「半グレ」との違い
半グレは、暴力団に属さずに犯罪を行う集団です。暴力団と最も大きな違いは、暴力団に籍を置いていない為、暴力団対策法の適用を受けない事です。彼らは暴力団よりも匿名性があり、メンバーの動向も分かりにくくなっています。
半グレは増加の一途を辿り、2020年時点で総数は4000人。60グループもいると推測され、2019年時点の6代目山口組に匹敵するのです。ここまで増加しているのは、暴力団排除条例の施行に伴い、暴力団に属さずに犯罪行為を行おうとする者が増えた為でした。
曲がりなりにも、仁義を重んじるヤクザがいる中で、半グレに任侠の精神はありません。特殊詐欺に屋根リフォーム詐欺。彼らは悪質な犯罪行為を行い、一般人に危害を加えています。ちなみに半グレとして有名な組織として「関東連合」や「怒羅権」がいます。
「愚連隊」との違い
愚連隊は繁華街で違法行為や暴力行為を働く不良青年軍団。半グレと違いはなく、愚連隊がやがて半グレと呼ばれるようになりました。ヤクザが親子関係に似た主従関係を結ぶのに対し、愚連隊や半グレは兄弟関係に近い関係を結びます。
愚連隊が誕生したのは1900年代。昭和初期に社会問題となりますが、戦争で多くが出陣して姿を消します。終戦直後の治安の悪化でヤクザと共に愚連隊は増加。ゆすりや窃盗などの犯罪行為をくり返しました。
背景には、博徒や的屋を稼業としていたヤクザが犯罪行為に手を染め始めた事も関係しています。博徒、的屋そして愚連隊は、暴力団の三大源流の一つとなりました。
ヤクザと暴力団に共通する5つのルール
ヤクザと暴力団には、意味だけでなくいくつか共通するルールがあります。ここからは、ヤクザと暴力団に共通する下記5つのルールを紹介します。
- 親分に忠誠を誓う
- シノギを見つける
- 上納金を納める
- 義理ごとを大切にする
- 辞めてはいけない
ルール①:親分に忠誠を誓う
ヤクザや暴力団の組織図は、一般の家族構成と似ています。一家の親分(組長)に認められた子分達は、親分と親子盃を交わして主従関係を結ぶのです。親子盃を交わす事で、両者は血縁関係を結びます。更に舎弟の盃を交わした者達は、親分の事を兄貴と呼ぶのです。
親分に忠誠を誓うルールは、ヤクザが暴力団と呼ばれるようになっても残っています。親分が「白いものを黒い」といえば、子分はそれに従います。盃は子分にとって大切なもの。神棚に大切に備えているケースもあるようです。
ルール②:シノギを見つける
シノギとは、ヤクザや暴力団が収入を得るための経済活動の事です。過去には、港湾業務や興行の元締めなどの合法手段もありましたが、シノギのほとんどは違法行為です。暴力団に指定されると、彼らはカタギの仕事に就く事は出来ないためです。
警察は、薬物、恐喝、賭博及びノミ行為を、代表的な「暴力団の伝統的資金獲得活動」としています。近年では、インターネットを使用した特殊詐欺や密猟などの新たな手段も増加しています。このシノギこそが、ヤクザが暴力団と呼ばれる原因と言えるでしょう。
ルール③:上納金を納める
そしてヤクザや暴力団は、シノギの一部を上納金として親分に納めます。一般的な会社の場合、組織のトップが社員に給料を支払います。ヤクザや暴力団はその逆であり、親分に忠誠を誓う様を端的に示しているといえるでしょう。
上納金は組により異なりますが、末端組員で3万円、若頭クラスになると20万円。山口組などの大きな組織では、組の一員が別の暴力団の組長である事も珍しくなく、彼らは月に100万円以上の上納金を納めています。
山口組の組長クラスになると、年間の上納金は10億円になるともされます。この上納金が厳しい為、違法なシノギが横行しているのです。