ルール④:義理ごとを大切にする
ヤクザや暴力団の中には、任侠を重んじる極道に憧れを抱いている人が数多くいます。彼らが生きるのは、弱肉強食の世界であり、裏切られる可能性もあります。だからこそ、義理は大切である事を親分は子分に徹底的に教え込むのです。
また平素から親分同士の人脈作りも欠かせません。その為に、襲名披露、結縁、葬儀などの儀礼も数多くあります。これらの儀礼は「義理かけ」と呼ばれ、諸行事に呼ばれた暴力団は、相手の出費の負担を避ける為に一肌脱ぐのです。
ただ、これらの義理の教えがいかなる場合でも優先されるわけではありません。己に危機が迫れば、平気で誰かを裏切るヤクザも多いです。本音と建前は違うという事でしょうか。
ルール⑤:辞めてはいけない
会社員であれば、会社を辞める事は可能です。ところがヤクザや暴力団は、親子盃を交わした主従関係を結んでいる為、容易に抜け出す事は出来ません。辞められると上納金も減りますし、親子の契りを反故にされたメンツもあるからです。
過去には組を辞めるには、指詰めなどのペナルティがありましたが、近年ではこれらの行為は暴力団対策法で禁止されています。暴力団を離脱するには、「どこかへ飛ぶ」、もしくは警察に暴力団と脱退交渉をお願いするケースが多いようです。
裏社会に生きる者は、表社会に戻るのも容易ではないのです。
ヤクザや暴力団が背負う厳しい現実
さて、暴力団と呼ばれるようになったヤクザですが、近年では取り締まりが強化され、裏社会で生きるのが難しくなっています。
ここでは、次のトピック別にヤクザや暴力団が背負う厳しい現実を紹介します。
- 暴力団対策法の存在
- それに伴う組員の急激な減少
- 困窮するヤクザや暴力団
現実①:暴力団対策法
暴力団対策法は1992年3月に施行された法律で、ヤクザや暴力団の封じ込めを狙ったものです。規定に該当する暴力団の団員は、不当な行為が禁止され、逮捕や罰則の対象となります。禁止されているのは、不法な取り立てや口止め料の要求など27に上ります。
同年には、山口組や工藤会など24の暴力団が指定暴力団に指定されました。それに伴い幹部や組員の逮捕、暴力団事務所の撤去などが進み、暴力団は資金確保が困難になったのです。
一方で、暴力団の活動が法律に触れないように巧妙になり、組織の不透明化も進みました。警察と暴力団によるいたちごっこは、今でも続いているのです。
現実②:急激に数を減らしている
ピークの1963年には18万4000人もいたヤクザですが、2021年には2万4100人にまで数を減らしています。前述した暴力団対策法の他、ヤクザや暴力団の高齢化も進んでいるからです。
ヤクザや暴力団は、1960年代には40代未満が85%を占めていましたが、2014年にはわずか26%にまで減少しました。特に20代はわずか5%しかいません。若頭でありながら、70代という事もザラです。
今の若者はヤクザになりたがる人は少なくなっています。真面目に生きる事は素晴らしいのですが、一方で半グレに属するケースもあるので、それはそれで問題になっています。あと20年もすれば、ヤクザや暴力団は消滅するのかもしれません。
現実③:困窮するヤクザも多い
ヤクザや暴力団と聞けば、シノギで荒稼ぎしていると考える人も多いでしょう。実際には、困窮する者が多いのが現状です。これは、前述した暴力団対策法で様々な制約が課せられている他、多額の上納金に苦労しているケースもあるのです。
自分名義では、銀行口座もスマホも所有できない為、生きるにはとても苦労します。ヤクザや暴力団の中には、その生活に耐えかねて組を離脱する者もいますが、一般就労できたのは2000年代で約2%に過ぎません。
生活保護が申請出来れば御の字で、再びヤクザや暴力団に戻らざるを得ないケースもあります。金融機関や生活保護課も、彼らが完全に足を洗ったのかを疑う場合もある為、口座の開設や生活保護の許可には消極的です。
一度でも裏社会で生きれば、その後に待ち受けているのは「茨の道」という事ですね。
暴力団やヤクザの違いに関するまとめ
今回は、暴力団とヤクザの違いをそれぞれの意味や語源も交えわかりやすく解説しました。かつては弱きを守る側面のあったヤクザですが、国民が裕福になるにつれて生きる世界は狭められていき、遂には暴力団と名前を変えました。
彼らの生活は今では厳しく、ドラマや映画で目にするヤクザは既に少なくなっているのが現状です。一方で、半グレなどが問題化しているのは事実であり、犯罪行為の拠点は既に半グレに移りつつあるのかもしれません。
今回の記事を通じて、暴力団とヤクザの歴史、彼らの現状について興味を持っていただけたら幸いです。