運慶と快慶の代表作品
運慶の代表作品3選
運慶の作品は数多くありますが、中でも代表的な下記3つの作品を紹介します。
- 1.円成寺 大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)
- 2.願成就院 阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)
- 3.浄楽寺 阿弥陀三尊像(あみださんぞんぞう)
3作品のうち1と2は国宝、3は重要文化財に指定されている由緒ある作品です。
円成寺 大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)

出典:Wikipedia
大日如来坐像は運慶が1176年に造った最初の作品です。一般的に制作には3ヶ月かかるのですが、運慶は11ヶ月かけて造っており、誰の力も借りずに1人で造ったことがわかります。こちらの仏像は1993年に国宝に指定されました。
願成就院 阿弥陀如来坐像

出典:願成就院
この仏像たちは1186年に造立されました。依頼主は鎌倉幕府の初代執権だった北条時政です。こちらの仏像は2013年に国宝に指定されました。また願成就院では、不動明王及び二童子立像(にどうじりゅうぞう)、毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)の2体も2013年に国宝に指定されています。
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浄楽寺 阿弥陀三尊像

出典:Pinterest
こちらの3体は1189年に造立しました。依頼主は鎌倉幕府で侍所の別当を担った和田義盛です。ちなみに、浄楽寺では阿弥陀三尊像の他に、不動明王立像と毘沙門天立像も重要文化財に指定されています。
快慶の代表作品3選
快慶は運慶以上に多くの作品を手掛けています。今回は中でも代表的な下記3つの作品を紹介します。
- 1.弥勒菩薩立像(みろくぼさつりゅうぞう)
- 2.東大寺 僧形八幡神坐像(そうがたはちまんしんざぞう)
- 3.藤田美術館 地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)
3作品のうち2は国宝、3は重要文化財に指定されている由緒ある作品です。
弥勒菩薩立像

出典:世界の美術館
弥勒菩薩立像は快慶が「巧匠アン阿弥陀仏」をサインする前に造立した仏像です。現在は日本にはなく、ボストン美術館に保管されています。
東大寺 僧形八幡神坐像

出典:Wikipedia
僧形八幡神坐像は1201年に造立しました。神像としてはあまりに見ない写実的に仕上がっており、800年の時が経っても保存状態がいい作品です。また、1957年に国宝に指定されました。
藤田美術館 地蔵菩薩立像

出典:Pinterest
地蔵菩薩立像は興福寺に伝来した仏像です。地蔵菩薩立像は他にもあるのですが、藤田美術館に保管されている地蔵菩薩立像の背中には細かな装飾がなされた飾りがあります。この仏像は重要文化財に指定されています。
金剛力士像制作にまつわる3つの事実
事実その1:運慶は制作の総指揮だった

運慶・快慶の共作ともいえる東大寺南大門金剛力士像。造立に関わったのは、2人の他にも運慶の弟・定覚(じょうかく)、運慶の嫡男・湛慶(たんけい)やほかの仏師たちも携わり、制作に取り組みました。
その中で運慶は、東大寺南大門金剛力士像造立における制作総指揮を担いました。さらに全長8.5メートルに及ぶ2体の金剛力士像を、2ヶ月で造立したことが判明しています。
事実その2:阿形像は運慶と快慶が制作した

出典:Wikipedia
金剛力士像は阿形像と吽形像の2体から成る仏像です。口を大きく開いた阿形像が持つ、こん棒には運慶と快慶の名が刻まれており、2人の共作ということがわかります。
この阿形像は体の周りにまとっている布・天衣(てんね)の優美さが特徴。この箇所には繊細な作風が特徴の快慶らしさが出ています。
事実その3:吽形像は運慶の弟と子が制作した

出典:Wikipedia
反対に口を閉じた表情を見せる吽形像の方は運慶の弟・定覚と嫡男の湛慶が制作しました。ちなみに吽形像が定覚と湛慶によって造られたことは、1988年から1993年にかけて行われた解体作業の時に判明しました。
吽形像は阿形像とは違い、右腕の角度や腰の動きなどが角張っており、鋭さが垣間見えます。それにより、阿形像にはない力強さが表現され、迫力のある仏像となっています。
運慶快慶に関するまとめ
今回は、運慶快慶について解説しました。
運慶と快慶の言葉自体は教科書で見たことはありますが、金剛力士像を造った人たちとしか認知されていないのが事実です。しかし、じっくり調べてみると運慶と快慶は、生前に多くの作品を残し、武士や貴族、民衆に影響を与えた人物たちということがわかりました。
学生時代に勉強した内容を大人になってもう一度学習してみると、大きな発見や理解が得られることが、歴史を勉強していく中での大きな特徴かと思います。
この記事を通して、運慶快慶について興味や関心を持っていただけたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。