日本書紀とは?どんな内容?特徴や作者、成り立ち、古事記との違いなどを紹介

日本書紀に登場する主なエピソード

アマテラスの天の岩戸

天の岩戸神話
出典:Wikipedia

天の神アマテラスは、弟のスサノオの乱暴に怒り、天の洞窟に閉じこもってしまいます。太陽の神であるアマテラスが姿を隠したことで、国中は闇の世界に覆われました。困った神々は相談して祈祷をとり行い、アメノウズメに滑稽な踊りを舞わせます。

外の騒がしさが気になって、少し磐戸を開けたアマテラスの手を力持ちの神が引っ張り出し、光が戻りました。

スサノオのヤマタノオロチ退治

ヤマタノオロチを退治する場面
出典:Wikipedia

出雲国に降り立ったスサノオは、8つの頭と尾をもつ大蛇「ヤマタノオロチ」にいけにえにされると嘆き悲しむ娘とその家族に出会います。

スサノオはヤマタノオロチが酒を飲むように仕向け、酔って眠ったところを退治して助けた娘と結婚しました。なお、別伝では出雲国ではなく安芸国の話とされています。

神武東征

初代天皇である神武天皇
出典:Wikipedia

アマテラスの孫であるニニギが天孫降臨して地上の主になります。その子孫であるイワレビコは日向から国を治めるのに適した東に向かい、大和に入ります。

大和では荒ぶる神などを倒し、ついに大敵ナガスネヒコも倒して初代天皇として即位しました。これが神武天皇です。

卑弥呼かと思われた女性たち

巨大な前方後円墳である箸墓古墳
出典: Wikipedia

日本書紀には邪馬台国の女王・卑弥呼と思わせる女性が登場します。

そのひとりが第十代天皇崇神天皇の時代に登場する、第七代孝霊天皇の皇女ヤマトトトヒモモソヒメです。彼女は神のお告げを聞くシャーマン的要素を持つ女性で大物主神と結婚していました。しかし夫の正体が蛇と知り、驚いて腰を落とした拍子に陰部に箸が刺さって死んでしまいます。そんな彼女の墓は箸墓(はしはか)古墳と呼ばれました。

ヒメがシャーマン的な要素を持っていたこと、卑弥呼と同じような立派な墓が築かれたことなどから、ヒメ=卑弥呼と考える説もあります。

朝鮮遠征へ赴いた神功皇后
出典:Wikipedia

また、第14代仲哀天皇の皇后・神功皇后(じんぐうこうごう)は日本書紀で独立した項目を与えられ、天皇のような扱いを受けている女性です。皇后は神のお告げ通り、新羅に遠征してこれを降すと、帰還後は反乱を討伐し、生まれたばかりの子を守りました。

日本書紀の神功皇后の項目には「魏志倭人伝」の卑弥呼の引用がなされており、早くから皇后=卑弥呼説があったといわれています。ただし皇后と卑弥呼が生きた時代が大きく違うため今では皇后=卑弥呼説は否定されています。

壬申の乱

大海人皇子が兜をかけたと伝わる史跡
出典: Wikipedia

推古天皇の時代以降、豪族のトップにたち専横を振るったのは蘇我氏でした。しかし645年に中臣鎌足とともに中大兄皇子(のちの天智天皇)が蘇我氏を倒した乙巳の変を経て、朝廷は天皇を中心とした中央集権国家を目指します。

天智天皇の亡くなった後、天皇の弟大海人皇子(おおあまのみこ)と天皇の子・大友皇子が皇位を争った壬申の乱がおきました。大海人皇子が隠棲していた吉野を脱出し、機先を制して軍勢を集めて大友皇子のいる都の大津へと攻め寄せます。勝利した大海人皇子が天武天皇として即位しました。

日本書紀の特徴と魅力

エキスパートたちを集めた国家事業

天武天皇が命じた日本書紀の編纂
出典:うだ記紀・万葉

日本書紀は天皇が命じた、40年にも及ぶ国家の一大プロジェクトです。その目的は外国に向けて天皇が治める立派な独立国家であることを伝えることでした。そのため日本書紀の編纂には当代随一の知識のエキスパートたちが集められたようです。

まずは天武天皇から12人の皇族と官人が編纂を命じられ、作業に着手しました。また、多くの漢籍が引用されていることから、編纂には最先端の文化人ともいえる渡来人たちも加わり、その技術が生かされたとみられています。

こうした優秀な人たちが、チームを作り、分担して作業を行ったようです。

内容については中臣鎌足(なかとみのかまたり)の活躍がことさら強調されていることから、鎌足の子で朝廷の実力者である藤原不比等の意向が取り入れられた可能性が高いとされています。

このように日本書紀は、藤原不比等やそれをとりまく当代一流の渡来人や知識人など、古代のエキスパートたちが結集して作り上げたものだったのです。

異説も数多く収録

日本書紀は神話の多様性を伝えている
出典: 國學院大學

日本書紀の神代紀では、エピソードごとに本筋の物語とは別に「一書日(あるふみいわく)」という形で、いくつかの異伝や別伝を伝えています。神生みの場面ではこの一書が10以上もあり、どの伝承を取り入れるかで次からの読み方も変わるでしょう。

この一書があるため日本書紀は読みにくいという意見もありますが、一書とは伝承の元の神話や違う地域の伝承など、神話の多様性を伝えるものです。この多様性もまた、日本書紀の魅力となっています。

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