公安と警察に対するよくある疑問
ここからは公安や警察によく抱く下記の疑問にお答えします。
今回の疑問内容は以下の通りです。
- 公安と警察が悪いのか
- 公安になる方法
- 公安の捜査の服装
- 公安の年収
- 中国における公安とは
疑問①:公安と警察は仲が悪いの?
刑事ドラマなどで、公安警察と他の警察官が対立している様子が描かれる事があります。結論から言えば、公安と他の警察官との仲は微妙です。理由はいくつかありますが、公安は秘密保持が原則で、決して他の部署に捜査内容を伝えない点が挙げられます。
一例としては1995年に起きた警察庁長官狙撃事件が挙げられ、この事件では公安部と刑事部が特別捜査本部に投入されました。この捜査過程で公安警察官が、現場にいたオウム真理教信者の警察官を軟禁し事情聴取をしたにもかかわらず、公安部はその事を刑事部に伝えていません。
こうした捜査の方向性の違いが、摩擦を呼ぶのは当然でしょう。また刑事は、事件が起きれば現行犯で対象者を逮捕する事が原則ですが、公安は組織そのものを壊滅させる為、あえて対象者を泳がせる事もあります。
公安警察官は国家の安全を守る為、生活安全部門や刑事部門の警察官は市民の平和を守る為に職務を全うします。つまり考え方や捜査手法が違う為、仲が悪くなるのは当然と言えるでしょう。
疑問②:公安になる方法は?
公安警察官になる為には、特別な試験はありません。
※他の警察官同様に国家公務員総合採用試験や警察官採用試験に合格する必要はあります。
ただ警察組織の中で公安に配属されるのは、警察の中でもほんの一握りです。警察学校の頃から優秀な成績を修め、警察官になった後も優秀な実績を残さないと声はかかりません。
公安への配属はキャリア組の方が多いのですが、キャリア組は年に20人程しか採用されない超エリート。捜査班などの多くの公安警察官は叩き上げです。公安になりたいという強い思いを持ち続け、優秀な成績を修め続ける事で、いずれ声がかかるかも知れません。
疑問③:公安は捜査でどんな服装なの?
前述した通り、公安警察官の捜査は対象者にバレないように行われるもの。基本的にはインパクトのある服装はせず、尾行の場所に合ったものが選ばれます。大規模なデモ活動には必ず公安警察官が紛れ込んでいるとされ、一目では区別がつきません。
ただし、公安機動捜査隊などのテロ事件の初動捜査を行う場合は、化学防護服などを着用しています。あまり公にならない公安ですが、彼らだけは年頭視閲式やテロ対策訓練等で、報道機関の前に姿を現しており、彼らの服装は確認する事が可能です。
疑問④:公安の年収は普通の警察官より高いの?
平成31年度の警察官の平均年収は530万円(平均年齢38.4歳)です。ただ各部門の平均年収は詳しく分かりませんでした。警察官の給料は扶養手当や住居手当などの他、危険な業務に従事する特殊勤務手当などの手当が存在します。
公安の部署も多岐にわかれており、危険な業務に従事する公安機動捜査隊などは、給手当が上乗せされてされている可能性が高いでしょう。またキャリア組やノンキャリアとの差や、勤務年数なども考慮される為、一概に公安だけ給料が高いかは何ともいえません。
他の部門から公安に配属されれば、給料の違いがわかるかもしれません。
参考文献:第1 調査結果の概要 I 一般職関係 II 特別職関係
疑問⑤:中国の公安はどんな存在なの?
中国の公安は「中国の行政機関の一つで、日本の警察に該当する組織」です。ただ公安の管轄は検察や裁判所にも及び、日本以上に広大な権限を持ちます。そして中国では国家安全部という組織が、日本の公安の役割を担っているのです。
ちなみに中国の公安は「国民の安寧より、中国という国家を守る」という点に主眼が置かれており、日本人や欧州の人たちがいわれのない罪で拘束される事も多々あります。
また中国では全国民の身分証番号、顔写真がすぐに検索可能です。更に街中の監視カメラの画像があれば、身分証の顔写真と照合する事で、すぐにその人物が誰かを炙り出す事ができます。
この機能を駆使し、誰でも僅かな罪で国民を逮捕できる為、国内外で恐れられている存在です。