葛飾北斎の有名な作品を時代別に一覧で紹介【特徴も分かりやすく解説】

葛飾北斎の有名な作品:葛飾北斎期編

1804年から1818年にかけた文化年間には、「葛飾北斎」の名前で、当時流行っていた読本の挿絵を多く手がけるようになります。洋風の風景版画のほか、肉筆画も多数制作された時期です。

新編水滸画伝

「新編水滸画伝」1805年9月

北斎読本の代表作と言われます。初編は曲亭馬琴、二編巻十一以降は高井蘭山によるもので、挿絵は北斎が担当しました。薄墨や薄茶色を用いて臨場感を生み出し、話を盛り上げています。

七夕図

「七夕図」1804〜1810年

「七夕図」と呼ばれるこの美人図は、三井を統率した実業家であった団琢磨が所蔵していたことでも知られています、1965年に旧ソ連で開かれた「北斎展」に出品されて世界的にも注目されました。

酔余美人図

「酔余美人図」1807年

芸妓を描いたこの肉筆画は、北斎が47歳の時の作品で、美人画の代表作の一つです。伏せたポーズも珍しく、酔いが回った女性の艶かしさに目を奪われます。北斎の肉筆画の中でもファンの多い作品です。

潮干狩図

「潮干狩図」1808〜1813年
出典:大阪市立美術館

重要文化財に指定されているこの肉筆画は、東洋と西洋の技法を自在に操ったものとして高く評価されています。漢画に始まり油彩画など北斎がこれまでさまざまな流派や技法を学び、身につけていたことがうかがえる作品です。

葛飾北斎の有名な作品:戴斗期編

1810年より戴斗という名前を使い始めます。この頃から絵手本の制作が主となっていきます。これは門人が増え、北斎の画風を学びたい人が多かったことが大きな理由と考えられます。

東海道名所一覧

「東海道名所一覧」1818年

右下に出発点の日本橋があり、終着点の京都が上部に描かれています。曲がりくねった街道、デフォルメされた富士山、豆粒のような人影など、つい見入ってしまう面白い鳥瞰図です。

北斎漫画

「伝神開手 北斎漫画」1814年

北斎漫画は北斎の代表的な絵手本(画集)で、全15冊で完結しています。「漫画」といってもストーリー性があるわけではなく、北斎が気の向くまま、全部で3000点以上の絵図を描いたものです。

鎮西八郎為朝図

「鎮西八郎為朝図」1811年12月大晦日

曲亭馬琴の読本「椿説弓張月」の一場面を描いたものです。「椿説弓張月」の完結を祝い、名場面を北斎が肉筆で描き、馬琴が着賛した作品です。長らく手がけてきた読本挿絵制作の終わりを告げる大作になりました。

雪中傘持ち美人図

「雪中傘持ち美人図」1813〜1819

北斎の美人図として有名な作品の一つです。雪の降る中で着物をたくさん重ね着した花魁が客を迎えに行くという不思議な絵は、質屋へ着物を売りに行く途中を描いたのではないかとも言われています。戯作者として知られる蜀山人(大田南畝)の着賛があります。

1 2 3 4 5

コメントを残す