三億円事件とは?事件の経緯や真相、犯人像、関連作品まで紹介

1975年12月10日:時効成立

時効成立

時効まであと3ヶ月に迫った1975年10月に警察は最後の大勝負に出ます。17人に縮小されていた捜査員を87人まで増強し、2000人の警察官を導入して全世帯を回る大規模なローラー作戦が行われました。また犯人の遺留品なども公開され、広く情報提供を呼びかけました。

しかしその甲斐なく1975年12月10日午前0時を迎え、公訴時効が成立しました。延べ捜査日数2556日、捜査対象者約11万人、捜査員数約17万人、捜査費用約10億円の日本犯罪史に残る未解決事件となりました。

三億円事件に関する謎や逸話

遺留品の多さ

警視庁が公開した遺留品の広告

三億円事件では犯人によって120点にも及ぶ遺留品が残され、捜査本部は犯人逮捕は時間の問題と考えていました。しかし残された証拠品のほとんどは大量生産され一般に広く流通しているものや盗難されたもので、犯人を特定できるような重要証拠は見つかりませんでした。

犯行現場に残された偽の白バイや逃走に使用された車、犯行に使われなかったが犯人により盗難されたとみられるバイクや車など複数台が見つかっています。

偽白バイの改造に使用されたメガホンからも塗装する際に付着したとみられる新聞紙が発見され、新聞の種類と配達された販売所までたどり着くも一歩遅く、配達先の住所録は処分された後で犯人までたどり着くことはありませんでした。

不確かなモンタージュ写真

少年Sの写真と出来上がったモンタージュ写真

市民からの情報提供を求めるため公開されたモンタージュ写真でしたが、膨大な情報提供があったにも関わらず犯人逮捕のきっかけにはなりませんでした。それもそのはずで、このモンタージュ写真は犯人にまったく似ていない可能性が出てきたのです。

本来モンタージュ写真とは沢山の写真から目撃証言をもとに組み合わせ合成してできた写真のことです。しかし三億円事件の時には最初に容疑者として捜査線上に浮かんだ少年Sの写真をそのまま流用して、ヘルメットと無線機を合成してできたものでした。

ついには1971年に情報提供の際にモンタージュ写真に似ていなくてもよいと方向を転換し、1974年には正式にモンタージュ写真は破棄されるに至りました。

しかし、その後も三億円事件を扱うメディアや書籍などでこの写真は使われ続け、いまだにこの写真の男が犯人だと誤解を生む結果となりました。

三億円事件の影響

給与の受け渡しが振り込みになった

三億円事件がきっかけともいわれる「現金自動預け払い機(ATM)」

三億円事件が起こった1968年当時は、給与を給与袋で手渡しするのが主流でした。この事件をきっかけに現金輸送の危険性が認識され、口座振り込みへの関心が高まります。その結果として民間企業で金融機関を利用した給与振込制度が浸透し始め、数年後には国家公務員にも導入されました。

またどうしても現金を輸送する際には、専門の訓練を受けた警備員を配置し万一に備えるようになったのも三億円事件がきっかけと言われています。

給与を振り込みにしたことによって、銀行の窓口に振り込まれた給与を引き出す人が殺到するという問題が起こりました。そこで自動で引き出しや振り込みのできる「現金自動預け払い機(ATM)」が開発されたと言われています。

自称犯人「白田」の出現

2018年の8月8日、小説投稿サイト「小説家になろう」に三億円事件の犯人を自称する「白田」なる人物の手記「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」が投稿されました。その年の12月にはポプラ社より書籍化され、少年ジャンプ+でマンガ化もされるなど社会現象になりました。

小説の内容は犯人しか知らないとされる「秘密の暴露」などにも言及されており、リアリティがあるとされています。しかし辻褄が合わないことや若者が書いたような文体など不審な点も多くありました。

事件が起こった府中の警察署でも話題に上がったらしく、犯人が名乗り出たと面白がる者や成りすましだと一蹴する者もいたといいます。

三億円事件をモチーフにした作品

マンガ「三億円事件奇譚モンタージュ」

三億円事件をモチーフに描かれた渡辺潤によるミステリー漫画です。2010年から2015年まで講談社の「週刊ヤングマガジン」にて連載されました。現在と過去が入り乱れる壮大なストーリーで、読み応えのある超大作です。

2004年の長崎、主人公である10歳の少年が父親が三億円事件の犯人だと告げられるところからこの物語は始まります。その後、成長した主人公が父の形見である剣道の防具から血まみれの500円札を発見。そのお金が3億円事件で奪われたものと判明し、主人公は真相を知るため幼馴染とともに奔走します。

ドラマ「クロコーチ」

2013年の10月から12月にTBSの「金曜ドラマ」枠で放送されたテレビドラマです。元々はリチャード・ウー原作、コウノコウジ作画による漫画で、日本文芸社の漫画雑誌「週刊漫画ゴラク」で連載されました。

原作では様々な未解決事件にひとつの仮説を示すスタイルで話が進められていて、ドラマではその中の三億円事件を映像化しています。主演は長瀬智也さんが務め、剛力彩芽さん、香椎由宇さん、渡部篤郎さんなどが出演しています。

三億円事件に関するまとめ

日本犯罪史の中でもひときわ有名な三億円事件を紹介しました。

犯人が不明で奪われた3億円の行方もわからないままなので、様々な推測や仮説が立てられました。結局真相は闇の中ですが数々の小説や漫画、映画やテレビ番組で題材にされ語り継がれています。

ぜひ色々な作品を見てそれぞれの三億円事件へのアプローチを楽しんでみてください!

1 2 3 4

コメントを残す