限界大学生が生まれる原因
オタク的な限界大学生はさておき、なぜ金銭的に困窮したり、成績不審な限界大学生は生まれるのでしょうか。この項目では、限界大学生が生まれる下記3つの原因を解説します。
- 学費の高騰と仕送りの減少
- コロナウイルスの影響
- 日本の先行きが不安定
理由①:学費の高騰と仕送りの減少
限界大学生が生まれる原因の一つが、学費の高騰と仕送りの減少です。この30年間で、学費は国立私立も約30万円(※4)も増加しています。国立大学だと学費が安いという時代は終わり、30年前の私立大学と大差はありません。
大学生が2人いる家庭では、可処分所得の44%を教育費が占めています。この割合には、仕送り代は含まれていないので、金額は更に跳ね上がります。給料が30年間横ばいの日本にとって、負担ばかりが積み重ねられていくのです。
また仕送り代は調査元で金額が異なりますが、令和2年度で約7万〜12万円(※5・6)。ピークの1994年に比べると4万円以上も減少しているという話もあり、学生の懐は厳しいと言わざるを得ません。
ちなみに奨学金を借りる大学生の割合は約70%(※7)。これらは将来の収入で返済する事になります。こうした金銭的な負担が、限界大学生を作り出す大きな要因と言えるでしょう。
※4:【国立大学・公立大学・私立大学】1975年~2021年「大学授業料の推移」
理由②:感染症(コロナウイルス)の流行
2019年から流行し始めた新型コロナウイルスは、大学生の生活を一変させました。入学当初から友達と会う事ができず、それでも学費は全額支払い。高い授業料を払いながらリモート授業が続き、キャンバスに入る事もできない状態も続きました。
一人で過ごす時間が増えた結果、鬱になる大学生も増えています。授業に集中できず、単位を落としたり、留年するなどして、限界大学生となってしまうケースが後を絶ちません。
またコロナ禍に伴う緊急事態宣言で、バイトの時間を減らされる、バイト自体をクビになるケースもあります。バイト代は大学生の貴重な収入源であり、学業を続ける為に必要なものです。コロナ禍は金銭面、精神面で多くの限界大学生を生み出しているのです。
理由③:日本の先行きが不安定
2021年の世界の幸福度ランキングで日本は56位(※8)と、先進国ではかなり低いランクです。また、2013年に内閣府が「自分の将来に希望を持てるか」という質問を日本の若者にした際に、「いいえ」と答えた若者は約4割(※9)でした。
他の国では1〜2割なので、こちらもかなり低い数値です。若者が将来に希望を持てない理由として、長年の経済の停滞や、少子高齢社会の到来などが挙げられます。
勉強を頑張ったとしても、給料は思うように上がらず、税金ばかりが増えていく。こうした状況に悲観し、学業を疎かにするケースもあるようです。
将来に希望を持てるような政治が行われた時に、限界大学生は少なくなるかもしれません。
※8:World Happiness Report 2021
※9: 平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査
限界大学生の特徴
ここからは、主な限界大学生の特徴を3つ紹介します。
- 食費を切り詰めながら生活している
- バイトに明け暮れている
- パチンコなどのギャンブルで散財している
特徴①:食費を切り詰めながら生活している
金欠という意味での限界大学生は、食費を切り詰めながら生活しています。日本学生支援機構の発表によると、平成30年度の大学生の1ヶ月の食費は23716円。一食あたり約790円です(※10)。学食なら2食分ですが、飲食店だと1食分に満たない金額です。
これは平均値であり、この金額よりも少ない額でやりくりしている学生もたくさんいます。バイト代のカットや物価の高騰に伴い、平成30年度よりも生活が厳しい学生が多いのは確実です。
食費を切り詰める為に、自炊や賄い付きの居酒屋でアルバイトをするケースも多く、夕方の割引の惣菜を買う事もあるようです。食事をおろそかにすると、日々の勉強の能率が下がります。切り詰めないといけない部分ではあるものの、食費と学業の両立は、限界大学生にとっては大きな課題と言えそうです。
※10:平成30年度学生生活調査
特徴②:バイトに明け暮れ学業をおろそかにしている
限界大学生は、学費や生活費を稼ぐ為にバイトに明け暮れているケースもしばしばあります。コロナ禍前の平成28年の研究調査によると、大学生の1週間のアルバイトの平均時間は9.3時間。1日のアルバイトの時間は3時間程で、週に3回が平均値となります(※11)。
この数値は、大学生が「自発的に」勉強をする時間よりも長いと言われています。また週に21時間以上アルバイトをする学生は、アルバイトをしていない学生よりも授業の予習や復習をほとんどできていないのが現状です。
アルバイトは自分でお金を稼ぐ事、社会勉強をする上で重要な事ですが、アルバイトに明け暮れて学業がおろそかになっては本末転倒です。それだけお金を稼がないと生活ができない現状も見えてきます。
授業を受けて、その後でアルバイトを行う。限界大学生は、私たちが思う以上に多忙な日々を送っているのです。
特徴③:パチンコ等のギャンブルで散財している
学費や生活費を稼ぐ為ではなく、パチンコなどのギャンブルで散財している限界大学生も少なからずいるようです。法律上、パチンコ店に入れるのは18歳からであり、大学生がパチンコ店に入る事自体に問題はありません。
ただ、初めてのギャンブルで気持ちが大きくなり、ギャンブル依存症になるケースも少なくありません。お金のコントロールができなくなり、生活費が足りずにアルバイトを増やす事に繋がります。
更に友人やサラ金からお金を借り、その額が膨らむ事で、お金に困っている意味での限界大学生になりかねません。大学はさまざまな経験ができる場所です。パチンコなどのギャンブルにしても、節度のある楽しみ方をしていきたいものですね。