ヒップホップにおけるラップ以外の要素
前述した通りヒップホップは音楽のみを指すのではなく、一つのカルチャーであり、
- ラップ(MC)
- DJ
- グラフィティアート
- ブレイクダンス
と呼ばれる4つの要素があります。ラップについては先程説明しましたが、他の3つについても解説しますね。
DJ
DJ(disc jockey)は再生機器で客に聴かせる人物の事です。ヒップホップにおけるDJは、演奏会場やクラブで雰囲気に合わせた楽曲を流す、ラップに乗せる楽曲を流す役割があり、その場の空気を変える存在です。
ヒップホップにおけるDJには様々な手法があり、同じレコードを2枚使用し、レコードからドラムだけになる部分を探して繰り返し演奏する「ブレイクビーツ」。レコードを擦って独特の効果音を出す「スクラッチ」などがあります。
ヒップホップ創成期の1970年代には「クール・ハーク」、「グランドマスター・フラッシュ」、「アフリカ・バンバータ」という3人の伝説的DJがいて、ヒップホップを一つのカルチャーに押し上げる功績を残しました。
グラフィティーアート
グラフィティーアートとは、スプレーなどで壁やシャッターに描かれた絵のことです。グラフィティー(graffiti)は英語で「落書き」、アート(art)には「芸術」という意味があり、直訳すれば「落書き芸術」となります。
誕生したのは、1970年代のニューヨークで若者がスプレーやフェルトペンで壁や地下鉄に落書きをした事が発祥とされます。1980年代になると、グラフィティーアートは白人文化にも支持されるようになり、前衛芸術の一つとなりました。
ただ建物や地下鉄に描かれるグラフィティーアートは、所有者に許可を得ていない事が多く、許可がない場合は器物損害罪となります。その場合、一連のアートはもはや芸術ではありません。
近年では「リーガル・グラフィティ(合法的な落書き)のための壁面」を用意する自治体も増えており、都市の装飾や観光にも用いられています。
ブレイクダンス
ブレイクダンスは、床を使い体を回転させる、ポーズを決める等の様々な技を組み合わせて表現するダンスの事です。ストリートの少年達が、喧嘩の代わりにダンスで勝負をした事で世界的に広がりを見せました。
ブレイクダンスの要素は以下の4つです。
- トップロック(立った状態でのダンス)
- フットワーク(屈んだ状態での跳躍的なダンス)
- パワームーブ(全身で回る跳ねる等のダンス)
- フリーズ(音に合わせて体、動きを固めて止める)
一度に全ての要素を盛り込む必要はなく、どの動きに重点を置くかは各ダンサーにより異なります。一連の動きを高度なレベルで行う為には、筋力や身体の柔軟性、リズム感が必要不可欠です。またダンスはDJの選曲に委ねられる部分も多く、即興性が求められます。
2018年のブエノスアイレスオリンピックで正式種目になるなど、ブレイクダンスは世界的にメジャーな種目になりつつあります。