議論されており、両主張が譲らない状態となっています。その理由は「何をもって成功・失敗とするのか」が曖昧な点にあります。基準が明確ではないため、この議論に終止符が打たれるかは微妙なところですが、では成功したと主張する側と失敗だったとする意見にはどのようなものがあるのでしょうか。

本章では双方の意見をご紹介します。あらかじめお断りしておきますが、ここで成功・失敗の結論を出すものではありません。あくまでも有識者による意見だということを念頭に置いてこの続きをお読みください。

成功したという意見

特に成功したという意見で強調されるのは銀行の救済策です。まず第一にルーズベルトが取り組んだ政策のひとつであり、この迅速な対応によって取り付け騒ぎは収束に向かいました。

ニューディール政策は成功したと主張する中野剛志氏

日本の経済産業省官僚である中野剛志は、著書『レジーム・チェンジ-恐慌を突破する逆転の発想』でこう述べています。

ルーズベルト大統領は『ニューディール政策』を実行し、デフレ脱却に向けた政策レジームの大転換を行った。その結果、人々はそのレジーム転換に反応しインフレを期待し行動するようになり、アメリカ経済は恐慌から脱出した

つまり、度重なる物価下落によるインフレを防いだという評価です。

銀子規制が恐慌再発を防止したと意見したロバート・ルーカス氏
出典:NobelPrize.org

また、アメリカ人経済学者、ロバート・ルーカスもコラムの中で以下のように評価しています。

1934年の預金保険の整備、グラス・スティーガル法による銀行と証券を分離によって、銀行が過度なリスクをとれないようにする金融規制の体系が整った。…(中略)…この銀行規制は数十年にわたって、大恐慌の再発を防止した

緊急銀行救済法に関連する改革が、その後の恐慌を防止したという見解です。

これらの観点から、物価の下落抑止、銀行による過度な貸し付けによる不況防止は一定の成果を上げたとして評価されているのです。

失敗だったという意見

一方で、それ以外の政策についてはなかなか評価されていないのが現状です。アメリカ本国のみならず世界中から厳しい意見が多く、大方の経済学者は失敗の意見を述べています。

成果はわからないままだったと主張する宇沢弘文氏

日本人経済学者、宇沢弘文は『始まっている未来 新しい経済学は可能か』の中でこう述べています。

結局は、ニューディール政策がどういう結果・成果をもたらしたかが解る前に第二次世界大戦に突入してしまった

ニューディール政策は、十分な効果をもたらすことができなかったわけではなく、その結果がわかる前に第二次世界大戦が勃発し特需景気で回復してしまったとする意見です。

ニューディール政策は効果がなかったと主張するミルトン・フリードマン氏

また、同様にノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンは『大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか』の中で、以下のように話しています。

1929-1933年と1933-1941年の期間は別に考えるべきである。大恐慌ではなく大収縮を終わらせたのは、銀行休日、金本位制からの離脱、金・銀の購入計画などの一連の金融政策であったのは間違いない。大恐慌を終わらせたのは、第二次世界大戦と軍事支出である

このように、ニューディール政策自体が失敗であり、第二次世界大戦の勃発が世界恐慌を終わらせたとする意見もあります。

いずれにしても当時としては画期的な改革であり、抜本的な手法であったことは事実です。ニューディール政策が成功だったのか、失敗だったのかについては未だに意見の分かれるところですが、現在まで続く社会保障制度や貿易ルールの基礎となったことは、当のルーズベルトも考えていなかったでしょうね。

ヤルタ会談に臨むルーズベルト(中央)。こののちすぐに療養先で亡くなった。

ニューディール政策に関するまとめ

第1次と第2次に分けられたニューディール政策を、行われた政策ごとに紹介してきました。

教科書では高く評価されているニューディール政策。就任翌日から改革に乗り出し、わずか100日でその基礎を作り出す手腕を発揮したルーズベルトは、こんな名言を残しています。

It is common sense to take a method and try it. If it fails, admit it frankly and try another. But above all, try something.
訳:ある方法を選んで試すことは常識である。もし失敗しても素直に認めて別の方法を試そう。しかし何にもまして、何かをすることが大事だ。

ニューディール政策の成功失敗も重要ですが、アメリカ国民を救うために行動した彼の意志の強さには敬服しなければいけませんね。

長き時間にわたってお付き合いいただき、ありがとうございました!

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