建築家「隈研吾」の建築作品20選【各作品の特徴やコンセプトも紹介】

長崎県美術館

長崎ゆかりの美術やスペイン美術を多く所蔵している長崎県美術館は、「呼吸する美術館」というコンセプトのもと、世界的にも珍しい運河を挟んだ美術館として2005年に開館しました。橋の回廊をつけることで運河を挟んだ二つの棟が結ばれています。緑に溢れた屋上の庭園からは長崎港が一望でき、隣接する長崎水辺の森公園に繋がっています。

イタリアのマーブルアーキテクチャーアワードのほか、2005年のグッドデザイン賞や日本建築家協会賞を受賞しています。

日本平夢テラス

富士山を望む日本平夢テラスは、「富士を結ぶ木組みの架け橋~八角形で繋ぐ日本の風景と伝統技術~」をコンセプトに建てられました。奈良県法隆寺にある夢殿をヒントにした、八角形の全方位型の展望室です。富士山以外にも駿河湾や静岡市内の夜景も楽しめます。展望フロアからは、約200mある空中回廊に繋がっています。

屋根には地元の富士ヒノキを使用し、軒や小口を木で刻むことで、見上げると社寺建築を思わせる佇まいです。テラス内の階段にもヒノキが使われ、三層の吹き抜けになっているために人を上へと導くデザインになっています。

富山市ガラス美術館

富山市ガラス美術館も入っているTOYAMAキラリという複合ビルは、隈研吾が富山の名産品であるガラスとアルミと御影石を用いてデザインしました。その外観は立山連峰をイメージしています。内部は富山県のムク材を使い、多用されているルーバーに光が反射して柔らかい雰囲気を醸し出しています。

2階から最上階まで斜めに吹き抜けがあるのが特徴で、日の光が差し込んでキラキラと輝くガラスが美しく、訪れる多くの人を魅了しています。第58回BCS賞を受賞しました。

住箱

隈研吾がアウトドアメーカーのsnow peakと共に2016年に製作したトレーラーハウス「住箱(じゅうばこ)」は、2017年にグッドデザイン賞を受賞しています。ハウスの壁となっているパネルが外に飛び出すことでテーブルになり、屋外とつながる構造になっています。

日本の茶室のごとく、窓を開けると外の風景が額縁に切り取られたように楽しめるよう、シンプルさを追求しています。そのため、使う人によってさまざまなカスタマイズのできる空間となりました。「旅する建築」をイメージして作られたものですが、コロナ禍でテレワークの増加を背景に利用する可能性が広がり、注目が集まっています。

高輪ゲートウェイ駅

2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅は、隈研吾が駅と街を一体化することをイメージして建てられました。膜構造の大屋根が、折り紙形状のフレームで支えられている作りで、駅の中は天井が高く開放感が感じられます。壁に木の板を凹凸をつけて貼る「大和貼り」という伝統的技法を使うことで、障子のような暖かい光が差し込むようになりました。

エレベーターはガラスで覆われているため、圧迫感は感じられません。一般的な駅とは異なり、床や天井は明るめの色で統一されているあたりも、軽やかな雰囲気が出ています。もともと車両基地であった敷地を縮小させて作った駅であるため、ホームからは車両基地を望むこともでき、特に夜景が美しいと評判です。

隈研吾の建築に関するまとめ

隈研吾の建築は、実際に見るとその斬新なデザインに圧倒されながらも、居心地がよくて落ち着くという不思議な感覚に囚われます。それは、その建築が地元に根ざした材料を用い、環境に溶け込むデザインであることはもちろん、日本の古き良き雰囲気を、肯定的な意味で上手く醸し出しているからのように感じます。

隈研吾の建築は、誰もが体感することのできるものが全国に数多くあります。この記事をきっかけに、ぜひ多くの人が隈研吾の建築に触れ、その不思議なノスタルジイを感じてもらえたら嬉しいです。

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