ソクラテスの功績
功績1「今も語り継がれる『無知の知』を説いた」
ソクラテスは今も語り継がれる「無知の知」を説いています。「無知の知」はソクラテスの時代から2500年近く経った今でも、哲学を語る上で必ず登場してきます。
この「無知の知」の真の意味は「自分は無知を自覚しているから、無知を自覚していない人よりも優れている」ということではありません。ソクラテスが言いたかったのは「みんな無知で本当の事は何も分からないのだから、みんなで勉強をしてこの世界の真実を追求しよう」という事です。
プラトンなどの多くの弟子たちはこの考えに感銘を受け、哲学者として真実の探求を始めることになります。
功績2「数多くの弟子を育てた」
前述したように、ソクラテスには数多くの弟子がいます。西洋哲学の代名詞であるプラトンを筆頭に、クセノポン、カイレポン、クリトン、アリスティッポス、アンティステネス、エウクレイデス、クセノポン、アルキビアデス、クリティアスなど非常に数多くの弟子を輩出しています。
このように自分を心酔するものを弟子として認めるような事はしていたのですが、ソクラテスは基本的にはどんな相手にも分け隔てなく問答をし、知を高めあったと言われています。
功績3「ソクラテス式問答法という討論の形式を生み出す」
ソクラテスは前述したように、デルポイの神託所での出来事がきっかけで「ソクラテス式問答法」という討論の形式を生み出しました。これによって当時の弟子や、知を愛する者はソクラテスと共に、洗練された考察をもたらす討論をしていました。
今ではこのソクラテス式問答法は議論の場だけでなく、精神療法に使われたり、法学教育での応用に使われたりと、非常に幅広い用途で、現代に溶け込んでいます。
ソクラテスの名言
より善く生きる道を探し続けることが、最高の人生を生きることだ
ソクラテスの「善く生きる」という生き様が詰まった言葉です。何度か紹介しているようにソクラテスは、魂にとって善い行いをして徳を積むことこそが重要だとしています。また「探し続ける」というのが知を探求しているソクラテスらしくて良いですね。
この人とうまくやっていけるようなら、他の誰とでもうまくやっていけるだろうからね
悪妻と言われているクサンティッペについて「別れた方が良いんじゃないか?」と言われた時の一言です。ソクラテスらしい気の利いた言葉ですね。
ソクラテスの名言5選!和訳と言葉の意味も解説【英語原文あり】
ソクラテスにまつわる逸話
逸話1「容姿が醜かった?」
ソクラテスは容姿が醜かったと言われています。弟子であるプラトンにも「ソクラテスは世界で一番醜い代わりに一番賢い」と言われる始末です。
このように容姿が醜いと伝承されてきてしまったがためか、ソクラテスの銅像は豚鼻にされて不細工な印象ですし、「アテナイの学堂」に描かれているソクラテスも、人相が悪く描かれているように感じます。上の画像の「アテナイの学堂」に描かれているソクラテスは、上の段でこちらからみて左を向いているカーキ色のローブを身に着けた人物です。
逸話2「ソクラテスの生涯・思想はでたらめ?」
結局のところ、ソクラテスの生涯・思想はでたらめなのではないかという意見も実はあります。というのも、ソクラテスは自ら著述を行っていません。これは「ソクラテス問題」とも言われており、私たちが思い描くソクラテスは結局、プラトンやクセノポンが描いたソクラテスからしか見えてきません。
ただ単純にプラトンの注釈が優秀すぎただけであって、ソクラテスはそもそもそんな深い思考は持ち合わせていなかったという説もあります。
またクセノポンの描くソクラテスは、クセノポンが哲学に対する理解が薄くて、ソクラテスの思考を捉え切れていなかったという説も考えられています。
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