エドゲインはどんな人?生涯・年表まとめ【作品や事件も紹介】

エドゲインの生涯年表

こちらの項目ではエドゲインの生涯をより、深く掘り下げていきます。ちなみにゲインの家族も多く登場するので、分かりやすく為に「エド」と表記させていただきます。

1906〜1914年 – 0〜8歳「エドゲイン誕生」

ゲインの生まれたウィスコンシン州
出典:Wikipedia

エドゲイン誕生

エド・ゲインは1906年8月27日にウィスコンシン州バーノン郡で、父ジョージ・ゲインと母オーガスタ・ゲインの次男として生まれます。両親は共にウィスコンシン州の出身でした。

複雑な家庭環境

父・ジョージは重度のアルコール中毒で、失業を繰り返していました。母・オーガスタは前述した通り、熱心なルター派の信者です。オーガスタは神と自分以外は否定的で、それは家族に対しても同様でした。

ジョージはオーガスタに暴力を振るい、オーガスタは閉鎖的な思考にのめり込んでいきます。オーガスタは性に禁欲的で、性交は「子作りの為に神が許されたもの」と固く信じていました。

オーガスタは女児を望んでいたものの、生まれたのは兄・ヘンリーと弟・エドでした。オーガスタは兄弟に「父のようになってはいけない」と言い聞かせ、父の死も祈らせています。

1914年 – 8歳「プレインフィールドという町」

ゲインの家
出典:殺人博物館 エドゲイン

ゲインの育った町

オーガスタは1914年、ゲインが8歳の時にウィスコンシン州プレインフィールドの街はずれに、ゲイン家の終の住処である農場を買いました。

プレインフィールドはウィスコンシン州の中央にある人口600人ほどの小さな町。名前の由来は「何もない平原」です。一面にライ麦畑が広がるだけで、娯楽は鹿狩りや小さな居酒屋しかありません。

これは「子供達に部外者の影響を与えないため」です。この農場こそがゲインが記念品を作った場所であり、狂気の原点だったと言えるのです。

1915〜1939年 – 8〜34歳「子供の頃のゲイン」

オーガスタはルター派の熱心な信者だった
出典:Wikipedia

閉鎖的な環境で育つ

オーガスタにとって外の世界は腐り切っており、エド達に歪んだ教育を施し続けています。オーガスタの言動は常軌を逸していたのです。

淫らな服装をして男たちを誘う女だらけのこの世は腐りきっており、近いうちに神が世界を破滅させるだろう
どうしても肉欲に抗えないときは、姦淫よりも自涜の罪のほうを神はお許しになる

一応伝えておくと、聖書では「性とは神が作った善きもの」「生めよ殖えよ、地に満ちよ」という教えがあります。性を一切否定はしておらず、オーガスタの考えは旧約聖書の教えとは反していたのです。

対人関係を構築できず

エドは社会生活や人間関係を構築するべき時期に、外部の人達と関わる事は出来ませんでした。エドは同世代の子供達とうまく話が出来ず、卑猥な話を聞けば顔を真っ赤にして逃げ出しています。

後に教員やエドのクラスメイトは、エドが内気な性格だったと述べました。しかし時々一人で笑い出す等、情緒不安定な一面があったとも話しています。いずれにせよ、エドは母親の影響を受け続けていたのです。

1940〜1947年 – 35〜42歳「家族の死」

父の死

1940年にジョージが心臓発作で死去。この時点でエドは35歳、ヘンリーは42歳になっています。2人は農場の仕事だけでなく、住民の手伝いをしていました。2人は住民達から頼りにされる存在だったのです。

ただ社会性を身につけてオーガスタを否定したヘンリーと違い、エドはオーガスタに病的な愛情を持っていました。エドはヘンリーに「お前は母に近すぎる」と諭した事があり、エドはそれを根に持っていたのです。

兄の死

兄・ヘンリーが不審な死に方をしたのは1944年5月16日。仮にエドが犯人だとすれば、それは母を否定した事への復讐だったと言えます。父と兄が亡くなり、エドは母と2人で暮らしていくのです。

やがて後を追うようにオーガスタは1945年12月29日に死去。唯一絶対の母が亡くなってから、エドは妄想の世界へのめり込んでいったのです。

1947〜1954年 – 42〜49歳「妄想の世界に取り憑かれる」

妄想にのめり込むエドゲイン

表の顔と裏の顔

やがてエドは地元の墓地を訪れ、遺体を掘り起こすようになりました。独自の手法を編み出して、数々の記念品を作ります。エドの遺体に対する執着はものすごく、新聞をくまなくチェックし、周辺の葬儀にも参列しています。

エドが求めた遺体は「中年女性」でした。エドがオーガスタに強烈なマザーコンプレックスを抱いていたのは明白で、死体で作ったチョッキを着て、女性になりきっていたのです。

一説では遺体と「性行為」をしたと言われますが、エドは「匂いが不潔」として明確に否定しています。

1954〜1957年 – 49〜52歳「最初の殺人」

ランプシェード
出典:Wikipedia

マリー・ホーガンの殺害

やがてエドは1954年12月8日に居酒屋を営むマリー・ホーガンを殺害。ホーガンもオーガスタと良く似た「太って威勢の良い中年女性」でした。エドはホーガンを殺害し、自宅に持ち帰り記念品を作ります。

ホーガンの行方が分からず、事件の進展もなし。プレインフィールドの町はホーガンの話で持ちきりとなります。

事件から1ヶ月後、製材所を営むエルモ・ウエックは塀を直しにやってきたエドと、ホーガンについて話をしています。ウエックはエドがホーガンの店に何度も通っていた事を知っていました。

この時にエドは「彼女はいなくなってなんかいないよ。いまもうちにいるよ」と笑いながら答えています。この時にウエックはエドが珍しく冗談を言ったと思っていたのです。

1957年 – 52歳「2度目の殺人」

バーニスの店
出典:殺人博物館 エドゲイン

鹿狩りの解禁日

ホーガンの事件から3年後の1957年11月16日に雑貨店を経営するバーニス・ウォーデンが行方不明になります。ウォーデンも「太って威勢の良い中年女性」でした。この日は鹿狩りの解禁日。男達は森に出かけ、町は閑散としていました。

エドは午前8時半にウォーデンのいる雑貨屋で不凍液を購入。店内のライフルを品定めするフリをして、ウォーデンを射殺し、死体を家に持ち帰ります。

ちなみに午後にエドの家にボブ・ヒルと妹のダーリーンが訪れ「車のバッテリーが切れたから町まで車で送って欲しい」と頼んでいます。エドは愛想よくそれに応じました。

この時にエドの両手は血まみれでした。それについてエドは「鹿をさばいていた」と答えています。ちなみにエドは一度も鹿狩りに出かけていないのに、近所の人に「鹿肉の料理」を振舞っています。

それが何の肉だったのかは謎のままです。

1957年 – 52歳「エドゲイン逮捕」

ライフルでウォーデンを殺害した
出典:Wikipedia

自宅に向かった保安官

エドはボブ・ヒル達を家に送り届けたお礼に、ヒル達から夕食をご馳走になっていました。その頃、ウォーデンの息子・フランクは自宅に戻り、血まみれの店内と、その日唯一の売り上げである「不凍液の領収書」を発見します。

フランクは郡保安官のアーサー・シューレイに状況を連絡。調査の結果、店に並んだライフル銃のうち1つが発射後間もない事が分かりました。フランクとシューレイはエドが事件に関与していると判断し、エドの農場へと向かいました。

この時に初めてエドの家にある記念品が、人の目に触れる事になります。母の死体を見たフランクは泣き叫び、シューレイは記念品をみて嘔吐したとされます。この時に3年前に行方不明になったホーガンの死体も見つかりました。

エド・ゲイン逮捕

一方、シューレイは警察官数名をヒル家に向かわせています。エドが農場に不在の場合、大抵は幼馴染のヒルの家にいたからです。エドは警察にウォーデンの犯行をほのめかす発言を行い、そのまま逮捕されています。

1958年 – 53歳「犯行の自供」

綺麗なままの母親の部屋
出典:殺人博物館 エドゲイン

過酷な取り調べ

当初、エドは殺人を否定。シューレイは「煉瓦壁に顔面を叩き付ける」などの過酷な取り調べを行い、エドから自白を引き出したのです。

ちなみにエドの家はゴミ屋敷と化していたものの、1部屋だけ綺麗な部屋がありました。それは母・オーガスタの部屋です。エドはオーガスタに尊敬の念と畏敬の念を持っていた為、部屋を汚す事が出来なかったのかもしれません。

住民達の怒り

1958年3月20日にエドの家は火事で全焼。この頃にはエドゲインの猟奇性は全米で話題になり、家が競売にかけられています。この売り上げがエドのものになる事が分かると、エドの家は焼き払われています。

ちなみにエドのフォード車は焼却を免れました。車の助手席にエドの蝋人形、バックシートには女性の遺体のオブジェが飾られて見世物にされています。あまりの悪趣味により抗議が殺到し、展示は中止になり車の行方は分かりません。

1958〜1968年 – 53〜63歳「精神病院に収監される」

見世物になったエドゲインの車
出典:殺人博物館 エドゲイン

メンドータ州立精神病院へ

1958年11月11日にエドは控訴されますが、エドの弁護士は「エドは裁判を受けられる状態にない」と主張。これは認められ、エドはメンドータ州立精神病院に送られています。墓を暴かれ、身内を殺された住民は怒りに震えました。

最後の犠牲者

やがてゲインは裁判を受けられる状態にあると判断され、1968年11月14日に裁判は再開します。この時に証言台に立ったのは、エドの記念品を発見し、エドに過酷な取り調べをした保安官のアーサー・シューレイです。

シューレイは証言台に立った1ヶ月後の12月に、心筋梗塞で43歳で死去。記念品を見た事へのトラウマと、エドに過酷な取り調べをした事を証言する事への怯えが原因とされます。

シューレイの友人は「彼もゲインに殺された」ようなものと述べました。

1968〜1984年 – 63〜77歳「エドゲイン死去」

墓石の一部
出典:Wikipedia

エドゲイン死去

エドは有罪判決を受けたものの、慢性的な精神障害として無罪になります。エドは死ぬまでメンドータ州立精神病院で過ごす事になるのです。エドは病院では模範囚であり、穏やかな性格から職員や患者とすぐに打ち解けていきました。

やがてゲインは前述した通り、肺癌からの呼吸不全により死去。墓はオーガスタの隣に建てられたものの、度々この地を訪れた者達が「記念品」として破片を削り取っていきました。

墓石は2001年6月にシアトル近くに新調され、博物館に展示されています。今でもプレインフィールドの町ではエドゲインの事はタブーとされています。

エドゲイン の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

オリジナル・サイコ―異常殺人者エド・ゲインの素顔 (ハヤカワ文庫NF)

エドゲインの生涯を克明に調べ上げた一冊。ノンフィクションと言いつつも犯行当時の挙動が克明に表現されており、小説という側面もあります。ゲインについて知る為に不可欠な一冊と言えるでしょう。

サイコパスの真実

本書は現実に存在するサイコパスの実像に迫っています。サイコパスの特徴に原因や、改善するための予防法。これらの考察が凝縮された一冊です。エドゲインが殺人鬼になった行動理念も掴めるかもしれませんね。

羊たちの沈黙

世界的ヒット作となった羊たちの沈黙の小説版です。登場人物のバッファロー・ビルはゲインをモデルにした殺人鬼です。ビルや主人公のハンニバル・レクター博士の心理描写など、映画では分からない部分を補足できるでしょう。

おすすめの動画

【ゆっくり歴史解説】黒歴史上人物「エドゲイン」

エドゲインの生涯をまとめたゆっくり解説です。ゲインの生い立ちから犯行に至る過程。その最期などを分かりやすく解説されています。ゲインを肯定せず、面白おかしく紹介せず、最もバランスのとれた解説になっています。

【シリアルキラー】エド・ゲイン

同じくゲインの生涯に迫った動画ですが、こちらはドキュメンタリー仕様です。ゲインやオーガスタ、自宅の写真など、貴重な情報が目白押しです。2つの動画を見る事で、ゲインの人物像への理解が深まるでしょう。

閲覧注意連続殺人鬼エドゲインが人体パーツを使って作った家具や服が気持ち悪すぎ

この動画ではゲインが作ったとされる記念品の「レプリカ」が紹介されています。レプリカとはいえ、サムネの画像も含めてグロデスクなのは間違いありません。覚悟のある人だけが動画を見るようにしましょう。

おすすめの映画

エド・ゲイン

ゲイン自体を主人公にした作品は多々あれど、こちらは2000年に製作されたもの。なぜゲインが殺人鬼や記念品を作る人物になったのか、その心理描写に重点を置いています。

シッチェス国際カタロニヤ映画祭でグランプリを受賞したものの、アメリカでの評価は低いものでした。ホラーを求める人には刺激が足りないかもしれませんが、人間の内面を知りたいと思う人にはおススメです。

サイコ

1960年には製作されたサスペンススリラーの金字塔にして原点。脚本・演出・演技全てが後のホラー映画に影響を与えました。前半と後半でストーリーが大きく変わり、観る人を不安と恐怖に突き落とします。

本作は1960年代の作品にもかかわらずモノクロですが、これは殺人シーンのショックを和らげる為に「あえて」行われた演出です。

サイコ2

サイコから23年を経て作られた続編。23年後に釈放されたノーマン・ベイツは再び精神を病んで新たな殺人を繰り返します。その後もサイコは「サイコ3」「サイコ4」と続編が作られていきました。

ゲインから着想を得て作られたベイツは、また新たな狂気を生み出したのです。

関連外部リンク

エドゲイン についてのまとめ

今回はエドゲインの生涯について解説しました。死体を解体し記念品を作るという猟奇的な犯行は、アメリカ全土に衝撃を与えました。サイコパスといえばエドゲインが真っ先に上がる程、その名を知られる事となっています。

ただ彼の生涯を紐解けば、母親の歪んだ教育により彼が犯罪者になった事は明白です。事件が明るみに出るまでは彼はプレインフィールドの住民と打ち解けていました。もし歪んだ教育を受けていなければ、平穏な生活を続けていたのかもしれません。

犯罪者を擁護してはいけませんが、エドゲインもまた被害者と言えるのかもしれません。今回の記事を通じてエドゲインの生涯に興味を持っていただければ幸いです。

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