水と火、2つの特徴があるインダス文明の宗教

インダス文明では都市ごとに侵攻や儀礼方法が違い、モヘンジョ=ダロなどの都市遺跡では、沐浴場などの水に関わる施設で豊穣と再生を祈念する儀式が行われていました。
一方、インダス川流域の都市ではなく、丘陵地帯などでは独特の火を用いた祭祀行事を行っていたと考えられる遺跡も発見されています。
モヘンジョ=ダロで発見されたような女性像や石製品が出土しないことからも、都市や集落ごとに執り行う儀式や祭礼行事は異なっていたと考えられており、インダス文明の宗教を解明するうえで大きな課題となっています。
権力者はいた?インダス文明の身分制度

文明を築く上で大切なポイントである大きな人口。たくさん人が集まれば、それに伴って指導者として人々を先導する立場の人間が出てきます。次第にそれは貴族や王、聖職者と名を変えていくわけです。
インダス文明においても、こういった権力者はいたと考えられており、実際に都市遺跡からは貴族や有力の住んでいたとされる居住区も見つかっています。しかしながら王の彫像や王の墓などは発見されておらず、メソポタミアやエジプトのように王政ではなかったと推測されています。
インダス文明において行われていた政治の実態は不明ですが、宗教的な支配があったとする説や有力市民による共同統治であったとする説などが唱えられています。
生活の基本・農業は川から離れたところでも発展

出典:Wikipedia
川の水よりも土壌が大切だった

インダス文明での農業は、氾濫農耕と呼ばれるもので、水よりも土壌が大切でした。人々はインダス川の水を農業に使っただけでなく、川が氾濫して水が引いた後に出てくる肥沃な土壌を使ったのでした。
インダス川の周辺では毎年6月から8月にかけて、モンスーンという季節風が吹きます。このモンスーンが雨を降らし、川が増水、氾濫しました。毎年氾濫するために、人々は毎年新しい土壌を使うことができたのです。
インダス文明の人々は毎年冬、新しい土壌に種を蒔き、次の年のモンスーンが来る前に収穫していました。この方法を取っている限り、氾濫を予防するための大規模な工事は必要なく、氾濫の後はある程度の水が確保できたと考えられます。氾濫農耕は、当時の人々にとっては最小の手間で最大の収穫ができる方法だったのです。
川から離れていても、農業ができたわけとは
出典:Wikipedia
インダス文明では、川から離れた場所に住む人々は、毎年モンスーンによって降る雨で増水した川の水を堰(地形を利用して作られていました)などに貯めて、水の中で沈殿した土壌を農業に使いました。これにより、川から離れた場所でも農業ができたのです。
実際にドーラビーラ遺跡では、街の南北に流れる川が増水したときの水を堰き止め、貯めるための貯水槽が残っています。それは標高の高い貯水槽から、低い貯水槽へ水が流れ落ちるように設計されており、ドーラビーラの街を取り巻くように設置されていました。
インダス文明の人々は高い技術力で農業に取り組んでいたことがわかります。
農業だけでなく商業や貿易も繁栄
小さな工芸品・ビーズの生産

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インダス文明で有名な工芸品はビーズです。中でもカーネリアンという赤い鉱物を使って作るビーズが有名でした。
カーネリアン製の赤いビーズに白い模様を入れる技術や、樽型のビーズを作る技術に優れていたため、ビーズはメソポタミアへの主要な輸出品になりました。
さらには極小のマイクロビーズも製造されていたことがわかっています。これは絹の糸で繋がれていたため、シルクロードよりも前に、絹が使われていた証拠になっています。
ビーズの生産のためには、ビーズを作る技術者だけでなく、原石の採掘、流通などにそれぞれ専門職の人たちが従事していたようです。皆が全体を把握していなくても、仕事が進むようにシステムが作られており、強力な指導者などはいなかったと思われます。
ビーズから始まった工芸の発展と貿易
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インダス文明では商業も盛んに行われていました。インダス文明よりも500年ほど早く文明が始まったメソポタミアとは盛んに貿易をしていました。
インダス文明の人々が主に輸出したのは、先程紹介したビーズです。モヘンジョ・ダロの遺跡からは貿易に使われたと思われる石製や銅製の分銅や秤が見つかっています。また、メソポタミア地域やペルシャ湾からは、インダス式印章が発見されているため、盛んな貿易の様子が伝わってきます。
この頃からインダス川流域は中国と中東の国々を結びつける要となる場所だったのかもしれません。
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