インダス文字の解読にはAIが使われている
現在、インダス文字の解読にはAIが使われていることをご存知でしょうか?1964年、ユーリ・クロノーゾフをリーダーとするソ連の研究チームが当時のコンピューターを利用し、統計分析の手法を用いてインダス文字の解析を行いました。
この解析の結果、文法やその他の特徴に合致する言語としてドラヴィダ語が挙げられました。その5年後には別の研究チームがコンピューターを利用して、さらなる解析を進めていきました。
2004年にインダス文字は言語ではなく何かを象徴しているのではないか、という論文が発表されましたが、この仮説を証明するためのサンプルが少なく、仮説の検証すらできていません。
インダス文字と他の言語の違い
ヒエログリフ
古代エジプトで使用されていた象形文字の一つです。エジプトがペルシアに侵略されたことで、文字も使用されなくなり、忘れ去られていました。
1799年、ナポレオン率いるエジプト遠征軍がアレクサンドリア近郊の町でヒエログリフが記載されている石板を発見しました。発見された町の名にちなんで、「ロゼッタ・ストーン」と名付けられたこの石板はエジプトの研究所に運ばれました。1801年、フランス軍がイギリス軍に降伏し、フランス領であったエジプトの文化財はすべてイギリスに引き渡され大英博物館の所有物となりました。
ロゼッタ・ストーンは3つの文字が刻まれており、上段が神聖文字であるヒエログリフ、中段に民用文字であるデモティック、下段にギリシア文字となっています。イギリスの学者たちはロゼッタ・ストーンに刻まれている内容は全て同じ内容であると仮説を立て、解読にあたっていましたが破損部分も多く検証ができませんでした。
そんな中、1822年フランスの言語学者シャンポリオンがヒエログリフの解読に成功したと発表しました。彼はこれまで多くの学者がヒエログリフは表意文字と考えていたところを表音文字として捉えたことで解読に成功したのです。
楔形文字
古代メソポタミアで使用されていた文字です。紀元前3100年頃より使われ始めたと考えられており、多くの粘度版にその痕跡が残っています。
よく間違われやすい点として、楔形文字は象形文字ではありません。象形文字とは動物や物の形を模して略した形から成立した文字です。それに対して楔形文字は掘る形や方向で意味を表すため、象形文字には含まれません。
楔形文字はシュメール語を書くための表語文字としての立ち位置でしたが、交易相手のフェニキア人によって簡略化し、他の民族にも広まっていきました。後にシュメール語だけでなく、アッカド語を書く際にも用いられるようになりましたが、アレクサンドロス大王の遠征により、楔形文字の文化は廃れ、やがて忘れ去られることとなりました。
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楔形文字を記した粘度版は多く発掘されていましたが、さまざま文字の代用として使われていたことも相まって複雑化し、解読は困難を極めていました。そんな中1847年にイギリスの軍人ローリンソンによって解読できたことが発表されました。彼はイランにあるザクロス山脈ベヒストゥーンの絶壁に多くの楔形文字が彫られていたことを利用して、何度もその壁によじ登り文字を書き写し、研究を続けたことで解読に至ったのです。
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インダス文字に関するまとめ
インダス文字についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。
インダス文字は参考となる資料も少なく、また文字が多いことからも解読困難な文字の一つです。今後、遺跡から発掘される新たな資料やAIの進化により、インダス文字の解読の糸口が見つかるかもしれません。
現在インダス文明の遺跡がある周辺は紛争の多い地帯のため発掘調査は思うように進んでいませんが、新たな発見があることを祈るばかりです。ぜひこの記事を参考にインダス文字に興味を持っていただけましたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。