インダス文明とは?なぜ滅亡した?川や場所の特徴、文明の謎を全て解説

インダス文明の2大都市遺跡

インダス文明では多くの遺跡が発見・発掘されていますが、今回は2つの都市遺跡に的を絞り、ご紹介していきます。

モヘンジョ=ダロ

モヘンジョ=ダロ

インダス川流域、現在でいうパキスタン南部の位置にある都市遺跡です。モヘンジョ=ダロには「死者の丘」という意味もあり、インダス文明最大の計画都市でした。

モヘンジョ=ダロには約3万人の人々が暮らしていたとされています。またインダス川に接していたため、船を使っての水上交易で栄えていました。

遺跡は高台にある「城砦部」と住居の並ぶ「市街地」に分かれています。城砦部には学校や沐浴場、集会堂、倉庫などが造られており、祭祀を執り行う司祭や軍人などはこの周辺に住んでいました。

対して市街地の方は地区ごとに居住区が分かれ、庶民や農民の住居が中心となっているHR地区、職人の居住区であるVS地区、上流階級や貴族の居住区であるDK地区で構成されています。特にDK地区からは銀行も発見されており、非常に裕福な人々が住んでいたと考えられています。

そんなモヘンジョ=ダロですが、現在深刻な塩害に悩まされています。この地域特有の灼熱の気候と乾燥により地中の水分が蒸発し、塩が地表へ噴き出してしまうのです。塩が噴き出すことによって煉瓦にヒビが入り、遺跡は崩壊しつつあります。現在パキスタン政府やユネスコなどが、保存に向けて動いていますが、完全な状態での保存は難しい状況となっています。

ハラッパー

ハラッパー

現在のパキスタン中部に位置し、モヘンジョ=ダロと双璧をなす都市遺跡です。ハラッパ―には「食べられちゃった」という意味があり、その名の通り、モヘンジョ=ダロと比べ遺跡の保存状態は良くありません。

というのもハラッパ―遺跡は古くから発見されており、当時はその価値に気づかず、鉄道工事のためにハラッパ―遺跡を取り壊し、遺跡から掘り出された焼き煉瓦を使用していました。そのため遺跡の大半は修復不可能なほど破壊されてしまっていますが、現在でも、わずかに残っている部分の発掘調査が続けられています。

遺跡跡からモヘンジョ=ダロのように城砦部と市街地に分かれていると推測されていますが、破壊の進んだ遺跡では具体的にどのような建物が建造されていたのか見当がつきません。その代わりに出土品が多く発見されており、インダス文字の入った印章が発見されたのもハラッパ―遺跡です。

インダス文明の歴史

現代のドラヴィダ系民族

インダス文明の始まり(紀元前2600年頃)

紀元前7000年頃、インダス川流域の西方にあるバローチスターン丘陵地帯で先住民族のドラヴィダ系民族によって農耕文化が成立しました。小麦や大麦の栽培を中心に、羊や山羊の飼育もされ、徐々に人が集まり、集落が形成されるようになりました。

紀元前3000年頃、集落は時間の流れと共に拡大し、牧羊だけでなく土器や石器の作成なども行われるようになり、やがて人々の間で役割が決められ、文化的な生活を送るようになっていきました。そして紀元前2500年頃、インダス川流域を中心にモヘンジョ=ダロやハラッパ―などの遺跡に代表される巨大な文明が形成されたのです。

インダス文明の繁栄

紀元前2600–1900年時点におけるインダス文明の推定範囲

インダス文明の特徴ともいえるのが、東西南北に渡る理路整然とされた都市遺跡です。基本的に焼き煉瓦で造られており、下水や浴場などの設備も整っていました。他にも公共の建造物となる集会場や学校、教会などが造られており、彩文土器や青銅器の使用、インダス文字が記載された印章なども用いられていました。

インダス文明の滅亡(紀元前1800年頃)

インダス文明の滅亡には先程紹介した、砂漠化、気候変動、アーリア人の侵攻などの理由が考えられます。滅亡の理由がはっきりしないのは、インダス文字が解読されていないことも大きく影響しています。これからの解読に期待をしたいところです。

インダス文明が滅亡した後、その宗教はバラモン教に変化し、インド化が進んでいくことになりました。

インダス文明をもっと詳しく知れる関連書籍

インダス文明の謎:古代文明神話を見直す 

古代の歴史については、誰でも意外に古い知識で固まっているものです。この作品で一度リセットすると良いでしょう。

きっとその後に新しい知識を吸収しやすくなること間違いありません。私たちのインダス文明に対する知識がいかに古いままだったのかが、再確認できると思います。

メソポタミアとインダスのあいだ

歴史の授業を聞いているだけではあまり考えませんが、この作品ではメソポタミアとインダス、両文明には関係があると教えてくれます。

想像以上の関係の深さに、文明は生きている人々が作り出すのだと実感できます。この作品を読んでいると、文明という大きなものが自分の前に実体を持って出て来てくれるような気がします。

インダス文明に関するまとめ

インダス文明について解説してきました。いかがでしたでしょうか。

インダス文明は成り立ちから衰退の一途を辿るまで、およそ800年程の歴史があります。その間に建設的な都市を作り上げ、多くの土器や石器、果ては文字の作製まで高度な文明を築き上げてきました。

そんな歴史の深い文明でありながら、いまだ神秘のベールに包まれたままです。これはインドとパキスタンの間にある、紛争の多い地域に位置していることで発掘調査がしにくいということや、インダス文明の歴史を伝えるインダス文字が解読できていないということも要因の一つでしょう。

それでも多くの研究者や調査隊がインダス文明の歴史を解き明かそうと調査に励んでいます。インダス文明の歴史が解明され、その真の姿を知ることが出来る日もそう遠くないかもしれません。

長い記事となりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

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