警視庁と警察庁の違いとは?どちらが上なのかもわかりやすく紹介

警察庁の主な仕事内容

警察庁が設置されている中央合同庁舎第2号館
出典:Wikipedia

続いて、警察庁の主な仕事内容を解説します。主な仕事内容は大別すると、以下の2つです。

  • 各都道府県の警察の管理
  • 行政の管理や運営

内容①:各都道府県の警察の管理

大阪府警本部
出典:Wikipedia

警察庁は、警察組織の頂点に位置する日本の行政機関です。各都道府県の警察組織の運営に関与し、警察公務上の監察権や指導権は警察庁が有しています。都道府県警察の主要幹部の人事は、警察庁の強い影響下にあり、警察庁の意見が反映されます。

また各都道府県の警察組織には、公安部や公安課などが設置されていますが、これらは全て警察庁の指揮下にあります。警察庁は、国際テロやスパイ活動から日本を守る上で、非常に重要な役目を果たしているのです。

警察組織は日本の治安維持の為、中立的な組織であるる事が求められます。その為、警察庁も独立した組織ではありません。上部組織に委員長を国務大臣とし、委員5人で構成される「国家公安委員会」が存在します。そして、国家公安委員会の上部組織には「内閣府」が存在します。

内閣総理大臣が国家公安委員会を任免し、国家公安委員会は警察庁を管理する事で、警察庁は国家における中立の立場を維持できるのです。

内容②:行政の管理や運営

関東管区警察局の存在する新都心合同庁舎2号館
出典:Wikipedia

警察庁は、警視庁や各警察本部のように直接捜査をする事はありません。長官官房、生活局、刑事局などの警察庁内の内部部局が各警察分野の施策を担当。それらは政策評価、人事・定員の管理や警察装備の開発など、多岐にわたります。

この他には、関東管区警察局などの地方機関が全国に設置されています。彼らは該当する警察本部の指導や監察、各関係機関との調整を担当。また付属機関として幹部警察官を育成する警察大学校、証拠物の科学的鑑識を行う科学警察研究所、皇族を護衛する皇宮警察本部も警察庁の管轄です。

ちなみに令和4年度の警察庁の人員は8021人で、予算は2873億3149万2千円。警視庁の予算は約6500億円と遥かに多いものの、人員は警察庁の5倍以上の46571人です。

警察庁の人員と予算の比率は警視庁よりも遥かに大きく、行政管理や各都道府県の管理に多額のお金が必要な事がわかりますね。

参考文献:Wikipedia

警視庁や警察庁にまつわる疑問

ここからは警視庁や警察庁によく抱く下記の疑問にお答えします。

  • 警視総監と警察庁長官はどちらが偉いのか
  • 警視庁や警察庁に入るにはどうすれば良いのか

疑問①:警視総監と警察庁長官はどちらが偉いの?

2022年8月30日より警察庁長官に就任した露木康浩氏
出典:時事ドットコム

警視総監は東京を管轄する警視庁のトップであり、警察庁長官は警察組織を運営する警察庁のトップです。警察の序列では警察庁長官が全ての警官の中で1位であり、警視総監は2位にあたります。そして警察庁長官はその立場上、警察官の中で唯一階級がありません。

警察庁長官は、警察庁に所属する職員の任免権を有しています。都道府県警察への指揮監督、テロ事件などの大規模な事件事故の指揮を執る事が可能です。警視総監は、警視庁の警視以下の警察官の任免権を有する他、警視庁の事務統括や警察官の指揮監督などを担当します。

役職上は警察庁長官の方が偉いものの、それぞれの権限は異なる為、一概に警察庁長官が絶対的という事はありません。

ちなみに警察庁長官も警視総監も、国家公務員の指定職にあたります。指定職俸給や地域手当、期末手当はどを考慮すると、警察庁長官の年収は2455万7500円、警視総監は2313万6300円です。警察庁長官の方が少し高い計算になりますね。

疑問②:警察庁や警視庁に入るにはどうすればいいの?

警察の組織図
出典:fashion box

警察庁は省庁の1つなので、入庁するには国家公務員試験に合格する必要があります。警察庁は人気のある省庁で、倍率は20倍程とされます。東大や京大などのキャリア組も多く、警察庁長官になる為には、合格後も数々の実績が必要です。

一方で警視庁はあくまでも東京を管轄する警察本部。警視庁に入庁する警察官の多くは、地方公務員試験に合格したノンキャリア組です。ただ警視総監や各部門の長になりたいなら、国家公務員試験に合格し、キャリアとして警視庁に入庁する必要があります。

したがって、警察庁に入庁するには、国家公務員試験の合格が必須。そして警視庁に入庁するには、地方公務員試験と国家公務員試験の選択肢があるという答えになります。

ちなみに警視庁のキャリア組は毎年20名ほどで、非常に狭き門です。そのかわり、警察学校の研修期間や昇進の速度は大きく差が出るので、「それに見合う価値はある」と言えるでしょう。

警視庁や警察庁と似た機関

ここからは警視庁や警察庁と同じく、刑事ドラマ等に登場する次の機関を解説します。

  • 公安
  • 検察

公安

デモ隊の中に公安警察は紛れ込んでいる
出典:JBpress

結論から言えば、公安と呼ばれる機関は複数存在します。

1つ目は、国家に対する反社会活動の予防などを行う「公安警察」です。警察庁警備局に存在する公安課を頂点に、警視庁では公安部、警察本部では警備部の公安課として存在します。分かりやすくいえば、公安警察は各警察組織における「内部機関の1つ」です。

2つ目は、警察の民主性を保つ事を目的とする「公安委員会」です。警察の管理が主な仕事ですが、運転免許証の発行などにも関与。警察庁には国家公安委員会、各警察本部には都道府県公安委員会が存在し、公安委員会は各警察組織における「上位機関」です。

3つ目は、公共の安全の確保を図ることを目的とする「公安調査庁」です。公安警察と似ていますが、管轄は「法務省の外局」であり、警察組織とは異なります。また公安警察と異なり、公安調査庁は逮捕、家宅捜索等の司法警察権がありません。

私達が刑事ドラマなどで目にするのは、おそらく公安警察でしょう。それぞれの機関が存在する事で、日本の治安は守られていると言えるのです。

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検察庁

最高検察庁の存在する中央合同庁舎第6号館A棟
出典:Wikipedia

検察庁は、検察官の事務を統括する「法務局の特別機関」です。検察官は特定の刑事事件について、裁判官に裁判を申し立てる事ができます。検察官はそれぞれが検察権を行使できる為、ある意味で独立した存在です。

ただ、検察官の思想があまりに異なると、一般市民は何を基準にすれば良いか戸惑います。また検察官は、前述した裁判申し立ての業務以外にも、広報活動などの検察事務という仕事が存在します。業務は多岐にわたり、それはとても膨大です。

検察庁は検察官の事務全体の統括や、検察官全体の意思統一を図る事、検察官の連携を図るなどを目的に存在します。興味があれば、検察の組織についても調べてみてくださいね。

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