建築家「隈研吾」の建築作品20選【各作品の特徴やコンセプトも紹介】

那珂川町馬頭広重美術館

2000年に林野庁長官賞とマロニエ建築賞、2001年には村野藤吾賞と第42回建築業協会賞を受賞したこの建築は、栃木県にある歌川広重の作品を展示する美術館です。歌川広重の木版画「東海道五拾三次之内」の中で最も有名な『庄野(白雨)』」をモチーフにしています。ルーバーに使われている地元の特産品である八溝杉が、広重の雨を思い起こさせるようです。

杉以外にも建物の床には芦野石、壁には烏山和紙と栃木の名産を使うことで、地元の経済活性化に繋げています。美術館の裏山の竹林や雑木林を借景に取り込み、周囲にも溶け込んだこの美術館は、隈研吾のルーバー建築の初期作としても、隈研吾の出世作としても注目される建築です。

梼原 木橋ミュージアム

2011年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞したことでも有名な梼原(ゆすはら)木橋ミュージアム・雲の上のギャラリーは、「斗栱(ときょう)」という日本の伝統的な木材表現をモチーフとしています。刎木(はねぎ)を何本も重ねて、桁を乗せていく「やじろべえ型刎橋(はねばし)」が特徴的です。

梼原には隈研吾の建築が数多くあります。他にも第14回公共建築賞優秀賞を受賞した梼原町総合庁舎や、1997年新いなかデザイン賞大賞を受賞した梼原町地域交流施設(雲の上のホテル)などもあり、どれも地元産の木材を使い、注目されている建物です。

亀老山展望台

1995年JCDデザイン賞、文化・公共施設部門最優秀賞を受賞したのは、しまなみ海道が見渡せる絶景の眺望を楽しめる亀老山展望台です。ここはもともと公園でしたが、本来の山頂の形に戻し、樹木を植えて展望台を見えないように配置し、「建築を消す」という試みがされています。亀老山展望台が「見えない展望台」とも言われる所以はここにあります。

復元された地形に入れられたスリットが細いアプローチとなって展望台へと続くデザインとなっています。展望プラットフォームやデッキは7箇所設けられ、そこを巡り歩くことでさまざまな表情のしまなみ海道を眺めることができます。

京王線 高尾山口駅

京王線高尾山口駅は2016年にグッドデザイン賞を受賞しています。目を引く杉でできた大屋根は、高尾山の薬王寺院をモチーフに作られました。この大屋根が鉄道という日常と、高尾山という聖地との結界となっています。

駅の中では、高尾山の行灯をヒントにイメージされた照明器具が柔らかい雰囲気を醸し出しています。木組みには日本古来の大和張りや小端立て張りなどが用いられました。トイレのデザインにも隈研吾が関わり、場所柄を考え登山客のためにリュックを置くスペースを広く取っているほか、滑りにくい床材を使うなど利用者にも好評です。

アオーレ長岡

2012年のグッドデザイン賞を筆頭に、第25回日経ニューオフィス賞・地域ブロック別ニューオフィス奨励賞、JABMEE環境設備優秀賞、BCS賞、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者・内閣府特命担当大臣奨励賞、日本建築学会賞、第15回日本免震構造協会賞作品賞、第15回公共建築賞行政部門を受賞したのがアオーレ長岡です。

長岡市役所やシティホールを兼ねた複合施設であるアオーレ長岡は、中心部にナカドマと呼ばれる中庭を置くことで、多くの市民が集う場として機能しています。地元の素材である越後杉や雪さらしの和紙、栃尾つむぎを外装や内装に使うことで、温かみのある空間となっているところも評価が高いです。

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