「警視庁と警察庁は何が違うの?」
「警視総監と警察庁長官はどちらが偉いんだろう?」
刑事ドラマやニュースなどでたびたび登場する警視庁や警察庁。言葉が似ているため、どのような違いがあるのかあいまいな人も多くいますよね。
そこで、今回は警視庁と警察庁の違いを、それぞれの仕事内容も交えわかりやすく解説します。この記事を読めば、警視庁・警察庁が担う業務や、公安や検察庁などとの違いも理解できますよ。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、吉本大輝(よしもとだいき)。幕末の日本を描いた名作「風雲児たち」に夢中になり、日本史全般へ興味を持つ。日本史の研究歴は16年で、これまで80本以上の歴史にまつわる記事を執筆。現在は本業や育児の傍ら、週2冊のペースで歴史の本を読みつつ、歴史メディアのライターや歴史系YouTubeの構成者として活動中。
警視庁と警察庁の違いとは?
まず、警視庁は日本の首都である東京都を管轄する警察組織を指します。そして警察庁は東京以外の道府県の警察を管理し、警察組織そのものを運営する機関です。
各道府県には、それぞれの所轄所を統括する警察本部があります。例えば大阪府の警察本部は大阪府警察本部と呼ばれており、その東京版が警視庁です。
また、警察組織の頂点に存在するのは、国の省庁である「警察庁」です。その統括下に「警視庁」や「道府県警察本部」が置かれています。組織図上、警視庁は警察庁の下に位置しますが、警視庁の権限や規模は非常に大きいもの。一概に優劣があるとは言えません。
ちなみに両者の発足の過程は異なります。警視庁は明治7年(1874年)に内務省直属の組織として設置され、警察庁は昭和29年(1954年)の警察法の改正で発足しました。警察庁が発足した時に、道府県警察本部と警視庁は現行の組織に再編されて今に至ります。
警視庁の主な仕事内容
警視庁と警察庁の違いを押さえたところで、ここからは警視庁の主な仕事内容を解説します。
警視庁の主な仕事は大別すると2つです。
- 都内の治安維持や警備
- 犯罪者の捜査
内容①:都内の治安維持や警備
各都道府県の警察が、各自治体の治安維持を行うのは当然です。ただ警視庁は東京都内を10に分けた方面本部、更に102の警察署を配置しています。所属する警察官の数は2021年4月時点で46571人。世界でも有数の規模であり、他の道府県とは規模が違います。
そして東京都は政治の中枢なので、各道府県の警察本部以上に治安維持や警備に特化した組織が存在します。有名なのが、閣僚や国賓を警護する「SP(セキュリティポリス)」でしょう。
SPは警視庁警備部の警護課に属する、体格や体術、語学力等の基準を満たした者が任命される特殊部隊。神奈川県警や大阪府警にもSPは存在しますが、第1係から第4係まで警護課が存在するのは警視庁だけです。
テロなどに対応する警視庁特殊部隊(SAT)や、誘拐事件などに対応する特殊捜査班(SIT)等も、他の道府県以上の規模で存在します。この他には、警視庁公安部(他の道府県は公安課)が設置され、共産党や各国大使館を監視対象に置いています。
こうしたさまざな組織が、東京都の治安維持や警備を日々行っているのです。
参考文献:webio
内容②:犯罪者の捜査
2022年9月時点の東京都の人口は約1400万人。これだけの人口を抱えていると、各地でさまざまな事件が起きます。警視庁では犯罪者の捜査の為、さまざまな部門が設置されており、その規模や範囲も道府県の警察本部とは比べ物になりません。
警視庁公安部には、約1100人が所属しており、この数は他の道府県の警察本部の比ではありません。その為、警視庁のみ公安課と外事課が存在し、他の道府県では対応できない犯罪捜査も可能です。
刑事部には捜査一課から三課、更に全国指名手配や他道府県警察との協力事務を司る捜査共助課などが存在します。また警視庁のホームページには、事件・罪種別の公開捜査の一覧が確認可能です。
中には風化された有名な殺人事件も掲載されており、警視庁は現在でも捜査を続けている事がわかります。忘れた頃に事件が解決する事もあり、警視庁の犯罪捜査の質の高さと執念が伺えますね。