ニュルンベルク裁判とは?経緯や問題点、判決内容、死刑人数など分かりやすく解説

ドイツ労働党の重要人物12人に死刑判決が下る

ニュルンベルク裁判の被告席の写真

ニュルンベルク裁判では本来であればドイツ労働党を指揮していた重要人物24名を法廷で裁く予定でしたが、そのうち2名は捕縛される前に自殺を図ってしまったので、自殺したアドルフ・ヒトラーの後継者と言われていたヘルマン・ゲーリングを含む22名が法廷に立ちました。

裁判では4人の裁判官と検察官、当時のナチスドイツに残されていた記録文書や裁判資料からドイツ軍が行ったホロコーストの全容の事実確認と、誰に責任があるのかの追求を行います。

そして、最終的には22人の容疑者のうち12人は死刑判決が下りました。この大規模な裁判は世界各国に注目されることとなり、裁判時には400人を超える傍聴人が訪れて23カ国の国々から記者が審理を傍聴しています。

また、ニュルンベルク裁判の判決後には、下士官や下級役人による犯罪を裁く軍事裁判が世界各国で開かれ、1946年12月にはニュルンベルク継続裁判というその他高官による犯罪を裁く裁判も行われました。

裁判が行われた場所と参加した国

ドイツの都市・ニュルンベルク

ニュルンベルク裁判はドイツにあるニュルンベルクという都市で行われました。法廷は当時のドイツ労働党が党大会のために使用していた大会議場が舞台となっています。

第二次世界大戦後、ドイツの首都ベルリンは戦争の影響で民家や施設などがほとんど崩壊していて、大人数を収容できるような会議場はありませんでした。そのため、ニュルンベルクで辛うじて焼け残っていたこの大会議場が選ばれることとなったのです。

判決を行った裁判官はアメリカ、フランス、ソ連、イギリスから数名選ばれていて、裁判長は当時のイギリスで正判事を務めていたジェフリー・ローレンスが行いました。被告側は自分で弁護人を選ぶ権利が認められていますが、人種はドイツ人弁護士に限定されています。

ニュルンベルク継続裁判とは

ニュルンベルク裁判は1946年10月1日に終了していますが、その後にはニュルンベルク継続裁判という裁判が行われ、ここでもナチスドイツの高官が裁かれています。

ここではそんなニュルンベルク継続裁判の詳細についてご紹介します。

ニュルンベルク裁判の後に行われた継続裁判

ニュルンベルク継続裁判 医者裁判

ニュルンベルク継続裁判は1946年12月9日から1948年10月28日まで行われたアメリカ合衆国による裁判です。

ニュルンベルク裁判はナチスドイツによる戦犯の主要的な容疑者を裁くための裁判なので、それ以外の戦犯に関しての審理は行っていません。そのため、この裁判はニュルンベルク裁判では取り上げられなかった第二次世界大戦時に行われた犯罪を別々に審理して判決を下すものでした。

ニュルンベルク継続裁判は一つの裁判を約2年に渡って審理していたわけではなく、被告や実行した国が別々で、数か月の裁判を同時多発的に行っているためそれぞれ内容が異なります。

なぜ別々に裁判を行ったかというと、第二次世界大戦当時のドイツは宣戦布告無しの侵攻やユダヤ人の迫害だけでなく人体実験や安楽死、民間人の虐殺なども各地で行っていたので関係している人間が多かったのが理由として挙げられます。

これらの犯罪を実際に実行した人間は上官や軍の命令で仕方なく行った人も多く、全ての人間に同じ重さの責任があるとは言えません。そのため、責任の所在を追求するのが難しく、被告の中には関係のない人物が混ざっていることもあったので、無罪判決が下った人物も存在します。

また、この裁判で有罪になった被告はその後ドイツのバイエルン州にあるランツベルク刑務所で懲役または処刑されました。

裁判回数は12回、被告の数は総勢183名に昇った

テルフォード・テイラー将軍の写真

ニュルンベルク継続裁判の回数は全部で12回、主任検察官はアメリカのテルフォード・テイラー将軍が務めています。この一連の裁判の被告の数は総勢183名にも昇りました。罪状は様々ですが、主に当時人体実験の当事者だった医師や政治家、軍司令部の高官などがこの裁判で罪に問われています。

その中でも、大臣裁判というナチスドイツで政治的指導者であった人々を裁く裁判ではドイツの大物の政治家や指揮官が相次いで罪に問われたので多くの注目を集めました。また、一番最初の医師裁判ではナチスドイツの軍で重い役割を果たしていた軍医または医療関係者23名が集められています。

主に罪に問われた内容は戦争犯罪と人道に対する犯罪を共謀したこと、本人の同意なしでの人体実験、安楽死計画などです。起訴された被告のほとんどは親衛隊にも所属していて軍の中でもかなり重要な立ち位置を担っていたのでその約半数は死刑または終身刑などの重い刑罰が下っています。

ニュルンベルク継続裁判は最終的に、罪に問われた人々の中の12人に死刑判決と8人に終身刑、77人に懲役刑が下りました。残りの人々のほとんどは無罪となりましたが中には判決が下る前に自殺した被告も存在します。また、判決が下ってから後に減刑になった人物もいました。

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