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ブロック経済とは?政策の特徴や影響、経済圏についてわかりやすく解説

「ブロック経済について簡単に知りたい」
「ブロック経済の影響や結果は?」
「ブロック経済にはどんなメリットとデメリットがある?」

この記事を読んでいるあなたはそのように思っているのではないでしょうか?

ブロック経済とは、植民地を多くもつ大国が世界大恐慌から自国の経済を守るために行った保護政策です。貿易を自国の影響が及ぶ範囲内(ブロック)に限定し、国内の産業を保護しました。

しかし、ブロックから弾き出された経済基盤の弱い国は、不景気から回復できず第二次世界大戦を引き起こします。

イギリスが行ったブロック経済の経済圏
出典:Wikipedia

今回は、ブロック経済の概要や目的、影響について簡単にわかりやすく解説します。ブロック経済圏やブロック経済が行われた背景、メリット・デメリットについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ブロック経済とは?

ブロック経済の概要や目的を簡単に解説

ブロック経済を初めに採用したのはイギリス

ブロック経済とは、イギリスやフランスなど植民地を豊富に持つ国が行った経済保護体制のことです。1929年に起こった世界恐慌による不景気から、自国経済を守ることを目的としています。

具体的には、自国と自治領、植民地の間で「ブロック」と呼ばれる経済圏を作り、他国の商品に高い関税をかけて貿易を制限しました。結果的に、ブロック経済は自国の経済保護に成功したのですが、第二次世界大戦を引きおこす原因となってしまいます。

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他国の商品を排除したブロック経済システム

他国の製品を高く、自国の製品を安くするのがブロック経済の仕組み

ブロック経済は「ブロック(塞ぐ、閉鎖する)」という名前の通り他国製品の流入を排除しました。この方法の肝は「いかに自国に都合の悪い貿易を失くしていくか」です。以上の目的をクリアするために主に次の2つの方法が取られました。

  • 自国の経済圏以外の国に高い関税をかける
  • 自国や従属国などに有利な待遇を与える「徳恵関税」を採用

自国や自治領、植民地に関しては関税を安くして経済的な結びつきをを強くします。一方で他国には高い関税をかけて別の国の商品が国内に入らないようにします。簡単に言うと、150円の外国産りんごと50円の国内産りんごなら、みんな国内産を買うようになりますよね。

国内産の商品が売れると、国内の会社にどんどんお金が入ってきます。外国のライバルがいなくなるため、需要は自国の商品に集中し自国の産業を守れるというわけです。

ブロック経済のメリットは「他国経済の影響を受けないこと」

自国で自給自足するため、他国から影響を受けない

ブロック経済のメリットは、自国の影響範囲内だけで経済を回せるため、他国の経済状態の影響を受けない点です。

世界大恐慌は、アメリカの株価大暴落をきっかけに起こりました。当時のアメリカは世界各国へお金を貸していたため、不況の影響が各国へ広がってしまいました。特にイギリス国内で金融不安が強まり、イギリスの通貨であるポンドが売られ、国外に流出します。

ポンドの国外流出を防ぐため、イギリスはまず金本位制を破棄しました。そして、自国通貨と産業を保護するため、ブロック経済を採用したのです。

自国通貨と産業の保護、これらの目的達成に自給自足で経済を回すブロック経済は適していました。

実は非効率で問題だらけのブロック経済

自分の国は潤っても、他国は困窮してしまった

他国の不景気の影響を受けずにすむ、というメリットがあるブロック経済。しかし、利点に対して「世界的な分業体制の消滅」「貿易制限による外国との外交問題」などの問題もありました。

わたしたち1人1人がそれぞれ異なる得意分野を持つのと同じように、国にもそれぞれ得意分野があります。ブロック経済以前は自由に貿易ができたため、食料生産が苦手な国は大量の食料を生産できる国から輸入するといった形で苦手分野を補えました。

しかし、そういった国々を経済圏から追い出してしまったため、足りないところを他の国で補うことができなくなってしまったのです。加えて、今まで物を輸出していた国は商品を売り込む先がなくなってしまいます。

元の経済が盤石であれば問題ないのですが、輸出に頼り切って元の規模が乏しい場合は自国経済を維持できなくなってしまいます。結果、経済的に行き詰まった国は強硬手段に打って出るほかありません。

ブロック経済を行えるほどの豊かな経済基盤を持った国と、経済的に行き詰まってしまった国。両者の対立は深まり、第二次世界大戦を引き起こしたのです。

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ブロック経済は日本に戦争という手段を選ばせた

日本は大東亜共栄圏という経済ブロックを作ろうとした
出典:Wikipedia

ブロック経済は日本の軍国主義化を推し進めた要因になりました。

当時の日本は、関東大震災や昭和金融恐慌(1927年に金融不安によって起こった恐慌)によって経済が弱くなっていました。そんなときに世界大恐慌が起こってしまい、もともと不景気だった日本の経済はさらに弱体化。

日本経済を回復させるため、他国の侵略を望む声が大きくなりました。大国のブロック経済はこの声に正当な理由を与えてしまいます。

「自国を守る」という正当な理由を手に入れた在中国部隊の日本軍は、手始めに満州を占領。さらに首都北京へと攻め入り、制圧しました。ここまでは順調だった日本軍ですが、北京制圧後に起こった日中戦争では苦戦。戦争は泥沼化してしまいます。

さらにアメリカから経済制裁を受け、困窮した日本軍はハワイ真珠湾を奇襲。これをきっかけに太平洋戦争に突入しました。結果は知っての通り、原爆と空襲を本土に落とされて敗戦しました。

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主なブロック経済圏

【イギリス】スターリング・ブロック

イギリス中心のブロック経済圏。別名ポンド・ブロック

スターリング・ブロックは、イギリスの貨幣ポンドで支払いを行う経済圏のことです。1932年にカナダのオタワで行われたオタワ会議後に導入され、世界中にブロック経済体制が広がったきっかけとなりました。

スターリング・ブロックの内容は、大きく分けて「関係諸国間で関税優遇」と「ポンドでの支払い」の2つです。この政策により、イギリスは自国通貨の価値を高めることに成功し、関係諸国と経済的に強く結ばれました。

イギリスは植民地を多く保有していたため、参加国は以下のように広範囲に渡りました。

  • イギリス本国
  • オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ・アイルランドなどの自治領
  • 英領インド・海峡植民地などの属領
  • 香港・アデンなどの直轄植民地
  • スカンジナビア諸国・バルト三国・ポルトガル・タイ・イラク・エジプト・アルゼンチンなどの貿易国

【フランス】フラン・ブロック

フランス中心のブロック経済圏

フラン・ブロックは、フランスを中心に形成された経済圏です。オランダ・スイス・ベルギーで構成され、金による支払いを通じて結びついていたことから金ブロックとも呼ばれます。

従来の金本位制(貿易の取引を金で行うこと)の維持を目的にしていましたが、結果的に失敗に終わりました。理由としては、イギリスとアメリカが金本位制を放棄したことと他のブロックに比べて経済基盤が弱く、通貨価値の切り下げによって打撃を受けたことが挙げられます。

これらによって競争力がなくなり、フラン・ブロックを形成していた各国はそれぞれ金本位制から離れていきブロックが解体されました。

【アメリカ】ドル・ブロック

アメリカが中心のブロック経済圏

ドル・ブロックは、カナダを除く北アメリカと南アメリカの国の間で構築された経済圏です。

上記のブロック経済圏と同様に、自国の産業を優先する姿勢が取られました。アメリカ国内ではひとまず成功と言える政策でしたが、世界経済には深刻な悪影響を及ぼします。当時のアメリカは世界でトップの貿易国だったため、アメリカへ多く輸出していた国々にとっては大きな痛手になりました。

ブロック経済の背景

ブロック経済のきっかけは世界大恐慌

世界大恐慌の発端となったニューヨーク・ウォール街
出典:Wikipedia

ブロック経済が行われたきっかけは、1929年にアメリカから始まった世界大恐慌です。

当時のアメリカは第一次世界大戦で得た莫大な利益により、世界全体の経済に影響を及ぼす大国となっていました。特にヨーロッパの主要な国はアメリカから借金をしていたため、経済面ではアメリカに頼り切りです。

そのため、1929年にアメリカの経済が破綻すると、それに引きづられて世界的な不況となってしまいました。

この不況から抜け出すために、イギリスやフランスはブロック経済を行ったのです。

帝国主義諸国には多くの植民地があった

1945年時点の植民地(多い順にイギリス・イギリス領・フランス)
出典:Wikipedia

ブロック経済を行ううえで前提となるのが、植民地を多く有していることです。

生産に必要な資源が確保できなければ経済を回せず、国民は食べていけません。イギリスのように植民地をたくさん持っている国は十分な資源があるため、自国と自国の植民地だけで経済が回せます。さらに高関税をかけて需要が流れないようにすることで、徐々に経済が回復します。

反対に植民地を持たず、自国だけでは経済を立て直せない国の経済は不景気を自力で回復できませんでした。

自国と植民地があれば経済を立て直せる、という自信があったからこそのブロック経済と言えます。

ブロック経済が世界に与えた影響

「持てる国」と「持たざる国」

ブロック経済は対立を産んだ
出典:Wikipedia

ブロック経済は、世界を「持てる国」と「持たざる国」に二分しました。

前述したように、ブロック経済は資源が豊富で植民地をたくさん所有していた「持てる国」だからこそ取れた手段です。「持たざる国」だった日本・ドイツ・イタリアは植民地を持っていなかったため、ブロック経済ができませんでした。

加えてドイツは第一次世界大戦の敗戦国だったため、巨額の借金を抱えていました。アメリカが賠償金の支払いを助けていたため経済自体は回復に向かっていたのですが、世界大恐慌によりアメリカの資本が次々と撤退。経済は一気に転落しました。

国内だけでは経済が回らず、輸出で稼ごうにも貿易先がありません。多少の違いはありますが、イタリアや日本も同じような状態でした。このように、資源も植民地もない「持たざる国」は経済が行き詰まり、にっちもさっちもいかない状態に追い詰められたのです。

「持てる国」と「持たざる国」、両者の間にできた溝は、後の軍国主義と第二次世界大戦に繋がります。

金本位制の終焉

お金の常識が変化した

ブロック経済の影響により、今まで多くの国で利用されていた金本位制が終焉を迎えました。

ブロック経済下では、自国の経済圏外の国へ高関税をかけたとお話しましたが、同時に通貨の価値の切り下げが起こりました。なぜかというと、通貨を切り下げれば商品の値段が下がるため輸出量が増えるからです。

世界各国では、輸出量を増やしたいがために競って通貨の切り下げが行われました。しかし、金本位制は通貨の価値を金のグラムで換算するため、その国が保有している金の量までしか値を下げられません。

これ以上通貨の切り下げはできないと悟ったイギリスは金本位制から離脱。他の主要国も次々に金本位制を廃止し、世界は金でお金を保証する時代から国がお金を保証する時代へと変化しました。

軍国主義の台頭

ヒトラー率いるナチズムが台頭
出典:Wikipedia

大国のブロック経済により困窮した「持たざる国」は、国の存続のために軍国主義に走りました。

軍国主義とは、国民の人権や自由が強力な軍事力を持つ国家組織によって奪われ、国の利益を優先する国家体制のことです。軍国主義はファシズムとも呼ばれ、イタリアのムッソリーニが創設したファシスト党から始まりました。中でも最も顕著に現れたのがドイツのヒトラーです。

彼ら軍国主義国は、自国では賄えない資源や広大な領土を求めて他国へ戦争を仕掛けました。

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第二次世界大戦

人類史上最大の戦争。市街地戦争や空爆により軍人・民衆に関係なく多くの被害者が出た
出典:Wikipedia

上記の軍国主義らの動きにより、世界各地で戦争がおきました。

ドイツは軍備を整えて東ヨーロッパへの侵略を開始。イタリアは北アフリカやバルカンへ進出、日本は満州から中国への侵攻を計画して実行しました。彼らによる世界分割競争という名の植民地の奪い合いは激化し、ヴェルサイユ体制やワシントン体制などの国際秩序は崩壊してしまいます。

そして、人類が経験した最大の戦争と呼ばれる「世界第二次世界大戦」へと発展したのです。

貿易と関税に関する一般協定(GATT)が制定

GATTの後進WTOの参加国状況。緑が参加国
出典:Wikipedia

大戦後、世界は第二次世界大戦の要因がブロック経済にあったと反省し、1947年に自由貿易を推進するGATT(貿易と関税に関する一般協定)を制定しました。

GATT制定後は、自由貿易と関税の軽減に関してジュネーヴで8回ほど会議が行われました。現在では関税の引き下げが目標の水準に達したとされ1995年にGATTからWTO(世界貿易機関)へと名前を変え、世界貿易の円滑化と発展を促進しています。

ブロック経済に関するまとめ

ブロック経済について解説しましたが、いかがでしたか?最後に簡単にポイントをまとめます。

  • ブロック経済とは高関税によって他国の商品を排除し、自国や自国の影響が及ぶ範囲でのみ貿易を行う経済保護政策
  • 世界大恐慌の不景気から経済を守るため、植民地を多数所有していた「持てる国」によって行われた
  • 一方、資源も植民地も持たない「持たざる国」は経済が行き詰まり、他国へ侵略した

ブロック経済は自国の経済を優先したばかりに、経済的に弱い国を追い詰めて第二次世界大戦を引き起こしてしまいました。大戦後はブロック経済の反省を活かして、自由貿易の促進を目的としたGATTが制定。火種は転がっていますが、世界は一定の平和を保っています。

本記事が、ブロック経済について理解を深める手助けになったのなら幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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