ブロック経済とは?政策の特徴や影響、経済圏についてわかりやすく解説

「ブロック経済について簡単に知りたい」
「ブロック経済の影響や結果は?」
「ブロック経済にはどんなメリットとデメリットがある?」

この記事を読んでいるあなたはそのように思っているのではないでしょうか?

ブロック経済とは、植民地を多くもつ大国が世界大恐慌から自国の経済を守るために行った保護政策です。貿易を自国の影響が及ぶ範囲内(ブロック)に限定し、国内の産業を保護しました。

しかし、ブロックから弾き出された経済基盤の弱い国は、不景気から回復できず第二次世界大戦を引き起こします。

イギリスが行ったブロック経済の経済圏
出典:Wikipedia

今回は、ブロック経済の概要や目的、影響について簡単にわかりやすく解説します。ブロック経済圏やブロック経済が行われた背景、メリット・デメリットについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

ブロック経済とは?

ブロック経済の概要や目的を簡単に解説

ブロック経済を初めに採用したのはイギリス

ブロック経済とは、イギリスやフランスなど植民地を豊富に持つ国が行った経済保護体制のことです。1929年に起こった世界恐慌による不景気から、自国経済を守ることを目的としています。

具体的には、自国と自治領、植民地の間で「ブロック」と呼ばれる経済圏を作り、他国の商品に高い関税をかけて貿易を制限しました。結果的に、ブロック経済は自国の経済保護に成功したのですが、第二次世界大戦を引きおこす原因となってしまいます。

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他国の商品を排除したブロック経済システム

他国の製品を高く、自国の製品を安くするのがブロック経済の仕組み

ブロック経済は「ブロック(塞ぐ、閉鎖する)」という名前の通り他国製品の流入を排除しました。この方法の肝は「いかに自国に都合の悪い貿易を失くしていくか」です。以上の目的をクリアするために主に次の2つの方法が取られました。

  • 自国の経済圏以外の国に高い関税をかける
  • 自国や従属国などに有利な待遇を与える「徳恵関税」を採用

自国や自治領、植民地に関しては関税を安くして経済的な結びつきをを強くします。一方で他国には高い関税をかけて別の国の商品が国内に入らないようにします。簡単に言うと、150円の外国産りんごと50円の国内産りんごなら、みんな国内産を買うようになりますよね。

国内産の商品が売れると、国内の会社にどんどんお金が入ってきます。外国のライバルがいなくなるため、需要は自国の商品に集中し自国の産業を守れるというわけです。

ブロック経済のメリットは「他国経済の影響を受けないこと」

自国で自給自足するため、他国から影響を受けない

ブロック経済のメリットは、自国の影響範囲内だけで経済を回せるため、他国の経済状態の影響を受けない点です。

世界大恐慌は、アメリカの株価大暴落をきっかけに起こりました。当時のアメリカは世界各国へお金を貸していたため、不況の影響が各国へ広がってしまいました。特にイギリス国内で金融不安が強まり、イギリスの通貨であるポンドが売られ、国外に流出します。

ポンドの国外流出を防ぐため、イギリスはまず金本位制を破棄しました。そして、自国通貨と産業を保護するため、ブロック経済を採用したのです。

自国通貨と産業の保護、これらの目的達成に自給自足で経済を回すブロック経済は適していました。

実は非効率で問題だらけのブロック経済

自分の国は潤っても、他国は困窮してしまった

他国の不景気の影響を受けずにすむ、というメリットがあるブロック経済。しかし、利点に対して「世界的な分業体制の消滅」「貿易制限による外国との外交問題」などの問題もありました。

わたしたち1人1人がそれぞれ異なる得意分野を持つのと同じように、国にもそれぞれ得意分野があります。ブロック経済以前は自由に貿易ができたため、食料生産が苦手な国は大量の食料を生産できる国から輸入するといった形で苦手分野を補えました。

しかし、そういった国々を経済圏から追い出してしまったため、足りないところを他の国で補うことができなくなってしまったのです。加えて、今まで物を輸出していた国は商品を売り込む先がなくなってしまいます。

元の経済が盤石であれば問題ないのですが、輸出に頼り切って元の規模が乏しい場合は自国経済を維持できなくなってしまいます。結果、経済的に行き詰まった国は強硬手段に打って出るほかありません。

ブロック経済を行えるほどの豊かな経済基盤を持った国と、経済的に行き詰まってしまった国。両者の対立は深まり、第二次世界大戦を引き起こしたのです。

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ブロック経済は日本に戦争という手段を選ばせた

日本は大東亜共栄圏という経済ブロックを作ろうとした
出典:Wikipedia

ブロック経済は日本の軍国主義化を推し進めた要因になりました。

当時の日本は、関東大震災や昭和金融恐慌(1927年に金融不安によって起こった恐慌)によって経済が弱くなっていました。そんなときに世界大恐慌が起こってしまい、もともと不景気だった日本の経済はさらに弱体化。

日本経済を回復させるため、他国の侵略を望む声が大きくなりました。大国のブロック経済はこの声に正当な理由を与えてしまいます。

「自国を守る」という正当な理由を手に入れた在中国部隊の日本軍は、手始めに満州を占領。さらに首都北京へと攻め入り、制圧しました。ここまでは順調だった日本軍ですが、北京制圧後に起こった日中戦争では苦戦。戦争は泥沼化してしまいます。

さらにアメリカから経済制裁を受け、困窮した日本軍はハワイ真珠湾を奇襲。これをきっかけに太平洋戦争に突入しました。結果は知っての通り、原爆と空襲を本土に落とされて敗戦しました。

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