アンコールワットとは?歴史や特徴、遺跡内部について詳しく紹介

アンコールワットの見どころは?

王だけが入れた特別な場所『第三回廊』

第三回廊の女神像

第三回廊はアンコール王朝時代、王だけが踏み入ることを許された神聖な場所です。王が神々と対話をしたと言い伝えられている場所であり、現在もアンコールワットで最も神聖な場所となっています。

そのため、一度に入場できる人数は100人までとなっており、さらに1ヶ月に4日ほどある仏教の日や宗教の特別な行事がある日は入場できません。

そのような特別な場所である第三回廊は、特に見どころがあります。中央祠堂の外壁に彫られたアンコールワット一美しい女神像やシェムリアップ地区一の高さから見るアンコールワットなど、当時の王だけが見られた芸術・景色を堪能できます。

第三回廊の階段は70度とかなりの急勾配になっているので、手すりをしっかりとつかんで移動してくださいね。

8つの壮大な物語が描かれた『第一回廊』

神鳥ガルーダに乗るヴィシュヌ神のレリーフ

760mに渡って物語が彫刻されている第一回廊は、アンコールワットの歴史的価値を高めているものの一つです。レリーフは絵巻物語のようになっており、順番に読み進めていくと一つの物語が完結するようになっています。

入場順路順に歩くと

  • ヒンドゥー教神話の源になったインドの叙事詩『マハーバーラタ』
  • スールヴァルマン二世の軍隊の行進
  • 死後の世界を表現した『天国と地獄』
  • ヒンドゥー教の天地創世神話『乳海攪拌(にゅうかいかくはん)』
  • ヴィシュヌ神と阿修羅の戦い
  • クリシュナと阿修羅の戦い
  • アムリタをめぐる神々と阿修羅の戦い
  • 古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』

の順番に物語を見られます。レリーフは上段・中段・下段と三分割になっており、上から遠景・中景・近景で遠近を表現。近代とは違った手法が面白い壁画です。

一枚の絵というより、動画のように連続しているので、ゆっくり歩きながら物語を味わってみてください。

まるで絵画のような絶景『池に映る逆さアンコールワット』

聖池に映るアンコールワット

どこをとっても写真の撮りがいのあるアンコールワットですが、中でも有名なのが参道の両脇を囲む聖池に映る『逆さアンコールワット』。よく晴れて風のない日に、水面へ映し出されるアンコールワットは絵画のような美しさがあります。

朝日や夕焼けなどもまた違った趣があっておすすめです。日中に撮影する場合は、逆光にならない午後が最適です。

アンコールワットは落書きが有名?

回廊の柱に残された落書き

十字回廊に残された約400年前の日本人の落書き

アンコールワットと日本。一見縁のなさそうな両者ですが、意外な繋がりがあります。実は400年ほど前の1632年に日本人が訪れており、アンコールワットの柱には落書きが残ってるのです。

問題の落書きは十字回廊右側の柱に書かれており、他にも十数箇所確認されています。一度何者かが消そうとした痕跡が残っていますが、現在では歴史的意味合いが深いと判断され、大切に保存されています。

落書きしたのは森本右近太夫

朱印船に乗ってカンボジアへ渡ったとみられている

落書きの犯人は肥前国の武士、森本右近太夫で落書きの中で自己紹介しています。彼が遠く離れたカンボジアまできていた理由は、参拝のためです。

森本は信心深い仏教徒でした。当時、日本ではアンコールワットのことを仏教の聖地「祇園精舎」だと思い込んでおり、森本以外の日本人も訪れていたそうです。

落書きの内容は?

本来の祇園精舎はインドのコーサラ国首都シュラーヴァスティーにある

落書きの内容は要約すると、自己紹介と寺院まで来た目的、願掛けの3つです。以下が意訳された内容です。

1632年(寛永9年)正月。生まれは日本、紀州の住人で藤原の朝臣である森本右近太夫一房は、この御堂を志し、はるばる千里の海を渡ってきた。一念を念じ、生々世々娑婆浮世の思いを清めるために、四体の仏像を奉納するものである。摂津国、池田の住人である父森本儀太夫一吉の現世利益と、尾張国、名古屋出身の亡母の後生のためにこれを書く。

以上の文からは、森本の家族を思う気持ちが伝わってきます。海を越えて遠い国まで、父の繁栄と母の来世を祈りにきたなんてとても家族思いですね。

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