即身仏をわかりやすく解説!特徴や条件、失敗する原因も紹介

即身仏になる6つの条件

霊場・羽黒山に優しく建つ五重塔

即身仏になるためにはどのような条件が必要になるのでしょうか。即身仏になるためには、生きている間から死後ミイラ化する体つくりが必須です。これらの修行について紹介していきます。

条件1:山籠り

出羽三山での修行の様子

即身仏になるためには、山での修行が基本です。山で行う修行は「修験道(しゅげんどう)」と呼ばれ、聖域とする山の中に籠りその神秘的な力にあずかります。山岳信仰に基づき、心身の鍛錬、苦難に忍ぶ力を身に付けるのです。

山で行われるこの修験道は、密教に密接にかかわっています。しかし密教はその修行方法を公にしていません。したがって修行の詳細までは不明ですが、自然の力を前にした厳しい修行であることが容易に想像できます。

条件2:千日行

厳しい山をひたすら歩く千日行の様子

山籠りに加えて行う修行が、約7年間かけて山を行脚する千日行です。これは最初の1~3年は年に100日、4~5年は年に200日、お経を唱えながら6時間かけて30キロ以上の山道を歩き続ける修行になります。

途中でできなくなったり、諦めて実行できない場合は、自害することが約束されている非常に厳しい修行です。そのために僧侶は短剣を持って修行に出なくてはなりませんでした。

5年目以降になると「堂入り」と呼ばれる修行に入ります。これは、お寺の中で約9日間、断食・断水・断眠・断臥をし、お経を唱え続けるものでした。

この修行を終えた僧侶は2010年代にも存在し、平安時代から数えると50人以上いると言われています。

条件3:穀断ち

即身仏を目指す僧侶たちが絶った穀物

穀断ちとは一切の穀物を食べることを禁じ、俗世から身を清める修行です。穀断ちには2つあり、米・麦・粟・豆・きびまたは稗(ひえ)を断つ「五穀断ち」と、五穀に加えて豆・トウモロコシ・そば・ゴマ・クコなども断つ「十穀断ち」があります。

即身仏になるまでの修行ではこれらの穀断ちを「木食行」と呼びました。穀以外の草木や根のみを食べ修行に励みます。

即身仏になるになるためには、死後腐敗しないように、肉体や体脂肪を生きている間の内に削ぎ落しておく必要もあります。そのために即身仏を志す僧侶たちはカロリーを摂取しないような食生活を自身に強いました。

脂肪分が落ちてきたら、人体にとっては毒である漆(うるし)を飲み何度も吐いて体内の水分を抜きます。また漆には殺菌効果もあるので死後の臓器腐敗を防ぐためにも効果がありました。

条件4:土中入定

即身仏になるための入定墓の穴

修行を積んで骨と皮ほどになり死期を悟った僧侶は、地下約3メートルまで掘った穴の中の石室、そのまた中に入れ込んだ木棺に入ります。「土中入定(どちゅうにゅうじょう)」と言われる行程です。

僧侶が入ると、弟子たちは僧侶が入った穴の上に土をかぶせ蓋をします。

土中入定には、穴を掘ったりかぶせたりと弟子の力が必要です。最後まで見送ってくれる人徳の高さも自ずと必要になることが分かりますね。

条件5:読経

般若心経

僧侶は真っ暗闇の中で、座禅を組みながらひたすら読経します。

土中入定した僧侶がいる土の中へは、竹筒一本が差され空気が送られます。一切の水分も断ち、呼吸のみを行うのです。

決まった時刻に弟子が鈴を鳴らし、僧侶も鈴を鳴らし返すことで生存確認の合図を送りますが、やがて僧侶からの鈴の音が聞こえなくなると弟子たちは僧侶が絶命したことを悟り、竹筒を抜きます。そして完全に土に蓋をし空気穴を塞ぐのです。

条件6:掘り起こし

新潟県西生寺の即身仏(木造レプリカ)

土中入定し絶命した僧侶は、弟子の手によって死後3年3ヶ月後に掘り起こされます。

体の形が残っている即身仏もいる一方で、朽ち果ててしまっている仏様もいるため、その場合は無縁仏として供養されるのです。

ちなみに、体の形が残っているのは非常に貴重で珍しいケースとなります。

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