大東亜共栄圏の目的と実態
大東亜共栄圏はアジア諸国に歓迎され、1943年の大東亜共同宣言の採択により正式に迎え入れられました。ここから日本がポツダム宣言を受諾し無条件降伏を受け入れるまでの間、日本はアジアの盟主的立ち位置を維持し続けます。ですが、その実態はあまり教科書などには載っておらず知る機会はあまりありません。
では大東亜共栄圏の真の目的とその実態とはどんなものだったのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
事実上の植民地獲得
大東亜共栄圏の掲げる共存共栄。大東亜共栄圏形成に関わる政策を進めた東条英機はその演説の中でこう述べていました。
大東亜の各国家及各民族をして、各々其の処を得しめ、帝国を核心とする道義に基く共存共栄の秩序を確立せんとするに在る
要するに、日本と当該地域による共存共栄がアジアの秩序形成には欠かせない、というのです。しかし、それは名ばかりのものでその実態は植民地支配そのものでした。事実、独立を認めた国々には日本が主導する近代化と銘打たれた政策が次々と行われました。
教育面においては皇民教育が強制され、各地には神社などが建てられるなど様相が一変。また、政治においても、公正な選挙で選ばれた代表者ではなく、日本政府が指名した人間が政治家として活動するなど。あくまで保護と支援を名目に内政干渉を続けていた日本の政策が植民地支配そのもののであったことから、一部のアジア諸国の不満は徐々に募っていったのです。
欧米諸国からの解放
一方で、欧米諸国からアジアを解放したことは評価に値します。結局、実質的な独立を認めることはないまま終戦を迎えてしまったわけですが、名目的な独立を日本がさせたことで一部の分野では本当の独立を成し遂げた際に大きな影響を与えたことがわかりました。
例えば日本は該当のアジア諸国を従属国扱いをして教育内容の変更には手を加えました。しかしそれが戦後、未整備であった教育制度の普及に一役買ったのです。これは不幸中の幸いというべきかわかりませんが、おかげで教育面の発展は遅れを取らなかったといわれています。この他、重要なものに軍事演習があります。これは、旧日本軍が駐留中に指導を受けた現地の人々が、戦後元の宗主国と独立をめぐって戦争となった際に役だったとする研究結果がいくつもなされています。
代表的なものに、ベトナム戦争時に現地の学校で軍事訓練を施していた日本人のおかげで急成長を遂げたベトナム兵の話があります。現在もその学校は残されており、一部では観光地化されています。また、こういった背景から親日家が多い地域も存在し、一概に大東亜共栄圏に関わる政策がまずかったとは難い状況にあるのも事実なのです。
八紘一宇思想
大東亜共栄圏を語るうえで外せない思想に「八紘一宇」というものがあります。『日本書紀』の一文を取って命名されたもので、「天下をひとつの家のようにすること」という意味があります。
「八紘」とは8方位、つまりすべての方角を意味し、「一宇」とは「ひとつの家の屋根」を指しています。つまり、ひとつ屋根の下ですべての地域が治まるという思想です。日本はこの考え方に「天皇という唯一の存在による統治」と解釈をしています。天皇こそがこの世界の唯一の皇帝であり、天皇のもとに世界を統治すれば世界はよくなるという考え方に基づいているのです。しかしこの考え方には問題もありました。それは「日本以外の国は、日本に従うべき」という従属関係に基づく考え方です。研究者の中には大東亜共栄圏という政策の失敗の原因がこれだと結論付ける者もいるほど、重要な位置を閉めていました。
八紘一宇の言葉は、大東亜共栄圏を拡大するに当たり標語として日本国民に知らされました。プロパガンダの一環であったとされ、天皇の治世こそ正義の考え方を広く植え付けたのです。結果的に終戦後、この言葉はGHQにより使用を禁止されました。
「要するに、日本と当該地域による共存共栄がアジアの秩序形成には欠かせない、というのです。しかし、それは名ばかりのものでその実態は植民地支配そのものでした。事実、独立を認めた国々には日本が主導する近代化と銘打たれた政策が次々と行われました。
教育面においては皇民教育が強制され、各地には神社などが建てられるなど様相が一変。また、政治においても、公正な選挙で選ばれた代表者ではなく、日本政府が指名した人間が政治家として活動するなど。あくまで保護と支援を名目に内政干渉を続けていた日本の政策が植民地支配そのもののであったことから、一部のアジア諸国の不満は徐々に募っていったのです。」とありますが、この内容はどのような文献からのものなのか教えて頂けますか?
追求課題に用いらせて頂きました。ありがとうございました。
勉強になります!有難うございます!
『大東亜共栄圏を言い出すのは「ネトウヨ」?』のところの最後の1行の「身長」は慎重の間違えではないでしょうか
ご指摘ありがとうございます!
誤字でした。修正致しました。
ご指摘、ありがとうございます。修正し、更新いたしました。