小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

即身仏をわかりやすく解説!特徴や条件、失敗する原因も紹介

「即身仏って何?」
「即身仏になる方法は?」
「即身仏は今でも見られるのか?」

即身仏とは、衆生を救う目的に厳しい修行の末ミイラ状態になった僧侶です。平安時代から明治時代初期にかけ、多くの僧侶が即身仏になるための修行を行いました。

しかし、即身仏という名前を知る一方で特徴やその方法、失敗するとどうなるのかなどといった詳細は、あいまいだったりしますよね。また、「空海は即身仏だったの?」などの即身仏にまつわる疑問を抱いている人もいるはず。

そこで今回は、即身仏についてわかりやすく解説します。即身仏の特徴やなる方法はもちろん、失敗する原因や現存する即身仏の所在地も紹介。この記事で、即身仏への知見は網羅できるでしょう。

即身仏とは?

即身仏とは一体何なのか?はじめに即身仏の概要について説明します。

即身仏とはミイラ状態の僧侶

湯殿山総本寺の即身仏・真如海上人

即身仏とは、厳しい修行の末に生きたまま自ら土の中に入り絶命し、ミイラ化して掘り起こされた僧侶のことです。生きている間から後世に残る体を作る修行を開始し、死後3年後に掘り起こすことを想定し、自らミイラになることを目指します。

しかし即身仏は、レントゲンで撮影した結果、臓器もそのまま残されているのが確認されているため、脳や内臓を取り除いて薬品を詰めた人為的なミイラとは少々異なります。

自然の力を借りて、体が残るように修行された末に完成した仏様なのです。

「即身仏」と「即身成仏」との違い

神々しいお顔の仏様

即身仏に類似した言葉に「即身成仏」という言葉がありますが、意味は全く異なります。

即身仏は先に述べたように、修行の末に生きたまま土に入って掘り起こされた僧侶のこと。つまりは見える形の仏様の体を指します。

一方で即身成仏とは、長い修行の末を経ればこの世にいたまま悟りを開いて仏になれる思想です。父と母から生まれたひとりの人間が、何度も生まれ変わらなくても一回の人生の間に仏になれるという考えを指します。これは真言密教の教義です。

仏教における悟りとは当初、修行を幾度も重ねて何度も生まれ変わる必要を説いています。しかし真言宗の開祖・空海がに渡り、中国で即身成仏の思想を日本に持ち込み理論化しました。

即身仏は「体」、即身成仏は「思想」。即身仏はこの密教と密接にかかわるのですが、言葉の響きは似ていても、中身は全く異なるのです。

即身仏に対する海外の反応

海外に存在しているミイラ「不朽体」

海外メディアは、日本の即身仏に対し強い興味を示しているケースが多いです。衆生を救うため、自らの命を投げ打った僧侶の意思には、「献身的」「自己犠牲」という声も挙がっています。

一方でその見た目から「興味深い」「アメージング!」といった意見も見られます。日本のアニメで即身仏が登場していることから、興味を持った海外の人が多いようです。

海外には、「不朽体」という奇跡的に腐敗しない聖人の遺体を崇拝する地域もあります。キリスト教における自己犠牲の精神とどこか共鳴する部分があるのかもしれませんね。

即身仏の3つの特徴

即身仏には一体どのような特徴があるのでしょうか。その詳細に迫ります。

特徴1:ミイラのような様相

今もなお人々に崇められる即身仏

言うまでもなく、即身仏の特徴はその見た目です。少しばかり肉の残る骨ばった体、木のような皮膚、表情があるような顔面。一抹の恐怖と畏怖を感じさせます。

しかし実際に即身仏になろうとした僧侶は、このような様相になるのを十分に理解した上で修行を重ね絶命しています。自身の体がミイラ化するような食事、運動、毒物摂取の修行もしていました。

座り込んで手を合わせている姿からは、お経を唱え続けていたのも理解できます。そこからは、信仰の厚さを読み取ることができるので、一概に「怖い」とも言えないでしょう。

特徴2:法衣(ほうえ)をまとっている

修行専門の僧侶・一千行人の模擬像

即身仏はとても徳の高い仏様であることから、法衣(ほうえ)を身にまとっています。この法衣は絶命した時に着用していたものではありません。実は、年に数回法衣の着替えを行っています。

飢饉で苦しむ衆生を救うことを目的に即身仏になったケースが多いため、即身仏は今でも多くの人々に尊ばれています。したがって今もなお、非常に徳の高い僧侶の法衣を身に付け、衣替えも行っているのです。

特徴3:東北地方に集中している

弘智法印が安置されている福島県の貫秀寺

即身仏は、現在の東北地方にあたる地域で多く発見されています。江戸時代、「西の伊勢参り、東の奥参り」という言葉がありました。「東の奥の院」とは山形の出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)を指し、霊験あらたかな場として多くの参拝客が足を運びました。

この神聖な山々に対する信仰が徐々に強まると、山での修行を行う僧侶が現れるようになります。この信仰は「山岳信仰」と呼ばれ、山の中で厳しい修行を積み仏になろうと志す人が多くなりました。

この修行の中に生じたのが即身仏です。特に東北地方は、寒さが激しい気候ゆえに飢餓が絶えませんでした。これを目にした僧侶は、自らの命を投げ打ってでも、修行と祈りの力を通じて民衆を救おうと考えました。

東北地方の山々に面したお寺に即身仏が多く安置されている理由は、出羽三山に対する僧侶の信仰が強かったことと、飢饉を起こすほどの厳しい極寒の環境という2つの要素が含まれています。

即身仏になる6つの条件

霊場・羽黒山に優しく建つ五重塔

即身仏になるためにはどのような条件が必要になるのでしょうか。即身仏になるためには、生きている間から死後ミイラ化する体つくりが必須です。これらの修行について紹介していきます。

条件1:山籠り

出羽三山での修行の様子

即身仏になるためには、山での修行が基本です。山で行う修行は「修験道(しゅげんどう)」と呼ばれ、聖域とする山の中に籠りその神秘的な力にあずかります。山岳信仰に基づき、心身の鍛錬、苦難に忍ぶ力を身に付けるのです。

山で行われるこの修験道は、密教に密接にかかわっています。しかし密教はその修行方法を公にしていません。したがって修行の詳細までは不明ですが、自然の力を前にした厳しい修行であることが容易に想像できます。

条件2:千日行

厳しい山をひたすら歩く千日行の様子

山籠りに加えて行う修行が、約7年間かけて山を行脚する千日行です。これは最初の1~3年は年に100日、4~5年は年に200日、お経を唱えながら6時間かけて30キロ以上の山道を歩き続ける修行になります。

途中でできなくなったり、諦めて実行できない場合は、自害することが約束されている非常に厳しい修行です。そのために僧侶は短剣を持って修行に出なくてはなりませんでした。

5年目以降になると「堂入り」と呼ばれる修行に入ります。これは、お寺の中で約9日間、断食・断水・断眠・断臥をし、お経を唱え続けるものでした。

この修行を終えた僧侶は2010年代にも存在し、平安時代から数えると50人以上いると言われています。

条件3:穀断ち

即身仏を目指す僧侶たちが絶った穀物

穀断ちとは一切の穀物を食べることを禁じ、俗世から身を清める修行です。穀断ちには2つあり、米・麦・粟・豆・きびまたは稗(ひえ)を断つ「五穀断ち」と、五穀に加えて豆・トウモロコシ・そば・ゴマ・クコなども断つ「十穀断ち」があります。

即身仏になるまでの修行ではこれらの穀断ちを「木食行」と呼びました。穀以外の草木や根のみを食べ修行に励みます。

即身仏になるになるためには、死後腐敗しないように、肉体や体脂肪を生きている間の内に削ぎ落しておく必要もあります。そのために即身仏を志す僧侶たちはカロリーを摂取しないような食生活を自身に強いました。

脂肪分が落ちてきたら、人体にとっては毒である漆(うるし)を飲み何度も吐いて体内の水分を抜きます。また漆には殺菌効果もあるので死後の臓器腐敗を防ぐためにも効果がありました。

条件4:土中入定

即身仏になるための入定墓の穴

修行を積んで骨と皮ほどになり死期を悟った僧侶は、地下約3メートルまで掘った穴の中の石室、そのまた中に入れ込んだ木棺に入ります。「土中入定(どちゅうにゅうじょう)」と言われる行程です。

僧侶が入ると、弟子たちは僧侶が入った穴の上に土をかぶせ蓋をします。

土中入定には、穴を掘ったりかぶせたりと弟子の力が必要です。最後まで見送ってくれる人徳の高さも自ずと必要になることが分かりますね。

条件5:読経

般若心経

僧侶は真っ暗闇の中で、座禅を組みながらひたすら読経します。

土中入定した僧侶がいる土の中へは、竹筒一本が差され空気が送られます。一切の水分も断ち、呼吸のみを行うのです。

決まった時刻に弟子が鈴を鳴らし、僧侶も鈴を鳴らし返すことで生存確認の合図を送りますが、やがて僧侶からの鈴の音が聞こえなくなると弟子たちは僧侶が絶命したことを悟り、竹筒を抜きます。そして完全に土に蓋をし空気穴を塞ぐのです。

条件6:掘り起こし

新潟県西生寺の即身仏(木造レプリカ)

土中入定し絶命した僧侶は、弟子の手によって死後3年3ヶ月後に掘り起こされます。

体の形が残っている即身仏もいる一方で、朽ち果ててしまっている仏様もいるため、その場合は無縁仏として供養されるのです。

ちなみに、体の形が残っているのは非常に貴重で珍しいケースとなります。

1 2

コメントを残す