葛飾北斎の有名な作品を時代別に一覧で紹介【特徴も分かりやすく解説】

葛飾北斎の有名な作品:為一期編

1820年、61歳の北斎は為一(いいつ)と号を改めます。葛飾北斎の代表作と言われる錦絵の数々が生まれたのはこの時期です。

富嶽三十六景 山下白雨

「富嶽三十六景 山下白雨」1831年前後

「富嶽三十六景」の中の三役の一つとも評される一図「山下白雨(さんかはくう)」。富士山の山頂は雪が積もっているものの空は澄み渡っています。しかし中腹は夏雲に包まれ、山麓には稲妻が走っており、地上では雨が降っていると想像できます。標高による天候の違いにより、富士山の雄大さをよく表している作品です。

富嶽三十六景 凱風快晴

「富嶽三十六景 凱風快晴」1831年前後

こちらも「富嶽三十六景」の三役の一つで「赤富士」とも呼ばれます。河口湖近辺で夏から秋にかけての早朝にのみ見られる富士山の姿を、簡潔な構図と少ない色彩で見事に表現しています。ヨーロッパを代表する印象派の画家が大きく影響を受けたと言われる作品です。

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」1831年前後

「富嶽三十六景」の中でも傑作として世界中に知られている一図です。波も富士山も見上げるほどの視点の低さが、その迫力を増しています。2024年から使用される新千円札の裏面にこの画が採用されることが決まっています。

諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝

「諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝」1833年ごろ

栃木県日光市男体山のふもとに流れる霧降の滝は、日光三名爆の一つです。日光東照宮に参詣する人が多く眺める景色として知られていました。「諸国瀧廻り」は全八枚ありますが、中でもこの作品はインパクトが強く、後世の浮世絵師にも多大な影響を与えています。

詩哥写真鏡 木賊苅

「詩哥写真鏡 木賊苅」1833〜1834年ごろ

「詩哥写真鏡」は、和漢の有名な歌人(詩人)と、その意味に合わせた故事を題材としたものです。世阿弥の謡曲「木賊(とくさ)」を題材にした本作品は、「詩哥写真鏡」シリーズの中でも最も評価が高い一作です。

芥子

「芥子」1833〜1834年

北斎の花鳥図はよく知られていますが、中でも本作はモダンな色彩感覚が見られ、近代画家の作品のような印象があります。花鳥図の中でも傑作という呼び声が高い一図です。

鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則

「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」1833〜1835年

北斎唯一の武者絵揃物のうちの一作で、平安後期の武将である鎌倉権五郎景政が鳥海弥三郎と戦っている様子が大きな迫力とともに描かれています。景政は歌舞伎の人気演目「暫」の主人公としても有名です。

百物語 小はだ小平二

「百物語 小はだ小平二」1831〜1832年

江戸時代に流行っていた遊び「百物語」を題材にしたこのシリーズは、今では特に海外で人気が高くなっています。当時知られるようになっていた西洋の医学的な知識が活かされ、腐って骨になった頭の様子がリアルに描かれている点も注目されます。

馬尽 駒菖蒲

「馬尽 駒菖蒲」1822年

馬に関するものと狂歌が描かれた「馬尽」シリーズは、北斎の摺物の中でも完成度が高いものです。1882年が午年であったことから、馬に関する副題を設け、絵と歌で構成した作品です。

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