アンコールワットとは?歴史や特徴、遺跡内部について詳しく紹介

「アンコールワットってどんな遺跡?」
「アンコールワットの見どころは?」
「アンコールワットの歴史について知りたい」

年々観光客が増加している人気な観光スポットであるアンコールワットについて、このような疑問を抱いているのではないでしょうか?アンコールワットとは、カンボジアの世界遺産でクメール建築の最高傑作と言われている遺跡です。

アンコールワット

今回はそんなアンコールワットの特徴や歴史・構造について解説します。また、見どころや昔の日本人が残した落書きについてもご紹介するのでぜひ参考にしてください。知識を身につけてからいくと、よりアンコールワット観光を楽しめますよ。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

アンコールワットとはどんな遺跡?

アンコールワットはカンボジア人の象徴

アンコールワットとは、12世紀頃に建てられたヒンドゥー教の寺院です。しかし、16世紀後半に仏教寺院に改修された歴史を持っているため、現在では上座部仏教の寺院として扱われています。

また、アンコールワットはカンボジア人にとって関わりの深い遺跡でもあります。カンボジア人にとってアンコールワットは祖先とのつながりを感じられる場所。日本で正月に神社へ初詣を行うように、カンボジア人も一年の願掛けのために遺跡を訪れます。

さらに、カンボジア人の家にはアンコールワットを模した彫刻が飾られており、多くのお店に遺跡の名前が付けられています。紙幣にもアンコールワットがデザインされており、生活の中に遺跡が根付いているのです。

これは国家レベルでも同じで、実はカンボジアの国旗にはアンコールワットのシルエットが描かれています。

誰がいつどんな目的で建造した?

スーリヤヴァルマン二世

アンコールワットは、12世紀前半に即位したアンコール王朝の王スーリヤヴァルマン二世によって同じ頃に建設されました。建設された理由は大きく分けると次の二つです。

  • 王位を継いだことを国民に知らせるため
  • 神々と交信するため

アンコールワットが建設されたシェムリアップ地域はアンコール王朝の王都であり、たくさんの寺院が建てられています。

アンコールは政治だけでなく宗教上の聖都としても機能しており、この聖地を治める王は前王よりも壮大な寺院を建設し、国民に王位に就いたことを伝える儀式を行うことが恒例となっていました。

また、寺院は王の権力を示すだけでなく、神々と交信する神聖な場所でもあります。スーリヤヴァルマン二世は、アンコールワットを建設して独自の宇宙観を表現し、王権を神格化しました。宗教と政治が強く結びついていたんですね。

また、アンコールワットは政治的・宗教的な施設でありながら、スーリヤヴァルマン二世を埋葬する墓でもありました。これは死後に王と神が一体化するデーヴァ・ラジャ(神王)思想に基づいたものでした。

アンコールワットは世界遺産アンコール遺跡の一部

アンコールワットの他にもアンコールトムなど複数の遺跡が近くにある

アンコールワットは世界遺産アンコール遺跡群の一部で、同遺跡群の中でも最も有名な遺跡です。ピラミッド型の寺院で、中心部は複数の塔によって構成されています。

砂岩とレンガによって建設されており境内は外周1.5km、南北に1.3km、幅190mの堀に囲まれ、参道は600mほどの長さがあります。遺跡全体の広さはディズニーランド4個分ほどです。

また、アンコールワットは寺院という建物全体で宇宙観を表現しています。

中央祠堂が世界の中心で神が住む場所を象徴しており、祠堂を取り囲む回廊は雄大なヒマラヤ山脈を表しています。アンコールワット遺跡を囲む堀は無限の大洋を表しており、遺跡の至るところで見かけるナーガは不死の象徴です。

ナーガ(蛇神)は神と人間界をつなぐ架け橋としての意味も持ちます。ちなみにナーガやシンハ(獅子神)は一時停止のサインでもあります。周りの風景が変化している合図なので、ナーガやシンハを見かけたら一度立ち止まって、周りの風景や建築を見てみてください。

新しい発見や驚くような光景があるかもしれませんよ。

アンコールワットの特徴

繊細な彫刻と石造の大伽藍がアンコールワットの特徴。現代の技術でも難しい建築を工夫で成し遂げた

東南アジア最大の大伽藍

アンコールワット一番の特徴は、やはり東南アジア最大の石造伽藍(がらん)です。ディズニーランド4個分の広さと高さ65mの中央祠堂。

スーリヤヴァルマン二世が30年以上の年月を費やして建造されたアンコールワットの大伽藍は、遠くから見てもそれだとわかるほど特徴的です。

こだわりが感じられる繊細な彫刻

アンコールワットの2つ目の特徴は、遺跡内部に刻まれた彫刻です。神話や物語が壁に彫刻されており、当時の宗教の世界観や人々の文化に触れられます。レリーフの人々や神は一体一体表情や姿勢、服装が異なっており、服の模様に至るまで細かく彫刻されています。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、その言葉が実感できるほど細やかで繊細な彫刻です。アンコールワットを見学する際は、ぜひ注視してみてください。

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