日米和親条約とは?内容や結んだ人、開港場所をわかりやすく簡単解説

日米和親条約と日米修好通商条約の違い・覚え方

日米修好通商条約とは

日米修好通商条約とは、1858(安政5)年6月19日に締結された、日本が自由貿易を認めた最初の条約です。日本側の担当者は江戸幕府大老の井伊直弼、アメリカ側の担当者は初代日本駐在総領事であったハリスです。

開かれた新潟港
出典:古町資料館

日米修好通商条約では以下の内容が取り決められました。

  • 神奈川(実際は横浜)・長崎・新潟・兵庫(実際は神戸)を開港
  • 江戸と大坂での商取引を許可する(開市)
  • 片務的最恵国待遇の継続
  • 協定関税制
  • 領事裁判権の承認

日米和親条約と日米修好通商条約の違い

自由貿易の規定

明治初年の神戸外国人居留地
出典:wikipedia

両者の最大の違いは、自由貿易を認めるかどうかです。日米和親条約では、日本の港をアメリカ船の補給地としてしか利用できませんが、日米修好通商条約では日本の港で自由に貿易ができる取り決めがなされました。

日本にとって不平等な条約

日本最初のアメリカ総領事館となった玉泉寺
出典:伊豆下田 瑞龍山・玉泉寺 公式サイト

また、日米修好通商条約は、日本にとって不平等な条項が多く含まれていました。まず、治外法権とも呼ばれる内容です。日本人に対して犯罪を犯したアメリカ人は、アメリカの領事裁判所でアメリカの法律に則って裁判をするという領事裁判権を承認させられています。

次に、協定関税制です。関税の税率を自主的に決める権利が日本にはなく、アメリカの同意が必要でした。日米和親条約で記載されていた、アメリカの片務的最恵国待遇もそのまま残されています。

1871年に派遣された岩倉使節団は、条約改正が簡単に行えないことを痛感したという。
出典:wikipedia

こうした不平等な内容は明治時代の新政府にも重くのしかかり、不平等条約の改正は外交面での悲願となります。治外法権の撤廃がなされたのは1894年、関税自主権を取り戻したのは1911年のことでした。

無勅許条約

日米修好通商条約に署名した外交官・岩瀬忠震(ただなり)
出典:wikipedia

日米修好通商条約を結ぶ際、幕府は朝廷の勅許を求めましたが、世界情勢を考えると朝廷の意思を尊重する余裕はなく、最終的には勅許が下りない状態で幕府は条約締結に踏み切りました。これにより国論が分裂して大混乱に陥り、幕府は安政の大獄で政治弾圧を行うことになるのです。

それぞれの条約の覚え方

日米和親条約を語呂合わせで覚えよう

ペリーの似顔絵
出典:下田開国博物館

日米和親条約が締結されたのは1854年。年号は「一夜(18)越し(54)で話し合った条約」として覚えましょう。ペリー来航の1853年を「ペリーは嫌(18)でござ(53)んす」と暗記して、日米和親条約締結はその翌年として覚えておくのもおすすめです。

内容は、「阿部(阿部正弘)ちゃん、私(和親条約)のケータイ(最恵国待遇)をペリーの箱(箱館)にしまった(下田)かな?」と覚えると良いですね。

日米修好通商条約を語呂合わせで覚えよう

ハリスが江戸城へ登城した時の図
出典:マイナビニュース

日米修好通商条約が締結されたのは1858年。この条約は不平等条約であったので、「嫌(18)だな怖(58)いな」と覚えましょう。

内容は、「良妻(領事裁判権)は、家事(関税自主権)をバリバリ(ハリス)こなすかな(神奈川)?」と覚えてはどうでしょうか?日米修好通商条約は神奈川で調印されたので、締結場所も押さえておくと完璧です。

また、日米修好通商条約で貿易港となった5つの港の場所も覚えたいですね。「横に花」という語呂合わせで覚えます。「よ(横浜)こ(神戸)に(新潟)は(箱館)な(長崎)」です。

日米和親条約に関するまとめ

日米和親条約を締結したペリーは、回顧録でこう書いています。「将来、日本は強力なライバルになるであろう。」条約締結に至るまでの話し合いにおいて、ペリーは林復斎をはじめとする日本側担当者に何度も論破されることが多かったことから、そのような感想を抱いたのでしょう。

鎖国下にもかかわらず日本を取り巻く世界情勢を正確に把握し、ペリーの主張が国際的に正しいことなのかを冷静に見極め、日本に受け入れることのできる内容だけを条項に盛り込むことに努めた幕吏たちの姿は、教科書レベルではなかなか取り上げられません。

幕末において、日本はあらゆる点で欧米列強に押されっぱなしだったというイメージを持ちがちですが、実際はペリーに一目置かれるような日本人たちがいたということ、そして日米和親条約は日本が主体的に締結した条約であったことを、この記事を通して多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。

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