伝承では女性の吸血鬼も存在した
吸血鬼というと、マントを羽織ってスーツを着た男性のイメージが強いですよね。しかし、世界の吸血鬼伝承を見てみると意外と女性の吸血鬼も存在しているのです。
ギリシャ神話に登場するラミアーという女性は、純粋で血が新鮮な美青年を喰べる怪物として知られています。しかし、彼女はもとから怪物だったわけではありません。ギリシャ神話の神ゼウスと恋仲になったために、彼の妻ヘラに子供を殺されてしまい怪物となったのです。
他にも強姦されて妊娠した女性の吸血鬼「スンダル・ボロン」、宗教的な行為の最中に首を切り落とした女性の吸血鬼「ペナンガラン」などがいます。両方とも、インドネシアとマレーシアといった東南アジアに伝わる吸血鬼です。
いずれにしても、悲劇的な最期を遂げた人間が吸血鬼になるという点に関してはヨーロッパ諸国の吸血鬼伝説と共通していますね。
吸血鬼が実在したと言われる原因となった3つの出来事
さて、これまでは医療の誤診や人々の恐怖が生み出した吸血鬼の伝説について紹介してきました。しかし、ここからは現実的な面において「吸血鬼は実在した」と考える理由について解説します
- ①ポーランドで発見された吸血鬼の遺体
- ②吸血鬼が起こしたとされる「パウル事件」
- ③現代に生きる人間の血を吸う人々
①ポーランドで発見された吸血鬼の遺体
2016年、ポーランド西部の村で14世紀ごろに埋葬された遺体が3体発見されました。それらの遺体は意図的に骨の位置を変えた形跡があり、3体のうち2体は首が切り落とされていたのです。
他にも膝が破壊されていたり、杭を打ち込んだ跡や頭を岩の間に挟むなど様々な吸血鬼退治と思われる行為が見受けられました。
研究者によると、当時ポーランドで流行していた伝染病によって背中が曲がるなど前と容姿が変わってしまった人々だといわれています。彼らの奇妙な姿を見て、吸血鬼だと思い込んでしまったのでしょう。
②吸血鬼が起こしたとされる「パウル事件」
18世紀のヨーロッパでは、国から公的に吸血鬼と認められた人物もいました。その中の1人がセルビア人傭兵のアルノルト・パウルです。
彼は戦場にて吸血鬼に襲われ取り憑かれてしまいました。一時は吸血鬼から解放されたものの不幸な事故で亡くなってしまいます。しかし、その後パウルは蘇り人々や家畜を襲い始めたのです。
村人がパウルの墓を調べると死後40日は経過しているにも関わらず、遺体が腐敗せずに皮膚や爪が新しくなっていました。村人たちはパウルの心臓に杭を打ち込み、火葬にして遺灰を川に流すなどの吸血鬼対策を行います。
ところがその5年後、パウルが血を吸った家畜を食べた17名の村人が亡くなる事態が発生。神聖ローマ帝国が公的に調査を行い、パウルは公的に吸血鬼と認定されます。そして、この「パウル事件」は人々の間で語り継がれるようになりました。
パウルが人々や家畜を襲ったことや17名の死亡者については、今となっては真偽のほどは分かりません。しかし、パウルの遺体の状態は現代医学に基づいて考えると気候によって腐敗速度が遅れていたという合理的な説明がつきます。
③現代に生きる人間の血を吸う人々
意外かと思われるかもしれませんが、現代にも吸血鬼のように人間の血を吸う人々は存在します。ですが、吸血鬼ではありません。単純に血を飲むことを好んでいる人や好血症といって血を飲まずにはいられない病気の場合が多いです。
他にも、ポルフィリン症という変わった病気も吸血鬼と混同されます。この病気にかかると、顔が青白く歯は牙のようになり、光過敏症になるのです。そのため、数世紀前まではポルフィリン症の患者が吸血鬼と間違われていました。
noteから飛んできました〜。
吸血鬼の話がアジアにまで及ぶとは!驚きです。
そしてヴラド3世は漫画まであったのですね。
青年時代の彼も気になってきました!
内容たっぷりの濃い〜記事で、とっても楽しませて頂きました、ありがとうございます♪
m.Aさんへ
コメントいただきまして、ありがとうございます!とっても嬉しいです!
ヴラド3世は現代において様々な視点から捉えられているようで少し驚きですよね。「串刺し公」の他にも、彼には知られざる優しい一面もあったのかもしれません。
読んでいただいて、本当にありがとうございます!