シャルロット・コルデーとはどんな人?暗殺の天使と呼ばれた美女の生涯

マラー暗殺、そして逮捕

シャルロットによるマラー暗殺。偶然と幸運が作用したとはいえ、それは非常に手際よく行われた。

そして来たる7月13日、シャルロットはマラーの屋敷に赴きます。門番は見慣れないシャルロットを訝しがって追い返そうとしたようですが、シャルロットがこれに反発すると、マラー自身が「そんなに熱心な方を追い返すのは失礼だ」と、接見を許可したと言われています。

皮膚病を患って浴槽から上がれないマラーに対し、シャルロットは「貴方に危険が迫っている」として接近。その言葉に耳を傾けようと身を乗り出したマラーの胸に向けて、シャルロットは包丁を突き立てたのです。

そうしてマラーを殺害したシャルロット。ですがマラーの断末魔を聞きつけた者たちによって取り押さえられ、呆気なく逮捕されることとなりました。

裁判にて

シャルロットの裁判を描いた風刺画。裁判官を猿のように描いていることから、シャルロットが好意的に見られていたことがわかる。

牢獄に移送されたシャルロットは、暗殺の4日後に裁判を受けることになりました。とはいえ、現行犯で逮捕された彼女に言い逃れなどできるはずもなく、彼女は死刑を宣告されてしまいます。

シャルロットは落ち着いた様子でこの裁判を受けていましたが、その落ち着きや手際の良さなどから「本当は凄腕の暗殺者なのでは?」という疑いに対しては、顔を真っ赤にして否定したと伝わっています。

また、「わざわざ会ってくれるマラー様を、貴方は何故殺したのですか?」という問いに対しては「私に対して優しかったとしても、他の方には悪魔だったではないですか」と毅然と反論。極端な物言いとも受け取れますが、シャルロットの意思の強さを表す発言が残されています。

処刑場への移送

シャルロットの手を縛るサンソン。

裁判が終わり、肖像画を描いてもらったシャルロットは、執行人であるシャルル=アンリ・サンソンに伴われて馬車でコンコルド広場へ移送されました。

この時のシャルロットの落ち着きを、サンソンは後の回顧録で「信じられなかった」と思い返しており、馬車の中でいくらかの雑談をしていたとも記録されています。

”暗殺の天使”の死

シャルロットの処刑は迅速に行われ、24歳の若さで彼女はこの世を去ることになった。

コンコルド広場に移送されたシャルロットは、サンソンに付き添われてまずはギロチンを見学。そして死刑囚として身だしなみを整えてから、彼女は自らギロチンの刃の下にうつ伏せとなりました。

そしてその苦痛を長引かせまいと、サンソンは即座に死刑を執行。1793年7月17日、25歳の誕生日を迎える10日前に、シャルロット・コルデーは断頭台の露と消えることとなったのです。

そうして胴体と切り離された首を、サンソンの弟子は高く掲げて平手打ちに。死した少女の尊厳を傷つけるその行為にサンソンは激怒し、すぐさまその弟子を解雇したと伝わっています。また、平手打ちされた顔が怒るように歪んだとも言われていますが、その真相は定かではありません。

シャルロット・コルデーの関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

マラーを殺した女―暗殺の天使シャルロット・コルデ

日本語訳されている書籍では珍しい、シャルロット・コルデーをメインに据えた伝記です。

古い本ですが、丁寧にシャルロットの生涯が解説されているため、彼女について一層深掘りしたい方にはお勧めしたい一冊となっています。

イノサン Rougeルージュ 10

この記事でも度々登場したシャルル=アンリ・サンソンを主役に据え、激動のフランス革命を描いた漫画作品です。

シャルロットは10巻に登場。史実同様の行動と末路を辿る彼女ですが、それ故に彼女の人となりをビジュアル的に分かりやすく知ることができる良作となっています。シャルロットについてだけでなく、サンソンについて知りたい方にもお勧めできる作品です。

おすすめのゲーム作品

Fate/Grand Order

スマホでフェイト!|Fate/Grand Order 公式サイト

多くの歴史や神話上の人物をキャラクター化したゲーム作品です。シャルロットやサンソンなど、フランス革命に関連する人物も数多く登場しています。

突飛な設定も多い作品ですが、シャルロットは比較的史実に近いキャラクターとして登場。シナリオでの出番は多くありませんが、多くのファンを虜にするキャラクターとなっています。

関連外部リンク

シャルロット・コルデーについてのまとめ

「ジャン=ポール・マラー暗殺」という唯一の事件によって、歴史に名を刻まれることになったシャルロット・コルデーという女性。結果的には報われず、ただ革命の渦に呑まれてしまった女性ではありますが、彼女の行動が多くの人の心を動かしたこともまた事実だろうと思われます。

彼女が行動に出てしまったことで結果的に失われることになった命があり、逆に彼女が動いたことで救われた命があったのかもしれない。“もしも”というものは歴史の中には存在しませんが、そのようなことを想像したくなる面白い人物こそが、シャルロット・コルデーであるように筆者は感じました。

それでは、この記事にお付き合いいただきありがとうございました。この記事が皆様にとって、何かしらの学びとなっていましたら光栄です。

1 2 3 4

コメントを残す