聴衆を惹きつける話の構成
ジョブズのプレゼンの構成は聴衆を意識したもので、小説や映画のように一つのストーリーになっています。大まかな構成は以下の通りです。
- 聴衆の期待を煽る
- 新製品の発表
- 同業他社との比較
彼のプレゼンの冒頭では、これから発表される新製品への期待を高めるようなフレーズを使い、聴衆の興味を引きつけます。一例を挙げると、先程紹介したiPhoneのプレゼンでは以下のような発言がありました。
「二年半この日を待ち続けていた」
「数年に一度全てを変えてしまう新製品が現れる」
このような言葉を用いることで、これから一体どのような製品が発表されるのかと聴衆の期待と興味をそそります。そんな聴衆の期待が頂点に達したときに、本題である新製品を発表し、その製品のすばらしさを語ります。
その後、同業他社の製品や既存の製品の不満な点を挙げることで、聴衆の共感を得ながら、それと比較して自社の製品がどのような改善がなされ、いかに優れているかを説明していきます。
このような常に聴衆を意識した構成が、ジョブズのプレゼンが人々を魅了してやまない一因です。
製品の魅力を伝える印象的な一言
スティーブ・ジョブズのプレゼンでは、その製品の魅力を伝える印象的なフレーズを用います。例えば、以下のようなフレーズです。
「今日、アップルは電話を再開発する」
「iPhone3G。速度は2倍、価格は半分」
このような短い文章でありながら、その製品の魅力を十分に表していることが分かります。どうしても自社の製品の魅力を語るときは、魅力を多く知って欲しいがために言葉が多くなりがちです。
しかし、ジョブズはあえて短いフレーズで製品の魅力を聴衆に訴えることにより、そのフレーズを非常に強く聴衆に印象づけることができます。簡単に思えるかもしれませんが、これがなかなか難しく、だからこそ、このような一言で製品の魅力を伝えることができるジョブズはプレゼンの名手として名高いのです。
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ジョブズのようなプレゼンをするには何が必要か?
何よりも必要なのは練習
スティーブ・ジョブズのようなプレゼンをするのに、何より必要なものは練習です。ジョブズ自身もプレゼンには入念な練習を重ね、言葉の選択や間のとり方、ジェスチャー、服装、演出など徹底的にこだわりました。
さらに、本番同様の環境で最低でも2日間はリハーサルを実施し、妥協を許しませんでした。一例を挙げると、冒頭で紹介したiPhoneのプレゼンにおいて、ジョブズは6日間にわたるリハーサルをした上で本番に臨んでいます。
このような練習を徹底し、十分な準備を整えているからこそ、ジョブズのプレゼンは成功を収め、人々を魅了してやみません。私たちがここまで徹底した準備を整えることは難しいかもしれませんが、少しでもジョブズのようなプレゼンに近づくには練習は必要不可欠です。
シンプルで分かりやすい資料
ジョブズのプレゼンで使われる資料(スライド)は極めてシンプルです。具体的には1つのスライドには1つのメッセージしかなく、見ている人にとって非常に明快で分かりやすいものになっています。
私たちが一般的にプレゼンで使っているスライドは、文字や数字などで埋め尽くされる傾向にあります。伝えたいことをスライドに詰め込みがちなため、逆に要点が埋もれて何を伝えたいのかが曖昧になってしまいます。
また、スライドの文字が多いと、聴衆がスライドばかりを見て、プレゼンをしている人に目が行きません。これらの理由からジョブズは常にシンプルなスライドを用いていました。
以上のことから、私たちもプレゼンに使用する資料はシンプルで分かりやすいものを作成する必要があります。