ミッドサマーのディレクターズカットと通常版の違い
ミッドサマーは通常版とは別に、ディレクターズカット版も出ています。ディレクターズカットはR18指定であり、通常版には無かったシーンが追加されたりしているのです。そこでここでは、ディレクターカット版では通常版と違う部分を解説していきます。
子供が命を捧げようとするシーン
1つ丸ごとカットされていたシーンとして、川のほとりで装飾した木を川に投げ込む儀式をするシーンがあります。村人は木を川に投げ込んでいくのですが、「女神はこんなのでは満足しないぞ」と言うと、木と同じ装飾をした男の子が「自分を投げ込んでほしい」と志願するシーンがあるのです。
そして彼は重石に乗せられて川に投げ込まれそうになるのですが、結局周りに止められて投げ込まれずにすんでいます。そして外部から来て殺害された登場人物の1人が、ラストシーンにびしょ濡れの死体が出てきており、彼女が川に投げ込まれて殺害されたのがわかるようになっているのです。
性の儀式にモザイクがついていない
ディレクターズカットがR18になっている大きな理由は、通常版はクリスチャンとマヤの性行為中にモザイクがついていましたが、ディレクターズカットではモザイクなしになっている点です。そしてよく見ると、クリスチャンの性器に血が付着しているのがわかります。
性行為のモザイクがないことにより、性器に血液が付着しマヤが処女であり、村の存続のために出会ったばかりの男性とセックスしたことがわかるのです。これにより儀式の異様さが際立つ演出となっています。
『ミッドサマー ディレクターズカット版』
通常版との大きな違いはそれ程。唯一驚愕したのは、例の″性の儀式″でのモザイク加工がされていないと言う事。ただでさえシュールな儀式なのに、モザイク無しが故に更にそれが増幅されて滑稽過ぎるんですよ。とは言え、やっぱり何度観ても狂った映画。大好き。 pic.twitter.com/if2Rk09kx6— 桔梗@私こそが選ばれしバヤンの巫女 (@jpbotanical) April 6, 2022
ミッドサマーのシーンに隠された意図とは?
ミッドサマーの怪しい魅力は、色々な所に伏線がちりばめられているところといえます。そこでここでは、作中にあった物語の伏線となるシーンを紹介していきます。
オープニングのイラスト
オープニングで左右にイラストがわかれて物語が始まりますが、これは物語をなぞったものだというものだと後でわかるイラストです。左の冬の部分は家族の心中を悲しむダニーの様子を表し、右はダニーとクリスチャン・そして村出身のペレ―が遠くから眺めています。
次に村に歓迎される様子が描かれた後に、最後に祭りで踊る村人たちの絵で締めくくられているのです。最初は分からなくても後で見直してみると、なるほどと驚くイラストといえます。
好意を持った女性のシーン
ミッドサマー、観終わったあと隣のカップルが、「このあと何食べる?」「陰毛入りのミートパイ以外ならなんでも…」って会話してたのが面白かったな… pic.twitter.com/U1G7BFaORF
— 常世モコ🎬27日18時〜SASUKE同時視聴 (@moko_tokoyo) March 7, 2020
村では好意を持つ男性に振り向いてもらうために、自分の陰毛を食べ物に混ぜたり、飲み物に経血を入れる様子がタペストリーに描かれていました。そしてクリスチャンが食べている食事に陰毛が混じっているシーンがあるのです。
またよく見てみると、クリスチャンの飲み物だけ赤みがかっているのが分かります。そしてクリスチャンの様子を遠くから見る少女マヤがいたりと、異常性が際立っているシーンです。
熊のイラストのシーン
マヤの部屋に入ったクリスチャンが、熊が燃え上がるシーンが描かれた絵を見つけて眺めるシーンがあります。そしてラストにクリスチャンは、熊の毛皮をまとっていけにえにされてしまうことを暗示するシーンでもあるのです。
北欧で熊といえば「バーサーカー」という戦士を連想し、熊の上着を着たものという意味もあるのだそう。バーサーカーは神の神通力を持った戦士とされており、北欧神話にとっても「熊」が特別な存在であるためこういった演出があったのかもしれません。
ミッドサマーで性の儀式は本当にやっているのかに関するまとめ
今回「ミッドサマー」を見てみて、筆者はまずアスター監督の北欧文化への造詣の深さに驚いた次第です。どのシーンも実際はフィクションではあるものの、北欧の独自文化を継承しつつ、そこにカルト的な色を持ち出したホラーを仕上げたのは流石だなと思いました。また、ハードなシーンに挑む役者さんたちも改めて凄いと感じています。この記事を書くことにより、筆者も北欧文化を知るきっかけとなりました。この記事を読んで少しでも知って頂けたら幸いです。